日本惑星科学会誌遊星人
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インパクターの破壊(特集「日本における衝突研究の軌跡」)
中村 昭子
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2015 年 24 巻 3 号 p. 233-238

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抄録
小惑星Vesta表面に発見された暗い物質(低アルベド物質)には,他天体起源物質が含まれる可能性が指摘されている.ジャイアントインパクトのインパクター物質のゆくえを扱った数値シミュレーション研究はあるが,小規模な衝突でのインパクターは通常忘れられた存在である.本稿では,小惑星の表面に衝突した他天体物質の塊がどの程度粉砕されるかについて,衝突実験で回収された弾丸の破片質量のデータと,水谷スケーリング則などをもとに考察した.実験室での結果を外挿してみると,他天体物質の塊がレゴリスへ衝突した場合,小惑星Itokawa上に見つかったブラックボルダーのような数メートル級の岩塊が残るというのは,なかなか困難そうであった.一方,センチメートルサイズの岩片は残るかもしれないことが示唆された.
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© 2015 日本惑星科学会
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