日本惑星科学会誌遊星人
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大気成分凝縮による巨大氷惑星の惑星放射強度と熱進化加速
黒崎 健二生駒 大洋
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2018 年 27 巻 1 号 p. 28-39

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抄録

 現在の惑星放射は惑星の形成時における過去の集積の記録を反映しており,惑星形成プロセスを制約する上で重要である.惑星は高温の初期状態から大気からの放射によって冷却していく.したがって,大気の状態は惑星の冷却効率に影響を与える.これまでの巨大惑星の冷却では大気の組成は進化を通して不変であると仮定していた.しかし,巨大氷惑星では,形成初期において重元素に富む大気を持っていたことが,惑星形成論から示唆されている.これら重元素は低温環境下では凝縮すると考えられる水,アンモニア,メタンを含み,これらの成分が大気の温度構造に影響を与える.本研究は凝縮による惑星放射と惑星熱進化への影響を定量的に調べた.凝縮による潜熱解放によって大気の温度を維持し,高い惑星放射を維持することにより惑星の冷却効率が上がることを示した.このことは,天王星の放射強度が理論的な推定よりも小さいという問題に重要な示唆を与える,また,重元素に富んだ大気を持つ巨大氷惑星は中間赤外で明るくなることもわかり,太陽系外の巨大氷惑星の直接撮像にとっても重要な示唆を与えることができた.

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