2022 年 31 巻 1 号 p. 50-67
惑星形成論に物質的な制約を与えるという点で,隕石学の情報は特別かつ重要である.近年,質量分析技術の飛躍的な向上によって,原始太陽系星雲に同位体不均質性・二分性が存在していたことが明らかになった.これは太陽系誕生後およそ100万年以内に微惑星形成領域が空間的に二分されていたことの証拠であると解釈されている.本稿では,太陽系の同位体不均質性・二分性の起源について,現在どのようなシナリオが考えられているのか紹介する.また,それらを理解するために必要となるダスト粒子の輸送プロセスおよび微惑星形成メカニズムについても議論する.