日本惑星科学会誌遊星人
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特集「新・惑星形成論」 ペブル集積と惑星形成
小林 浩
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2022 年 31 巻 2 号 p. 114-123

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抄録

太陽系において木星は最も重く,他の惑星の形成にも多大な影響をもたらす.本稿では,太陽系 の木星のような巨大ガス惑星の形成について主に紹介したい.古典的な惑星形成論では,原始惑星系円盤の中で全ての固体が微惑星になり,その微惑星円盤の中で,微惑星が衝突・合体をくりかえして固体惑星やガス惑星の固体核が形成されたと考えられていた.しかし,固体核形成には時間がかかりすぎるため,ガス惑星が作れないという大問題があった.そこで,近年熱心に議論されているのが,小石(ペブル) 集積である.微惑星集積に比べて,小石集積はずっと早いのでガス惑星の形成には有利である.一方で,小石集積では,ほとんどの小石が惑星に集積されずに失われるため,大きな惑星を作るには莫大な小石が必要になる.小石集積は本稿で紹介するように長所や短所もある.そして,小石集積の最近の研究の結果,微惑星や小石に限らずさまざまなサイズの天体が惑星形成には重要であることがわかってきた.

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