日本惑星科学会誌遊星人
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「2021年度最優秀発表賞受賞論文」木曽105 cmシュミット望遠鏡トモエゴゼンを用いた地球接近小天体の観測的研究
紅山 仁 酒向 重行大澤 亮瀧田 怜小林 尚人奥村 真一郎浦川 聖太郎吉川 真臼井 文彦吉田 二美
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2022 年 31 巻 4 号 p. 272-285

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抄録

ここ数年,世界の大規模サーベイ観測により年間およそ3,000個の地球接近小天体(near-Earth object,以下NEO) が発見されている.地球に接近する軌道を持つNEOはプラネタリーディフェエンス,探査機によるその場探査,微小小惑星の観測可能性など多くの観点から重要な天体である.天球上のみかけ移動速度が大きいNEOは観測画像上で星像が伸び検出感度が低下する.また天体によっては地球接近時の数時間から数日の間の非常に限られた期間しか観測することができない.したがって直径100 m以下の微小小惑星の自転周期やスペクトル型などの物理量の推定はほとんど行われていない.微小小惑星の物理量の推定を行うためには小惑星を自ら発見し即座に追跡観測することが望ましい.我々は2019年に木曽観測所105 cmシュミット望遠鏡に搭載された広視野高速カメラTomo-e Gozen (トモエゴゼン) を用いて地球接近小天体の観測的研究を進めてきた.本稿では我々トモエゴゼンNEOチームが進めているトモエゴゼンを用いたNEO探索および微小NEOの高時間分解撮像観測について紹介する.

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© 2022 日本惑星科学会
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