2023 年 32 巻 1 号 p. 4-15
宇宙を取り巻くコミュニティーは,科学界も参加する官民の社交場となり,ますます総合格闘技な世界になっていくと感じています.~20年後には,小惑星探査はアカデミア(宇宙科学)主導で行うものでなくなり,宇宙事業の主戦場にもなるかもしれません.このような未来を妄想して生きる若手・理学研究者として,他者との協働のあり方を模索する経験は将来に繋がると考えます.本紙前半では,JAXA火星衛星探査計画(MMX計画)に関連させて,独善的かつ利他的な思いで試みた理学研究の表現例を紹介させていただきます.一方で外惑星領域は,今後~20- 30年は,アカデミアが主導し続ける世界であると考えます.しかしながら日本は,外惑星領域に独自に足を踏み入れたことがない現状です.本紙後半では,筆者が工学チームと考える日本初の外惑星探査(例として土星円環探査)× 小惑星マルチフライバイ・コンステレーション案を紹介します.