2024 年 33 巻 3 号 p. 297-305
ガス惑星の質量降着率は,言い換えれば惑星の質量成長率であり,最終質量を決める惑星の基本的な物理パラメータである.これまで惑星の降着率は,星の降着モデルから外挿して導出されてきたが,近年では惑星の降着モデルも提案されている.しかし,降着中の惑星の観測例は限られており,どちらのモデルを惑星に適用したほうが良いかについてはよくわかっていない.また,星と惑星の中間に当たる褐色矮星についても,どちらのモデルが適切かはわかっていない.さらに,どの物理量が2つのモデルを切り分けるのかなど,検証すべきことがまだまだある.本論文では,これまでの降着中の惑星質量天体の観測について概観し,私が現在取り組んでいる,2つのモデルを若い褐色矮星や超低質量星に適用した結果についても述べる.最後に今後の展望についても述べたい.