本論文では、創業者の企業家的アイデンティティが、戦略と結びつきながら強化・発展し、世代を超えて持続的な影響力を持つに至るプロセスと、その基盤にある因果メカニズムを明らかにした。そのために、産業用機能紙を主対象とする湿式不織布メーカーの廣瀬製紙株式会社を対象として詳細な事例研究を実施した。同社においては、創業者が会社設立以前に形成した企業家的アイデンティティが、技術商社と水平連携するビジネスシステムを前提とするコア技術戦略と密接に結びついていた。こうした創業者による戦略とアイデンティティの緊密な結合は、後継世代において承継・活用され、その正負の影響の統合的なマネジメントを経て液体処理のための濾過フィルター用MF/UF膜支持体の分野におけるグローバルニッチトップの達成で基盤的な役割を果たした。
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