本稿は経済センサス(2001年は事業所・企業統計調査)の市区町村データに基づき、2001年から2016年の15年間に起きた小分類レベルでの事業所数(および従業者数)の変化を、主として製造業における経済集積指標(空間的集中度)の変化に着目して整理するものである。本稿は各産業の状況を特徴付ける資料の提示を趣旨とするが、これに若干の考察・検証を加える。
Mori and Smith(2011、2014、2015)に従って計算した局所的な集中度はHirschman-Herfindahl指数など伝統的な指標と同様の動きをすることが多かったが、大域的な集中度は別の傾向を示す場合があり、いくつかのパターンに分けてその特徴を示す。当該期間においてわが国ではいわゆる製造業の空洞化が起きたことから、集積指標の変化は事業所数の減少に関連する場合が多かったが、既存集積以外への立地や集積の進展による成長・産業再編とみられるものもあった。
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