応用地域学研究
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2022 巻, 26 号
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投稿論文
  • 米本 清
    2023 年 2022 巻 26 号 p. 1-21
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿は経済センサス(2001年は事業所・企業統計調査)の市区町村データに基づき、2001年から2016年の15年間に起きた小分類レベルでの事業所数(および従業者数)の変化を、主として製造業における経済集積指標(空間的集中度)の変化に着目して整理するものである。本稿は各産業の状況を特徴付ける資料の提示を趣旨とするが、これに若干の考察・検証を加える。

    Mori and Smith(2011、2014、2015)に従って計算した局所的な集中度はHirschman-Herfindahl指数など伝統的な指標と同様の動きをすることが多かったが、大域的な集中度は別の傾向を示す場合があり、いくつかのパターンに分けてその特徴を示す。当該期間においてわが国ではいわゆる製造業の空洞化が起きたことから、集積指標の変化は事業所数の減少に関連する場合が多かったが、既存集積以外への立地や集積の進展による成長・産業再編とみられるものもあった。

  • 西村 詩央里, 大澤 義明
    2023 年 2022 巻 26 号 p. 22-32
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

    我が国では、少子高齢化の進行、働き方改革の浸透、感染症対策さらには運転者不足も相まって、減便など公共交通の見直しが進んでいる。バスサービスの変更では住民ら地域との合意形成が不可欠ではあるが、民意による判断は必ずしも合理的とはならない。本研究は、既存の一対比較施設配置モデルを拡張し、バス利用者からの運賃でバス運行費が調達される収支完結構造に機会費用を組み込んだモデルを構築する。そして、バス利用者の希望時刻に多様性がある場合に、住民要望などの民意がバス本数の過剰供給を導くこと、繰上コストの改善が民意と効率性との乖離を拡大させること、これらのメカニズムを理論化する。民意がバスサービスの合理化の障害となることを示す。

  • 欧陽 君顔, 石井 儀光, 大澤 義明
    2023 年 2022 巻 26 号 p. 33-41
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/06/30
    ジャーナル オープンアクセス

    利用者が施設に赴いて初めて都市施設サービスが成り立つため、利用者と施設との需給を合わせる必要がある。都市内の様相は一様ではなく、利用者や施設の密度には濃淡がある。利用者の空間分布に関する同心円都市理論には、同心円という空間拘束があるが、減衰する利用者密度式の形状に関して自由度がある。一方で、施設密度論では、施設密度の分布に関する制約があるが、施設の場所に自由度がある。それぞれの自由度を調整することで、施設密度分布に応じた同心円都市の利用者密度式を導出し、あるいは利用者密度式に応じた施設密度分布を求めて、同心円都市の各地ごとに利用者密度と施設密度とを一致させることができる。本研究の目的は、同心円都市にて利用者密度と施設密度分布とを比例させる必要十分条件を提示することにある。この条件から導いた、既存の利用者密度式や施設密度分布に対応する結果を示す。

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