時間に依存した非線型シュレディンガー方程式の解の長時間的挙動を散乱理論の見地から解説する. 初めに短距離型の相互作用を扱う基本的枠組を設定し共形冪及びシュトラウスの臨界冪が自然に導入される事情を説明する. 次にこの方法論がクーロン型の長距離相互作用に及んで破綻に至る様子を述べそこに現れる発散の困難を解決する為の非線型散乱理論の長距離理論構築に向けての着想を紹介する. 一方, 非線型項が準斉次型であれば共形又は優共形冪に対して藤田・加藤の原理 (尺度不変性の原理) が成立する事を示す. これにより臨界指数のソボレフ空間に於る小さなデータの散乱理論の成立が従う. 更に同理論が丁度意味を失う限界に於て指数型増大度が臨界非線型性を記述する理由をソボレフの埋蔵定理の臨界現象との関連で明らかにする. 最後に未解決問題に言及する.
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