まず, 半単純Lie群のユニタリ表現の分岐則の中で「良い振る舞い」をするクラスとして「離散的分岐則」の定義と特徴づけを与える (§2)。§3では, 離散分岐理論を契機として表現論内部に新しく起こりつつある話題を述べる (分岐則の計算, Wallach の予想, Kostant-Schmid の公式の一般化, 無限次元表現論の代数的手法としての離散的分岐則など)。一方,§4では離散分岐理論が他の分野 (保型形式, 非可換調和解析, 不連続群論など) にどのように応用され, どのように関わるかを述べる。なお,§1では, これらの背景としてLie群の表現論の大きな流れの一つを紹介する。そこで取り上げる話題はLie群の表現論のもちろんすべてではないが, 最も主要な部分の一つである。
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