古典的な調和関数は球面に関する平均値の性質によって特徴づけられる (Gauss-Koebe). それでは, 球面を多面体におきかえると何が起きるのだろうか? すなわち, 与えられた多面体に関する平均値の性質を満たす関数とはどのような関数なのだろうか? この素朴な疑問に答えるのが多面体調和関数論である. 多面体調和関数論は, 多面体の組み合わせ論, 群の不変式論, 代数的偏微分方程式論などと結びつき, 古典的な調和解析とは著しく異なった理論展開をもつことが明らかになった. 講演の目的は, 講演者によって最近得られた結果を中心に, この主題について解説することである.
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