本稿の目的は,「学生担当職」の担い手の実態と役割,必要な資質・能力を歴史的に考える上で,そのルーツを考察することである。具体的には,1950年代半ばの「学生部職員名簿」に基づき,実態,資質・能力の諸相を明らかにする。更に,「第3回研修」を事例に,そこで参画していた「学生担当職」が,その後各大学で「厚生補導」の要職に就いていった可能性に言及した。本稿の知見を整理すれば,以下の3点である。第1に,「学生担当職」は,教員,事務職員の双方が「学生部」という組織を乗りあいにして業務を担っていた。第2に,教育的かつ実践的な資質・能力が求められていた。第3に,全国規模の研修では教員,事務職員の双方が「講師」や「助言者」を担当していた。しかし,教員,事務職員の双方がどのように協働しながら各大学で「厚生補導」を普及・推進させていくのか,という現代に至る学生支援の課題は,既に1950年代半ばに析出されていた。
本稿では,日本の大学における31の教養系学科のカリキュラムについて,その共通性がどのような範囲でどのように存在しているか,考察した。分析は大きく分けて2つの方法で行った。まず,教養系学科の学部名称,学科名称及び学位に付記する専攻分野の名称を,既存の「学問分野分類」を用いて分類・整理した。次に,計量テキスト分析により作成した独自の「授業科目分類」を用いて,2018年度入学生に適用される教育課程の授業科目を分類し,分野ごとの開講科目割合(相対度数)を算出した。その結果,43分野のうち22分野については,9割以上の学科で少なくとも一つの授業科目が提供されていることが明らかとなった。さらに分野によっては,相対度数と学科属性の間に相関関係があることも判明した。
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