本研究の目的は、M&A のタイプに応じた効果的なPMI 推進方法を明らかにすることである。PMI に関する最近の研究では、タスク統合に先立って人的統合に取り組むべきことが示されている。しかし、これらの研究の多くはM&A のタイプが考慮されていない。そこでシナジー獲得方法が異なる類似型M&A・補完型M&A という分類に着目し、この両タイプが共存するM&A 事例を比較分析した。その結果、(1) 類似型M&A では概ね通説が当てはまるものの人的融和策だけでは人的統合達成は難しく、途中段階からのタスク統合の併用が効果的であること、(2) 補完型M&A では時間をかけた人的統合が逆機能をもたらすことがあり、むしろ早期のタスク統合が望まれることの2 点が示唆された。
本稿の目的は,R&D コンソーシアムのバリューチェーン・ネットワーク構造とパフォーマンスの関係を検討することである。これまでの先行研究では,エゴセントリック・ネットワークと組織学習やパフォーマンスとの関係を取り上げたものが多く,R&D コンソーシアム全体のソシオセントリック・ネットワーク構造とパフォーマンスの関係については十分に検討されてこなかった。これに対して,本稿ではR&D コンソーシアムにおいてどのようなバリューチェーン・ネットワーク構造がより高いパフォーマンスをもたらすのか,NEDO プロジェクトのデータを用いて仮説検証を試みた。具体的には,ノンパラメトリック検定の結果,以下の4 点が示唆された。すなわち,①ネットワーク密度が高い群の方が,低い群よりも,上市率の平均ランクが高かった。②ネットワーク推移性が高い群と低い群の間には上市率の平均ランクに有意差は見られなかった。③ 3 つの中心化傾向がいずれも低い群の方が,高い群よりも,上市率の平均ランクが高かった。④ネットワークが高密度・高推移性かつ3 つの中心化傾向が低い群の方が,低密度・低推移性かつ3 つの中心化傾向が高い群よりも,上市率の平均ランクが高かった。
本研究の目的は、現在の日本企業における経営企画部門の役割と課題を明らかにすることである。そのために東証一部上場企業の経営企画部門に対してのアンケート調査を行った。その結果、経営企画部門の役割の拡大とその影響が確認できた。役割の大きな変化は、経営課題に社会課題の解決を盛り込むことが必要となっていること、また、企業の競争力を維持するためにはICT の活用が求められていることである。経営企画部門の役割はさらに重要となっている。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら