国際教育研究所紀要
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2021 巻, 32 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 橋元 純也
    2021 年 2021 巻 32 号 p. 1-14
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー
    筆者は勤務校において2020年度後期の科目「文学」を担当し、中国古典を教材とする授業をおこなった。履修者が古典世界と現代社会とのあいだに〈変化・差異・断絶〉ではなく〈不変・共通・連続〉をみることをうながす意図をもって教材を選択した。そして、その効果について、選択履修者の学修成果、すなわち提出された鑑賞文によって検証した。とくに、後漢の王充『論衡』論死篇・訂鬼篇に対する履修者の反応をくわしく分析したが、その結果、履修者の受けとめはさまざまな方向に拡散していた。それは履修者が、時代性を有する古典としてではなく、現代性を有する古典として教材文を読んだことをしめすものであり、上記意図での教材選択は、一定程度に奏功したといいうる。
  • 塚本 浩司
    2021 年 2021 巻 32 号 p. 15-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー
    仮説実験授業は,授業を評価する基準を「たのしさ」においている。しかし,仮説実験授業の提唱当初は,板倉自身も「授業におけるたのしさ」という用語・概念を使用していなかった。板倉は,はじめから「主体的人間,いわば自らの頭で考える人間を育成することをめざす授業」を仮説実験授業の目的においていた。その目的を,よりわかりやすく表現する用語として「たのしい授業」という概念・用語を使用するようになった。それに対して,現代の「科学教育」研究はいわば「わかる授業」をめざすものであり,仮説実験授業とは目指す方向が違う。それはいわば,〈パラダイムの違い〉とも言える。
  • 原田 省吾
    2021 年 2021 巻 32 号 p. 29-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、平成29年告示の中学校学習指導要領「総合的な学習の時間」の解説における語句「例えば」に着目し、その頻度と記述内容を分析した。さらに、平成20年告示の同解説におけるそれと比較し考察した。 その結果、平成29年版解説における「例えば」の頻度は、平成20年版では96回、平成29年版では110回であった。その内容を分析した結果、平成29年版では「探究課題」と「育成を目指す具体的な資質能力」を各学校が定めやすいよう具体例を示すために、「例えば」が多く使われていた。また、「主体的・対話的で深い学び」や「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の「三つの柱」との関係性、「考えるための技法」といった「総合的な学習の時間」の取組に大きく関わるキーワードに対して「例えば」を多く用いながら解説されており、「総合的な学習の時間」の充実を一層重視していることが示唆された。
  • 映画『ハナレイ・ベイ』における男性表象と視線の政治性
    藤城 孝輔
    2021 年 2021 巻 32 号 p. 41-53
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー
    本論文は、映画『ハナレイ・ベイ』(松永大司監督, 2018)におけるジェンダー表象を検討する。同作は2005年に発表された村上春樹の同名の短編小説の映画化作品である。短編集『東京奇譚集』(2005)に収録された小説「ハナレイ・ベイ」は女性主人公の主観を中心的に据えた「女性の物語」として認知されている。これに対し、映画では物語における若い男性の役割を原作よりも拡大し、中年女性である主人公は男性の庇護のもとに置かれた存在として描かれる。作中の会話に盛り込まれた劇的アイロニーに注目すると、主人公がハワイで出会う男子大学生が彼女の事情を理解し、暗黙のうちに彼女を助けていることに彼女が気づきそこねていることが明らかになる。また、登場人物の視線を表現する古典的手法であるアイライン・マッチを意図的に逸脱するかのような編集スキームは、主人公の認識の限界を強調している。これは、村上の原作においてあらゆる事物や出来事が主人公の目線を通して描かれるのとは対照的である。短編小説から映画へのアダプテーションに見られるこれらの改変を「ヤンキー」と呼ばれる1980年代以降の不良文化の表象における男性性のイメージの系譜に位置づけることを通して、本論文は家父長制に基づく日本の保守的なジェンダー役割意識が映画化に際して物語に加味されていることを示したい。
  • 植木 岳雪
    2021 年 2021 巻 32 号 p. 55-59
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー
    千葉県で環境を学ぶ大学3年生に対して、2017年に自然資源を活用した地域振興をテーマとする野外実習を行った。茨城県中部において、地域住民による漁と料理を体験し、漁協によるシジミの養殖施設、茨城県によるキノコ類の調査・研究施設、水戸市により整備された遺跡公園を見学した。この実習に対して、大学生は良い評価を示した。
  • 太田 由佳
    2021 年 2021 巻 32 号 p. 61-69
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/08/04
    ジャーナル フリー
    本稿では、オンライン授業についての記録及び今後に生かすことができる取り組みについて考察するという目的で、オンライン授業に関するアンケート調査を実施した。アンケート調査は、倉敷芸術科学大学学生61人に実施し、55人から回答を得た。オンライン授業に関して、自宅受講できることに関しては、金銭面や時間的な負担が減り、学生にとっては利点だということがわかった。一方で、パソコン操作に慣れていない学生が多かったことは筆者にとって予想外であり、今後のオンライン授業でサポートが必要になってくるものだと考えている。
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