【目的】画像誘導下生検術時に挿入する小さな金属の乳房組織マーカー(マーカー)は複数種類が使用されている.そこで当施設で使用している4種類のマーカーについて超音波(Ultrasound: US)における視認性を後方視的に比較した.
【対象と方法】対象は2016年4月から2021年11月にマンモグラフィガイド下吸引式組織生検によりマーカーを挿入し,かつ対象期間内に診療目的で乳房US 検査を施行した症例である.各マーカーのUS視認性を認定技師4名で4段階にスコア化し,視認性スコアの平均をSteel-Dwass 検定で比較した.
【結果と考察】対象症例は101例(年齢範囲:31から79歳,中央値:50歳)で,マーカーのスコアの平均はコルク型2.5点(34例),砂時計型1.5点(14例),リボン型0.8点(36例),バネ型2.8点(17例)でバネ型とコルク型は砂時計型とリボン型と比較し,有意に視認性が高かった(p <0.05).不均質な乳腺組織内ではマーカーと生体内の構造物の区別がつかないことも多く,無エコーや音響陰影など,生体内の構造物とは明らかに異なるUS 像の描出が視認性向上には重要な因子であることがわかった.
【結論】生検後に乳房に留置したマーカーの視認性は,バネ型とコルク型が砂時計型およびリボン型よりも良好であった.無エコーと音響陰影の描出の有無が視認性に関与した.
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