高等教育開発
Online ISSN : 2436-9918
2 巻
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論文
  • 西野 毅朗, 多田 泰紘, 薗田 竜弥
    2023 年 2 巻 p. 1-9
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/04/13
    ジャーナル フリー

    2000年代に入って以降、日本の大学教育において学生の教育に学生自身が関わることの重要性が提起され、大学院生だけでなく学部学生の上級生が下級生を支援する体制の充実が図られてきた。本研究では、これまで教員の「補助者」として授業に関わることが多かったSA(Student Assistant)が「指導者」として授業に関わることで、どのようにしてその役割を果たし、成長していくのかを描き出す。本研究では、実際に全14回の授業に指導者として関わった20名のSAにインタビュー調査を行い、そのデータを質的統合法(KJ法)によって分析した。その結果、学生が成長・挑戦意欲を持ってSAになり、事前研修、個別の準備、授業実践上の試行錯誤、授業後ミーティングを通じて、他のSAや教員と連携しながら、経験実感や成長実感を獲得し、自身の学習態度の変容にまで結び付けていることが明らかになった。今後は、指導者としてのSAの存在が受講生や教員に対してどのような影響を与えているかを検討していきたい。

  • 杉田 郁代, 坂本 智香, 藤本 正己
    2023 年 2 巻 p. 10-20
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/04/13
    ジャーナル フリー

    クラス担任を対象に、担任業務の課題を明らかにする調査を行い、KJ法を用いて、【クラス担任制にかかる課題】【クラス担任による学生対応にかかる課題】【多様な学生への対応にかかる課題】の3つを実態として抽出した。加えて、これらは順に、(i)〔クラス担任制の運用に関する課題〕、(ii)〔クラス担任制の中で行われている学生相談に関する課題〕、(iii)〔教員・事務系職員・カウンセラーの連携・協働に関する課題〕を示唆しており、(i)に属する〈学生対応の時間確保・所要時間の問題〉〈クラス担任制を含む学内のすべての学生支援組織・取組を大学が統括し、連携・協働を促進する体制の未整備〉〈担任選考基準の未整備〉、(iii)に属する〈大学教育の範疇という基準のわかりにくさ〉が、クラス担任制を超えて教職員による学生相談に普遍的な問題であることを明らかにし、対策を講じていく必要があると主張した。

書評
  • 杉森 公一
    2023 年 2 巻 p. 21-24
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/04/13
    ジャーナル フリー

    本書は、米国における大学教育学習センター(Center for Teaching and Learning: CTL)に関するベストプラクティスをまとめ、センターの開設、活性化、維持と発展を目指す教育開発者に、実践的なガイダンスとリソースを提供するものである。日本においても、中央教育審議会「教学マネジメント指針」や「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」が促す「FD・SDの高度化」の要請の下にあって、教育開発者の知識・スキル・能力を高めることと、CTL開発のリーダーシップの役割を確立することは、同様に必要となっている。米国PODネットワークが実施してきた教育開発者を対象としたワークショップの実践の蓄積から抽出された知見も合わせて、評者は本協会の今後の活動への示唆を提案したい。

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