理論応用力学講演会 講演論文集
第63回理論応用力学講演会
選択された号の論文の197件中101~150を表示しています
OS10 CAE を利用した建築設計・生産の合理化
  • 遺伝的アルゴリズムに基づく耐力壁,小梁,水平ブレースの最適配置法
    吉富 信太, 中川 大輔, 佐田 貴浩
    セッションID: OS10-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    本論文は,鉄骨造住宅において,耐力壁,小梁,水平ブレースの最適な部材断面及び配置を求めるために遺伝的アルゴリズムを用いた実用的な手法を提案するものである.本研究で扱う鉄骨造住宅ではシステム建築を採用しており,各部材断面の種類を数種類の規格品に限定することにより高い生産効率を実現している.その一方で部材配置位置は150mm刻みで選択可能であり,高い自由度の中で合理的な配置を決定することが要求される.特に小梁配置については,吹き抜け周りや小屋束受けなど配置に複雑な制約が課せられる中で合理的な配置を見出すのは極めて困難である.これまでに建築構造における最適化問題に関して様々な研究がなされているが、このような工業化住宅特有の課題を直接扱った手法はほとんど提案されていない.本研究では,実務レベルの多様なプラン形状や設計条件に対して現実的な時間内で実用上問題のない設計解を得ることを目的とする.
OS11 大気・海洋・惑星の流体力学
  • 三村 和男
    セッションID: OS11-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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      閉ループ内熱対流実験系は、ローレンツ・カオスと同様な、自由度3の非線形システムに近似できる。しかしながら、現実の室内実験では、上下管壁温度差に比例するパラメーター(εGr)が、ループに沿った主流の中立曲線の値を大きく超えてから、はじめて主流の向きの反転現象が確認される。室内実験では現実の流体を使用するため、自由度が無限大である事が鍵である可能がある。 
      従って、二重円筒座標の二次元格子点モデルを用いて、εGrを中立曲線上の値から、その9倍の値まで、ゆっくりと変化させてゆくパラメーター連続変化実験行って、その格子点数依存性を調査した。その結果、格子点数が181×31以上になると、共通して中立点の約5倍くらいまで、主流の向きは安定である事がわかった。続いて、パラメーター固定実験で、初期条件依存性を調査したところ、中立点の3倍から5倍の範囲で、主流が反転する状態と安定状態の多重性が見られた。
  • 岩山 隆寛, 村上 真也, 渡邊 威
    セッションID: OS11-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    波数空間内の一般化された2次元流体の支配方程式をある波数で切断した時に, 切断されたモードがそれよりも小さな波数のモードの発展に与える影響を渦粘性の観点から,理論的・数値実験的に調べる.
  • 和方 吉信
    セッションID: OS11-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    成層した流対中で、潮汐のように振動する流れがあると、海底近くで乱流を発生させる。この乱流について、LESで数値シミュレーションを行って調べた。乱流は上部に温度躍層があると、乱流の発達と共に内部波を発生させ、より上部の平均流の流れの大きさや向きを変える。この事が影響し、海底近傍での流れが境界層理論解とのズレを引き起こす。海洋観測の結果と併せ紹介する。
  • 泉宮 尊司
    セッションID: OS11-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    海面抵抗係数は,風速だけでなく風波の幾何形状や運動学的特性にも依存していると考えられる.Janssenの準層流理論からだけでも,風波上の風速の鉛直分布は,波齢C/u*および波形勾配H1/3/Loの関数となることから,海面抵抗係数も少なくともそれらの関数となることが予想される.また,風波にはTobaの3/2乗則が成立し,平衡スペクトルが存在することにより,風波の飽和度を示すパラメタの存在が示唆されてきた.本研究では,風波の飽和度を表すパラメタDsが,波齢および波形勾配を用いて,Ds= (C/u*)1/2(H1/3/Lo)と書かれることが示された.また,波齢C/u*の逆数は風波上の気流運動の非線形性を表すパラメタであり,波形勾配H1/3/Loは風波の非線形性を表すパラメタであることから,風波の飽和度を表すパラメタは,それら非線形パラメタの比であるという物理的意味を持っていることが明らかにされた.さらに,この飽和度を表すパラメタにより,海面抵抗係数が簡単なべき乗則で表されることが示された.
  • 山本 勝
    セッションID: OS11-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    金星大気の経度―高度2次元力学モデルを用いたパラメーター実験で、雲フィードバック加熱(CFH)や惑星スケール波の砕波による重力波の鉛直運動量・熱フラックス構造を調査した。今回は、Yamamoto (2001,2003)で未調査であった「鉛直熱輸送」や「8日波の砕波」について調べた。金星下層雲の低安定度層内の対流熱輸送は鉛直上向きになる。5.5日波と8日波の砕波では、対流層下端で大きな下向き熱輸送も見られる。他方、CFHでは、対流層の上端・下端で小さな下向き熱輸送が見られる。この低安定度層から上向きに背景流よりも遅い重力波が射出される。8日波では、対流層下端でのみ砕波が起こり、対流層内の鉛直熱輸送も鉛直運動量輸送も小さい。5.5日波では、対流層全体で砕波が起こるので、対流層内の鉛直熱輸送も鉛直運動量輸送も大きくなる。CFHでは、惑星スケール波の砕波と比較して、効率よく重力波励起される。
OS12 自然の中の混相流
  • 永瀬 翔平, 高木 泰士
    セッションID: OS12-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    東北地方太平洋沖地震時には,津波が海岸堤防を越流し,背後で洗掘が発生し構造物が破壊された事例が数多く発生した.本研究では,宮城県石巻の事例について,数値解析により構造物背後の流れ場を検証した.津波伝播解析には非線形長波方程式に基づく平面2次元解析を行い,堤防周辺の乱流渦が顕著化する領域では空気・水二相流断面2次元解析を行った.洗掘の進行と流況変化の関係を調べるため,現地調査により洗掘深を調べ,地形変化を反映して解析を行った.この結果,洗掘の進行に伴い,乱流渦の発生パターンが変化することが明らかになった.渦中心が陸側に遷移したことにより,構造物周りの洗掘が加速し,海岸堤防の安定性が急速に低下したことが示唆された.
  • 丸山 諒, 孫 明宇
    セッションID: OS12-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    2013年2月にロシアのチェリャビンスク州に落下した隕石は, 発生した衝撃波によって建造物のガラスが割れたり, 通行人が転倒したりするなど大規模な人的災害をもたらしたことで知られている.このことから, 隕石落下時における衝撃波が地表に与える影響を把握することは, 危機管理, 防災対策の点から必要不可欠である. 本研究では地球大気中に小隕石が突入する現象を数値シミュレーションにより再現し, その解析結果の妥当性を評価する. また, 今後は隕石落下の際に生じる衝撃波圧が地表に与える影響について詳細に研究する必要がある. そのため隕石落下の際に誘起される衝撃波圧のシミュレーション結果について詳細に検討を行う.
  • 下川 信也, 松浦 知徳
    セッションID: OS12-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    同期現象は、異なる周期をもつ複数の振動系がそのリズムを調整するという現象である。確率共鳴現象は、ある種のノイズが検出レベル以下の微弱な信号を増幅し、顕在化させるという現象である。両者は、気候系、生物系、電子回路のような様々な非線形系において観測されている。海洋系においても、同期現象についてはShimokawa & Matsuura(2010)、確率共鳴現象についてはPierini et al. (2011)による研究があり、それらの現象は、海洋における振動現象に関して重要な役割を果たす可能性が指摘されている。最近、両者の結合現象が発見され、確率同期と呼ばれている。海洋における確率同期について調べた研究はこれまでにない。そこで、本研究では、1.5層準地衡流モデルを用いて、赤色雑音を加えた場合の海洋ダブルジャイヤの応答を調べることにより、海洋における確率同期現象の可能性について考察した。
  • 有光 剛, 牧野 晋祐
    セッションID: OS12-01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    ゲートからの排砂量の予測手法の確立を最終的な目標とし,その第一段階としてゲート直上流における河床変動とゲートからの排砂量に関する水理模型実験を行った.さらにゲート直上流で発生する3次元性の強い流れとそれに伴う河床変動に対する平面2次元河床変動モデルの適用性および問題点の把握を目的として,水理模型実験の再現計算を行った.
  • 岡本 英久, 鈴木 一輝, 川崎 浩司
    セッションID: OS12-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    伊勢湾海域の水塊構造は,気象場による影響を強く受けている.特に,急激な気象擾乱を有する台風襲来時には,海象場が大きく変化すると考えられる.したがって,数値解析によって,台風襲来時の海象場の変化特性を解明するためには,台風気象場の適切な評価が必要不可欠である.従来,台風気象場の推算には,経験式台風モデルが活用されてきたが,陸域の影響を強く受ける内湾の気象場を精度良く再現することは困難であった.近年では,複雑な台風気象場の再現に,領域気象モデルや台風ボーガス手法が利用され,気象場と海洋場を一体的に取り扱った計算も可能となっている.そこで,本研究では,台風0918号襲来時の流動・密度・水質構造解析の前段階として,台風ボーガスの4次元同化を適用した大気-海洋-波浪結合モデルを用いて,台風0918号による高潮の再現解析を実施し,気象場と高潮場の再現性について検討することを目的とする.
  • 坂谷 太基, 川崎 浩司
    セッションID: OS12-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    東北地方太平洋沖地震は,これまでの想定を超える地震と津波により,甚大な被害をもたらした.これを契機として,地震・津波の想定が大きく見直されており,内閣府は検討会を設置して,最大クラスの地震・津波を想定した検討を行っている.今後の沿岸域の防災・減災対策を考える上では,最大クラスの地震・津波を考慮することが必要である.津波解析では,津波波源を含む広範な領域を扱う一方で,沿岸域での複雑な津波挙動を適切に表現する必要がある.そのため,効率的かつ高精度な津波解析モデルが求められる.そこで,本研究では,平面2次元モデルと3次元流体解析モデルを組み合わせ,広範な領域を扱いつつも,沿岸域では3次元的な津波挙動を再現可能な津波解析モデルの構築を目的とする.さらに,同モデルを,南海トラフ巨大地震を対象とした津波解析へ適用し,名古屋港湾奥部における津波の浸水特性と陸上の建物の影響について検討する.
  • 鈴木 一輝, 川崎 浩司
    セッションID: OS12-02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    地球温暖化による気候変動に伴う台風強度の増大や海面上昇によって,高潮被害の甚大化が予想されている.高潮現象の主要因の一つは,強風による海水の吹き寄せ効果であり,高潮発生時には海域で3次元的な流動場が形成される.そのため,近年では,流速の鉛直分布の非一様性を表現可能な準3次元モデルが高潮・浸水計算に活用されつつある.しかし,準3次元モデルは,膨大な計算容量や演算時間を必要とするため,広域の浸水計算には適していない.本研究では,効率的な高潮浸水計算の実現を目的として,海域流動計算を行う準3次元モデルと浸水計算を行う平面2次元モデルを組み合わせた高潮浸水結合モデルを構築した.そして,一次元段波問題や水理模型実験の再現計算を実施し,本結合モデルの妥当性を評価した.その結果,本結合モデルは,他の高精度な計算手法と同程度の計算精度を有することが判明した.さらに,結合モデルによる計算結果は実験結果と良好に一致し,安定かつ精度よく計算できることを明示した.
  • 川崎 浩司, 松野 哲弥
    セッションID: OS12-02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    本研究では,単相流モデル(CADMAS-SURF/3D)と異なる自由表面追跡手法をもつ2つの多相流モデル(OpenFOAM,DOLPHIN-3D)を,水柱崩壊に伴う水塊と構造物の衝突問題,段波状津波と陸上構造物の衝突問題に適用した.そして,各種モデルの精度検証,モデル間の特徴に関する比較検討を実施した.水柱崩壊に伴う水塊と構造物の衝突問題において,単相流モデルであるCADMAS-SURF/3Dでは自由表面に乱れがみられた.一方で,多相流モデルであるOpenFOAMとDOLPHIN-3Dでは,良好に自由表面が表現できることを確認した.また,段波状津波と陸上構造物の衝突問題では,OpenFOAMは構造物前面の浸水深と作用波圧の瞬間的な増加を再現できなかった.CADMAS-SURF/3DとDOLPHIN-3Dでは,浸水深と作用波圧の時系列変化を良好に再現可能であることがわかった.さらに,モデル間の比較から,DOLPHIN-3Dの再現性が若干高いものの,どのモデルも概ね高い再現性を有することを検証した.
OS13 混相流の物理とその応用
  • 松尾 大輔, ムハンマド ズハイリ ビン スライマン, 大川 富雄
    セッションID: OS13-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    本研究では、ナノ粒子の濃度や熱流束に加えて、ナノ粒子の分散状況もパラメー タとして系統的に実験を行い、得られたデータよりCHFの向上及びHTCの向上/劣化に及ぼす影響を明らかにする。 ナノ粒子の分散状況の測定は、粒子のブラウン運動から粒径を測定する機材を用いた。実験方法は、飽和沸騰の蒸留水にナノ流体を投入し、伝熱面過熱度の時間変化を記録する。過熱度が定常になったことを確認した後、熱流束を徐々に増加させていき、銅ブロック内の熱電対の温度が急上昇する点をもってCHFと判定する。この実験を粒子の分散状況の異なるナノ流 体を用いて行った。 この結果、CHFはナノ粒子の分散状況に依らないことがわかった。HTCは、高分散であるスラリーを用いた場合と超音波撹拌機を用いた比較的低分散のナノ流体で差が生じた。これより、ナノ粒子の分散状況はCHFの向上には顕著な影響を及ぼさないが、HTCの向上/劣化には多大な影響を及ぼすことが明らかとなった。
  • 杉本 卓也, 渡邉 祐二, 小林 幹佳
    セッションID: OS13-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    流れ場におけるコロイド粒子の凝集過程を理解することは,混相流の流動性の制御や水処理における凝集操作の高度化,環境中での物質輸送の予測において重要となる.凝集についての多くの研究は,コロイド粒子間に静電斥力が作用する系において行われてきた.しかしながら,静電引力が作用する異符号に帯電したコロイド粒子間のヘテロ凝集速度を系統的な実験により研究した報告はない.そこで本研究では,正に帯電するラテックス粒子と負に帯電するラテックス粒子を採用し,攪拌乱流場における異符号帯電粒子のヘテロ凝集速度を測定した.実験結果から,ヘテロ凝集速度は分散系の電解質濃度が低下するほど増加することが明らかとなった.この速度の増加は電気二重層による引力の増加によるものと考えられる.また,電気二重層引力による凝集の促進は粒径が小さいほど効果があることがわかった.流体力学的軌道解析はこの挙動を定性的に表現できた.
  • 池田 英人, 栗原 央流, 濱川 洋充
    セッションID: OS13-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    数百から数千個の球形気泡からなる系における個々の気泡の力学挙動を解析力学の手法を用いて定式化する.一般に,振動する気泡同士の間には力学的な相互作用が働くことが知られているが,本研究ではこれらを考慮した定式化を行う.ここでは,個々の気泡の半径や気泡の中心位置を一般化座標としたラグランジュ方程式を構成し,これらに対応した気泡の体積振動や並進運動を記述する力学方程式系を導出する.得られた方程式を数値的に解くことにより気泡群を構成する気泡一つひとつの詳細なふるまいがあきらかとなる.本研究では,気泡が2次元および3次元的に配置された場合について気泡間の相互作用を考慮した計算を行い,そこに現れる気泡同士の特徴的なふるまいと気泡群を構成する気泡の個数や気泡間距離に対する依存性を調べる.
  • WELLS John C.
    セッションID: OS13-01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    This contribution analyzes the first-order effect of fluid inertia on the lubrication force on colliding immersed particles during approach and rebound.
  • 安藤 晋之介, 末包 哲也
    セッションID: OS13-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    二酸化炭素排出量削減の技術としてその地下貯留がある.その中で,帯水層で貯留を行うことが提案されている.帯水層に圧入された二酸化炭素は,水で飽和した地層の多孔質構造に気泡としてトラップされ,水に溶解する.この溶解により地下水に密度勾配が生じ,対流が起こることで新たに水が供給され,溶解が更に進む.これのモデル化を行うことで地下貯留の安定性を知ることが出来る.従来,多孔質体での物質輸送特性の研究は,その入口と出口での流速や濃度の測定を行ったものであった.本研究では,X線CTを用いて多孔質体内部での二酸化炭素気泡の観察を行うことで,ミクロスケールからのモデル化を目的としている.実験方法は,メラニン樹脂片の充填層を二酸化炭素で飽和させた後に,そこへ脱気水を流速一定で注入し,その間,CTで断続的に撮影した.これよりある断面での充填層の空隙率や二酸化炭素の体積含有率が分かる.これまでの結果として,二酸化炭素の含有率と比表面積の関係,レイノルズ数とシャーウッド数の関係を明らかにすることが出来た.
  • 飛田 宗一郎, 森 昌司, 奥山 邦人
    セッションID: OS13-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    著者らは、含水多孔質に設けた中空部の内壁に接触するよう設置したコイルヒータを加熱するだけ、という極めてシンプル・安価な手法により、常温の水から短時間(数秒)かつ高いエネルギー利用効率(90%以上)で過熱水蒸気を容易に生成出来る手法を提案している。
    本報告では、本装置の定常運転時における多孔質材料の有効熱伝導率がエネルギー利用効率に与える影響について実験的に検討を行った.さらに含水多孔質体内部における熱と水の流れを考慮した一次元モデルを構築し,実験結果と比較した。その結果、計算結果と実験結果は概ね一致する傾向が得られた。
  • 山本 恭史, 舩田 亮太, 伊藤 高啓, 脇本 辰郎, 加藤 健司
    セッションID: OS13-02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    固体壁面上におかれた微小液滴の一端にレーザーを照射した場合に起きる現象を,数値シミュレーションにより解析した.想定している固体面はレーザー照射により濡れ性が良くなり,表面張力の作用方向が壁に平行に近づくため,液滴前後の表面張力の作用方向の違いにより,液滴は照射側へ移動する場合がある.また,一方,レーザー照射により液表面の温度が増加することにより,その部分の表面張力が減少し,表面張力差による流動(マランゴニ効果)が生じ,液滴は非照射側へ移動する場合もある.この現象を表現するために開発された,動的な濡れ性モデルとマランゴニ効果を表現する数値解析手法を紹介し,解析結果について述べる.実験では局所的に高温になることが確認されているので,密度・粘度・比熱・熱伝導率といった物性の温度依存性についても検討した.
  • 網 健行, 西岡 真優, 梅川 尚嗣, 小澤 守
    セッションID: OS13-02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    伝熱部に水平管を採用した場合,低流速条件下においては管内で気相と液相が分離する層状流が形成され,管頂部がドライアウトする危険性がある.そこで本研究では,低流速条件下における水平伝熱管を用いた強制流動伝熱実験を行い,当該条件においてはサブクール領域においても沸騰が開始すると,管頂部で層分離によると考えられるドライアウトが発生することを示した.加えて,サブクール領域での管内流動挙動を把握するため,STREAMを用いた三次元熱流動解析による数値計算を行った.自然対流による浮力が影響する極低流速条件下では,管周方向に沿った二次流れが発生し,垂直上昇流とは異なる温度分布および速度分布が形成される.この二次流れにより管内に温度成層が形成され,サブクール領域での層分離を引き起こしたものと考察した.
  • 有吉 玄, 伊藤 大介, 齊藤 泰司, 三島 嘉一郎
    セッションID: OS13-03-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    近年,鉛ビスマス液体金属を用いた加速器駆動システム(ADS : Accelerator-Driven System)に関する様々な研究が行われているが,ADSの開発においても通常の原子炉と同様に過酷事象に対する対策および評価が重要となる.代表的な過酷事象である炉心溶融や蒸気発生器破断時には,通常の気液二相流と比較して,密度比が一桁程度高い高密度比気液二相流が形成される場合がある.したがって,流動特性が通常と異なる可能性があり,その二相流および乱流特性の把握が必要となる.しかし,ADSに関連した鉛ビスマスの熱流動に関する研究は,炉心部を模擬した流路に対する鉛ビスマス流れの伝熱特性を実験的あるいは数値的に検討したものが多く,鉛ビスマス二相流の流動特性に関する研究成果は少ないのが現状である.そこで,本研究では高密度比気液二相流の一つである鉛ビスマス-窒素二相流の液相速度変動やボイド率などの基礎データを計測し,その乱流特性を実験的に検討することを目的とした.
  • 細川 茂雄, 北畑 恭助, 林 公祐, 冨山 明男
    セッションID: OS13-03-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    混相流における相間の力学的相互作用を実験的に調べるには、界面近傍の速度分布を測定する必要が有る。本報では、著者らが開発した時空間フィルタ流速計を用いた界面近傍速度分布測定における問題点を検討するとともにその対策を行なう。その結果、界面に沿った境界適合格子を界面に追従させて測定することより界面近傍速度分布を精密に測定でき、界面剪断応力を評価できることを確認した。
  • 海保 和宏, 梶原 智之, 大川 富雄
    セッションID: OS13-03-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    本研究では、サブクール沸騰における気泡挙動を詳細に観察するために、透明な伝熱面を用いた。そのため、沸騰核における気泡の生成から凝縮までの挙動の観察を伝熱面裏側から行い、沸騰核を正確に数え上げることができる。観察にはハイスピードカメラを使用し、観察範囲と時間を統一した。撮影時間内に観測された気泡について、気泡数と気泡径の平均値を沸騰核ごとに計測し、その沸騰核で生成される生成周期と平均気泡径とした。そこで得られた実験データから、小さい気泡径を低い周期で発生させている沸騰核が多数存在していることが確認された。これらの沸騰核は、蒸気生成量へ与える影響は非常に少ないため、ボイド率予測の観点から、除外するべきではないかと考えた。そこで、有効な沸騰核をEffective Nucleation Site 、除外する沸騰核をUn Effective Nucleation Siteとし、沸騰核の仕分けを行った。そこで得られた有効な沸騰核のみのデータと、過去の研究による相関式との比較を行った。
  • 松江 亮児, 波津久 達也, 福原 豊, 賞雅 寛而
    セッションID: OS13-03-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    沸騰伝熱流動様式の大半を占める環状噴霧流は,液膜破断に起因した伝熱管損傷をもたらす流動への遷移過程にある.従って,各種熱プラントの設計および性能評価を実施していく上で,環状噴霧流における液膜と液滴に関する精緻な流動予測式を開発することが求められ,また,そのためには,液膜の厚さや波動特性,液滴の飛散量や液滴径分布などのミクロな情報を高精度に計測する必要がある.本研究では,環状噴霧流における液滴の径や速度をダブルパルスNd-YAGレーザーとカメラを使用したシャドウグラフ法により同時計測するシステムを構築した.レーザーの発光半値幅は20ナノ秒であり,2台のレーザー光源の発光間隔は10マイクロ秒に設定された.この特殊な光源装置により,管内を高速で移動する微小液滴の径と速度の同時計測が可能となった.また,内径10 mm管内を垂直上昇する環状噴霧流の計測に本計測システムを適用し,管断面における液滴径分布および液滴速度分布を取得した. 
  • 加藤 健司, 山下 達也, 磯 良行, 佐賀 真理子, 脇本 辰郎
    セッションID: OS13-04-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    傾斜平板上を流下する液膜流れを対象に,壁面上にドライアウトが生成・消滅する条件について,理論的,実験的に検討を行った.ドライアウトが生じている条件下で,液膜が壁面上をぬれ拡がるとき,ならびに全面をぬらしている液膜流れ中にドライアウト領域が発生したときを対象に,系のエネルギー変化を求めた.単位面積当たりの液膜の運動エネルギーの変化,ならびにぬれ挙動に伴う界面エネルギー変化を見積もり,それらの合計のΔE=0となる条件から臨界流量に対応するウェーバー数を求めた.3種類の供試液体と4種類のぬれ性の異なる試料板の組み合わせについて,ドライアウトが発生・消滅する臨界ウェーバー数を実験的に測定したところ,理論値と概ね一致する結果が得られた.
  • 管内径の影響
    原田 貴之, 網 健行, 梅川 尚嗣, 小澤 守, 齋藤 泰司, 伊藤 大輔
    セッションID: OS13-04-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    沸騰二相流場における限界熱流束は沸騰機器の運転限界を決定する重要な因子の一つであり,一般的な上昇流においては非常に多くの研究が行われている.しかし,実際に沸騰関連機器に実装される伝熱水管は種々の設計要求から,垂直下降二相流となることも多い.この場合,気泡にかかる浮力方向が流動方向と対向するため,特に低質量流束では不安定な流動状態となり,その詳細な理解が得られるには至っていないのが現状である.本研究では,低圧・低質量流量下において管内径Di = 10, 15 mmで下降流限界熱流束実験を行い,テストセクション圧力損失,管壁温度から管内の流動状態ならびに限界熱流束発生機構の検討を行った.その結果,上昇流同等の機構に加えて、高クオリティ域での流下液膜ドライアウト,低クオリティ域でのフラッディング発生による液供給阻害,サブクール域での二相流体構造の不安定が原因で発生する3つの発生機構が存在することを明らかにし,さらに管内径の影響を評価した.
  • 川原 顕磨呂, マンソーラ モハメド ハッサン, ロウ ウェンゼ, 佐田富 道雄
    セッションID: OS13-04-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    流路代表寸法が1 mm以下の流路(マイクロチャンネル)内を流れる気液二相流はマイクロ化学反応器,小型熱交換器等で見られ,その現象の解明のための研究が盛んに行われている.これらの研究の作動液体の多くはニュートン流体である.他方,マイクロ化学反応器やバイオ分野では非ニュートン流体の流れがしばしば見られる.通常口径流路内の非ニュートン流体の二相流を調べた研究はあるが,マイクロ流路内のそれは数少ない.非ニュートン流体の粘度はせん断速度に依存するが,マイクロ流路と通常口径流路のせん断速度の桁がかなり異なるので,通常口径流路で得られた知見をマイクロ流路のそれに適用できるかは分からない.そこで,本研究では0.25 mmの正方形流路内の窒素ガス-非ニュートン液体の二相流について,流動様式,気泡速度,気泡長さおよび圧力損失を実験的に調べた.作動液として擬塑性を示す重量濃度が異なるポリアクリルアミドの水溶液を用いた.以上の実験結果および実験値と既存の予測式と比較結果について報告する.
OS15 確率微分方程式の諸問題と生物学への適用
  • 高橋 弘
    セッションID: OS15-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    遅れのあるBrown運動による確率微分方程式(SDDE)は,過去の影響が遅れて現れるような自然現象のモデルとして用いられていることが多い。SDDEは,通常の確率微分方程式の一般化であり,最初に発表されたのは伊藤清と西尾眞喜子の1964年の論文である。SDDEの解は,係数がLipschitz条件を満たし,初期データが一定の条件を満たす時に一意の連続解が得られることが知られているが,解を実際に求めることは困難であり,近似解を与える計算手法が調べられている。本講演では,X. MaoとS. Sabanisによる2003年の論文で考察されたSDDEの近似解に関する研究と最近,C. KumarとS. Sabanisが発表した近似解の研究を紹介する。また上記の研究は,時間の遅れを決定論的に与えているが,遅れについてもランダムネスを考えることは自然な拡張である。本講演では,ランダムな遅れがある場合についても考察する。
  • 三上 敏夫
    セッションID: OS15-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    確率最適輸送問題は、最適輸送問題にノイズがはいった問題として、三上ーThieullenにより研究が始まり、数理ファイナンス等にも応用されている.それは、拡散係数を固定し、初期分布と終期分布を固定した場合の確率最適制御問題である.三上は、このゼロ雑音極限により、コスト関数が2次関数の場合の最適輸送問題の確率論的証明を初めて与えた.本講演では、確率最適輸送問題の双対定理と双対問題の有限性を示す事により、与えられた初期分布と終期分布を持つセミマルチンゲールの構成法を示す.これは、調和経路過程の新しい構成法も与える.仮定は、初期分布と終期分布の対数微分をラグランジュアンに代入した関数のそれぞれの分布に関する可積分性と対応する最適輸送問題の有限性である.これにより、2点確率境界値問題の解空間が十分大きな空間である事もわかる.今後の課題としては、最適解のマルコフ性をチェックする事である.
  • 金川 秀也
    セッションID: OS15-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    日経225平均株価にジャンプのあるブラック・ショールズモデルによってモデリングをした場合に、複合ポアソン過程における株価のジャンプ時刻を推定することは容易ではない。実際の株価は数秒から1分ほどの間に常にジャンプを繰り返しながら変化するので、ほぼ全ての時刻でジャンプしているように見える。しかし通常のブラック・ショールズモデルは幾何ブラウン運動を用いて表される連続確率過程であるので、不連続点に見える時点を、連続部分と不連続部分に判別する手法について発表する。
  • 矢作 由美
    セッションID: OS15-01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    非線形偏微分方程式で表される、ある生物学モデルに対応するKeller-Segel 系と呼ばれる方程式を確率微分方程式に読み換え、確率論的解釈を与える。併せて、Mathematica によるモンテカルロ法的数値解析を試みる。
  • 大泉 嶺
    セッションID: OS15-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    生物体の生活史は様々な不確実性に晒されている.例えば遺伝的、経験的に生まれる成長率や採餌率などの個体差や個体レベルの内的な不確実性と、気候変動などの集団全体に及ぼす外的な不確実性である.外的不確実性は自然増加率に負に影響する場合があることが指摘されており、生態学者の注目するテーマの一つとなった.一方で我々の先行研究では内的不確実性は自然増加率に対して正にも負にも働く事が示されている.内的不確実性が自然増加率へ負に働く場合、適応的な生物は内的不確実性含む生活史の制御を必要とすると考えられる.このとき、この制御の研究を最適生活史スケジュール問題という.それを解析するためには個体群動態と最適生活史スケジュール問題を統合した理論を構築する必要がある.本研究ではその統合理論を確率制御理論を用いて構築し、生物への応用を紹介する.
  • 板木 好弘, 齋藤 保久
    セッションID: OS15-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    「ペア近似」は、ある種の伝播現象を、その相互作用の局所性を反映させた形で理解できる統計物理学の手法であり、物理学のみならず、数理生態学や数理疫学の分野でも重宝されている。本講演では、同手法を、学級崩壊の原因の1つと言われる「授業中の私語の伝播」の数理モデリングに用い、微分方程式を導出し、同手法が伝播の理解にも応用できることを示す。
  • 吉岡 秀和, 宇波 耕一, 藤原 正幸
    セッションID: OS15-02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    1次元開水路に生じる移流分散現象は,粒子の微視的なラグランジュ的挙動に対する拡散過程モデルならびに付随するコルモゴロフ方程式系を介して一貫的に記述できる.本研究の主目的は,移流分散現象における植物群落の影響を考慮した各係数が連続時間マルコフ連鎖により遷移する状態遷移拡散過程モデルの提案である.本研究ではとくに,各水路断面において粒子が非植生領域,植生領域,水路床のいずれかに存在するとした状態遷移拡散過程モデルに注目する.まず,モデルに付随するコルモゴロフ後退方程式から,粒子の流達率や沈降率,平均滞留時間などの環境工学的問題への応用上極めて重要な空間分布統計量の支配式を演鐸的に導出する.つぎに,浮遊懸濁物質を想定した流達率および沈降率の数値解析により,状態遷移拡散過程の移流分散現象解析に対する有効性を示唆する.最後に,既往の数理モデルと状態遷移拡散過程モデルとの関連性について言及する.
OS16 連続体に対する非線形数値解析の新展開
  • 橋口 公一
    セッションID: OS16-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    損傷現象においては,著しい軟化現象を伴うので,その合理的な定式化においては,滑らかな弾‐塑性遷移を示す下負荷面モデルの導入が不可欠である.本講演では,損傷現象を考慮した下負荷面モデルを提案する.
  • 志澤 一之, 田尻 聡太郎, 知場 啓志
    セッションID: OS16-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    長周期積層構造(LPSO)相を有するMg合金は高比強度などの優れた力学特性を示し,これにはLPSO相中に発現するキンク帯が関与していることが知られている.キンク帯形成は回位と呼ばれる回転性の結晶欠陥により説明できると考えられており,回位を数理的に表現するモデルとして,著者らは前報までに,結晶の回位密度テンソルを定義した.また,結晶に回転変形の自由度を付与するために一般化連続体の一つとして知られるCosseratモデルを採用し,その理論体系を結晶塑性論に整合する形に拡張した.本研究では,前報までに構築した結晶塑性Cosseratモデルに基づき,LPSO相単結晶平板に対する二次元FEM解析を行い,LPSO相中に発現するキンク帯を回位密度の立場から再現する.また,キンク帯形成と回位密度およびGN転位密度の分布との関係についても検討する.
  • 黒田 充紀
    セッションID: OS16-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    Aifantis(1984)によって創始されたひずみ勾配塑性論に対する様々な異なった理論的解釈について論ずる.オリジナルのAifantisの降伏条件式は相当塑性ひずみの2次勾配を含む.この関数を単なる構成式と見るか,ある種の平衡の式と解釈するか,あるいはその折衷と見るかについては,見解が複数ありうる.これらの見解それぞれが,同理論の異なる物理的あるいは数学的解釈に結びつくことを示す.理論考察のみならず特徴的な数値計算結果をも示す.そこでは,異なった数値解析アローチに対する有限要素の内挿関数が精度に及ぼす影響を考察する.
  • 大窪 和輝, 紅露 一寛, 阿部 和久
    セッションID: OS16-01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    繰り返し荷重作用時の弾塑性解析の計算負荷を軽減する方法の一つとして,時間域均質化法の適用が試みられている.時間域均質化法は,物理応答が長時間の変動成分と短時間の(周期的な)変動成分により構成される場合に,長時間の変動成分と短時間の変動成分とを分離し,各々の応答成分の連成効果を考慮しながら双方の時間スケール応答を効率的に評価する方法である.地盤材料の繰り返し弾塑性挙動の再現性能の高い拡張下負荷面モデルへ適用については,構成方程式に対する定式化は著者らにより試みられているが,有限要素法への実装のための定式化とその妥当性は未検討である.そこで本研究では,時間域均質化法を拡張下負荷面モデルに基づく繰り返し弾塑性有限要素解析に適用し,その定式化の妥当性と,当該手法適用時における解析結果の誤差の発現傾向について検討する.
  • 吉田 純司, 生出 佳, 佐藤 維美, 杉山 俊幸
    セッションID: OS16-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
     近年のコンピュータの発達により,工業用の構造部材では,数値計算により部材の性能を精度良く予測できることが期待されている.しかし,これらの部材ではその性能確認のため載荷実験を実施している場合が多いものの,それを構成する材料については試験実施の困難さから十分な材料実験データが得られていない場合が多い.
     本研究では,構造部材の載荷実験結果から,部材を構成する材料の構成モデルにおける材料定数を同定するためのシステムを構築した.具体的には,ゴムブッシュの載荷実験結果を対象として,ゴムの粘弾性ダメージモデルにおける材料定数の同定を試みた.まず,様々な振幅,振動数においてゴムブッシュの載荷実験を実施し,変位-荷重関係を取得した.次いで,ゴムに粘弾性ダメージモデルを採用したゴムブッシュの有限要素モデルを構築し,これを実数値GAに組み入れて,載荷実験結果との差が最も小さくなるよう材料手数を同定した.特に実数値GAに有限要素モデルを組み入れる際には,計算速度が重要となることから,探索能力・速度がともに優れてる最新の実数値GAを用い,かつシミュレーションが発散しないよう材料定数の範囲を限定するための効率的な手法を考案した.本システムにより,ゴムブッシュの軸方向および軸直角方向での様々な振動数,振幅における力学挙動を精度良く再現できるゴムの材料定数を同定することができた.
  • 只野 裕一, 萩原 世也
    セッションID: OS16-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    古典的な塑性不安定解析手法と均質化理論に基づく有限要素法を用いた,新たな塑性不安定予測手法の構築を試みる.提案手法を用いることで,巨視的には1点ないし2点の物質点を考えるのみで,微視的不均一構造を考慮した多軸応力下での塑性不安定解析が合理的な計算コストにより可能となる.本手法の枠組みでは,有限要素離散化可能である限り任意の微視構造を考慮することが可能であり,非常に汎用性の高い手法であると考えられる.本報では,平面応力状態を仮定した問題に限定して考え,面内二軸応力下での塑性不安定解析を試みる.材料モデルとして多結晶塑性モデルを導入した結晶塑性均質化法を用い,FCC多結晶金属の二軸応力下での塑性不安定解析を実施した.これにより,いわゆる成形限界ひずみを算出することが可能となることを示す.
  • 杉山 裕文, 松井 和己, 遠藤 拓弥, 山田 貴博
    セッションID: OS16-02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    塑性領域が卓越した状態における金属材料の破壊では延性破壊が支配的であり,実験的観察より延性破壊過程において材料中にマイクロクラックやボイドが発生,成長していることが確認されている.現在,延性破壊の予測を行うために多数の延性破壊条件式が考案され,シミュレーションへの適用が行われている.特に,損傷理論に基づく破壊条件式では,材料中のボイド等を損傷パラメータとして導入することで,ひずみ軟化挙動を表現している.ここで,既存の有限要素法では破面のような不連続面を要素境界により表現しており,不連続面の取り扱いが課題となっている.そこで,本研究では有限被覆法が要素境界に限らず不連続面を定義できることに着目し,有限被覆法を用いて不連続面を明確に定義した延性破壊シミュレーションを行う.解析例を通して有効性を確認する.
  • 遊佐 泰紀, 吉村 忍
    セッションID: OS16-02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    解析モデルのメッシュをき裂近傍のローカル領域とそれ以外のグローバル領域に重なり合わないように分割し、二つの領域の界面で連立非線形方程式を定義し、反復解法の下で二つの領域の解析を繰り返し行うことで収束解を得る手法を用いて研究を行っている。これまでに、ローカル領域を線形弾性体、弾塑性体、もしくは有限ひずみ弾塑性体としてモデル化し、グローバル領域を線形弾性体や有限ひずみ弾性体としてモデル化して非線形解析を行ってきた。また、線形弾性問題では応力拡大係数評価やき裂進展解析を行った。本報告では、各領域の非線形性が強い問題に対して本手法を適用し、その性能を評価する。
  • 今村 純也
    セッションID: OS16-02-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本稿で提案する亀裂スキームは、並行して提案する接触スキームの裏返しスキームである。スキームのコンセプトは、接触スキーム同様、先ず、亀裂なしの弾性状態で時間ステップをΔt 後に進める。次いで、閾値を超えた応力個所があれば、メカニズムを変更する。ただし、亀裂面の応力は弾性状態のまま加え、段階的にゼロまで除荷する。そのコンセプトは亀裂線または面を確定するために、Δt 後まで先ず進めるところに在る。
  • 鈴木 啓峻, 田中 智行
    セッションID: OS16-03-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では薄板構造中に存在する き裂のメッシュフリー解析を行った.メッシュフリー法の近似関数にはReproducing Kernelを用い,Kirchhoff Mode Reproducing Condition(KMRC)を満足するように近似関数を構成することでせん断ロッキングを回避した定式化となっている.また,不連続を表現するためPartition of Unity条件に基づきメッシュフリー関数に不連続関数を導入し破壊力学解析を行った.数値積分にはStabilized conforming nodal integration (SCNI)を用いているが,節点を囲むようにボロノイ分割を行うため,き裂を横切ってしまう場合がある.そこで,き裂周りにはSubdomain stabilized conforming integration(SSCI)を用いた.本講演では,き裂を有する薄板構造物の数値解析例を示す.
  • 貞本 将太, 田中 智行, 井町 美智也, 岡澤 重信
    セッションID: OS16-03-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本講演では,メッシュフリー法を用いたシェル構造物の幾何学的非線形解析を行った結果について報告する.Reproducing kernel を用いた薄板のモデル化を行い,幾何学的非線形問題の定式化を行った.さまざまなシェル構造物の数値解析例を示し,FEM との比較を行うことで提案法の妥当性について検討した結果について報告する.
  • 今村 純也
    セッションID: OS16-03-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    既報で接触問題解析スキームのコンセプトを提案した。すなわち、接触なしにΔt 後へ移動させ、両物体のオーバーラップ体積を押し戻すスキームである。ただし、押し戻しは力ではなく変位で行い、かつ界面のメカニズム変更を行う。体積保存には非圧縮スキームが重要な役割を果たす。すなわち、ν=0.5 の解法である。本稿では、離散Helmholtz分解に基づくそのスキームを、”接触適合化スキーム”と名付けて提案する。
  • 今村 純也, 棚橋 隆彦
    セッションID: OS16-03-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    任意のベクトル場はHelmholtz分解に基づいてスカラーポテンシャルφ とベクトルポテンシャルψ を用いて表示される;i.e. u =gradφ+curlψ (divψ=0). ただ、この分解は回転ベクトル場にのみ適用可能であり、本稿では他の分解形として、ひずみベクトル場に適用可能な分解形を提案し、非圧縮固体(ν=0.5)の数値計算スキームを可能とする。非圧縮固体解析スキームは、本稿と並行して提案している、接触問題スキームの基礎的技法となる。
  • 大西 有希, 天谷 賢治
    セッションID: OS16-03-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    四面体要素を用いてもロッキングを起こさない有限要素定式化として平滑化有限要素法(Smoothed Finite Element Method: S-FEM)が近年注目を集めている.これまでに種々のS-FEMが提案されているが,それらの性能(せん断ロッキング,体積ロッキング,ゼロエネルギーモード,圧力振動,および材料構成式の制限等の有無)に違いがあることが知られている.本稿では特に大変形解析における種々のS-FEMの性能を評価すると共に,より優れたS-FEM定式化を探す目下の試みについて紹介する.
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