理論応用力学講演会 講演論文集
第63回理論応用力学講演会
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特別講演
特別講演1
  • 下層部変形集中現象
    上谷 宏二
    セッションID: P-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    我国における都市・建築の耐震安全性を考えるにあたり最も危惧すべき問題として超高層建築物の下層部変形集中現象がある。この現象は、一旦これが生じると超高層建築物を倒壊に至らしめる極めて危険な現象である。この現象は、下層部変形集中現象は超高層建物の下層部に生じる一種の「塑性座屈現象」である。また、座屈現象に共通する激烈性のゆえに、座屈限界に対して十分な倍率の安全率を確保する設計が求められる。建築基準法の想定レベルを超えるような地震動に対しても、超高層建築物の倒壊に対する絶対安全を保障することは、国家安全のための最重要課題である。この講演では、このような設計上の重要課題に対し力学が果たしうる役割について論じる。
特別講演2
  • 山極 芳樹
    セッションID: P-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    地球と宇宙をエレベーターで繋ぎ行き来するという宇宙エレベーターは、かつては空想の産物でしかなかったが、ここ数十年の間に、カーボンナノチューブに代表される新素材の発明や技術の発展により、技術的に実現可能性が高まり、各国で研究が始まっているのに加え、一般社会においても関心が高まってきている。宇宙エレベーターの実現には様々な課題があるが、その中でも、ケーブル展開時及び運用時のケーブルダイナミックスの把握は、ケーブルの強度設計のみならずクライマの安定制御、エネルギー供給制御ほかシステム全体の設計に関わっている重要な課題であり、また、宇宙空間における長大なケーブルの運動は力学上の学術的な観点からも興味深いものといえる。本講演では、宇宙エレベーターとはどういうものかを紹介するとともに、主としてケーブルダイナミックスの研究の現状と課題を概観する。
オーガナイズドセッション
OS01 構造物・地盤の減衰
  • 中村 尚弘, 木下 拓也, 石川 裕次 , 福山 洋
    セッションID: OS01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    前報では、都内臨海部の超高層SRC建物における東北地方太平洋沖地震記録に関して質点系SRモデルによる地震応答解析を行った.解析結果は観測と良好に対応したため、この結果に基づき建物の減衰性状及び周期特性の検討を行った.本報では、地盤と建物を3次元FEMでモデル化し、地震応答解析を行う。応答結果と減衰性状及び周期特性を質点系モデルの結果と比較する。
  • 平塚 聖敏, 新宮 清志, 冨山 恭平, 近藤 典夫, 入江 寿弘
    セッションID: OS01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    構造物の振動現象において、減衰は重要な性質の一つであるが、理論から求めることは極めて困難である。 シェル・空間構造物は災害時の避難施設に多く使用されるために、当構造物の動的挙動や減衰特性を把握することは社会的急務である。立道、新宮・平塚・湯川らの研究により現在までに55件のシェル・空間構造物の減衰の傾向分析が行われている 2011年に振動実験を行った千葉県習志野市総合教育センター内にあるプラネタリウム館と千葉県船橋市総合教育センター内にあるプラネタリウム館のRC球形シェル屋根の減衰評価は、不十分であると考えられる。本研究は、バンドパスフィルターとハーフパワー法を用いて減衰の再評価を行う。 衝撃加振実験と常時微動計測のフィルターは、同一の方法とした。フィルター処理後データのスペクトル解析は、衝撃加振実験データはFFT、常時微動計測データはAR-Yuleを用いた。
  • 小川 好, 岡田 佳久
    セッションID: OS01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    減衰定数が粘弾性応答と同様に一定となる弾塑性応答スペクトルを提案している。提案する弾塑性1自由度質点系は骨格曲線を粘弾性系と同様に。1周期間に消費されるエネルギーと弾性要素に貯えられる最大ポテンシャルエネルギーとの比によって定義するもので,複数のバネとスライダーから構成されるIwanモデルを使用することで時刻歴での応答を求めることができる。弾塑性系の固有周期として最大応答時の等価周期をとると,弾塑性応答スペクトルは非線形系であるにもかかわらず,次の3点で粘弾性応答スペクトルと等価な応答を示す。すなわち,1サイクルでの散逸エネルギー,スペクトルの振幅と形状はほぼ等しく,入力する地震動の振幅の大小に対して線形に応答する。この等価性は,この弾塑性1自由質点系は入力振幅が大きな場合は長周期に,小さなときには短周期に応答するためで,強震時に建物固有周期が長周期化するという現象をうまく説明することができる。
  • 荏本 孝久, 二宮 正行, 犬伏 徹志
    セッションID: OS01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    建築物の地震時動的挙動においては、周辺地盤との相互作用による減衰効果は比較的大きな影響を持つものと考えられている。本研究では逸散減衰に着目し、その効果を建物の内部粘性減衰に同定する事によって、定量的に把握する事を目的とする。本研究では、まず3次元を考慮したサブストラクチャー法より抽出したインピーダンスおよび有効入力動を用いて、1質点系SRモデルを構築する。その際に、水平・回転バネのみを考慮し、各々の減衰に関しては、建物の内部粘性減衰として付加する。構築したSRモデル(等価SRモデル)について、弾性時刻歴応答解析を行い、サブストラクチャー法により得られた応答結果と比較する事により内部粘性減衰定数の値を同定した。また、建物基礎構造として直接基礎および杭基礎の場合の減衰効果の相違についても検討した。
  • 佐武 直紀
    セッションID: OS01-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    超高層建物の設計において、地震応答に大きな影響を与えるとされる減衰定数、特に高次減衰の設定に関しては、日本建築学会の研究成果資料などで示されているが、実務では未だに慣用的な取り扱いが多い。特に、設計で多用される剛性比例型減衰を用いると、応答を過小評価する可能性が指摘されるなど、超高層建物の応答を扱う上で、減衰の検討はなお重要な課題である。本論文では、超高層建物の応答に与える減衰の影響について、高次減衰の設定という観点から、日本建築学会の資料での検討事例などを参考に複数の減衰タイプを設定し、高さや構造種別が異なる6種類の多質点系モデルの弾性地震応答解析を行い、応答性状を相互に比較検討した。その結果、いずれのモデルにおいても、減衰タイプにより1~3割程度の応答の差異が現れることが確認された。主な理由としては、減衰タイプにより高次モードの応答への寄与が異なるためと考えられる。
OS02 衝撃に関する解析と評価
  • 柴田 和也, 政家 一誠, 室谷 浩平, 越塚 誠一
    セッションID: OS02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    粒子法の1つであるMoving Particle Simulation (MPS) 法を対象に、流体シミュレーションにおける圧力計算の改良を行なった。従来のMPS法では圧力が時間的に大きく変動する問題があった。また自由表面付近で粒子どうしが接近しやすく、粒子配置の非均一性が高まる問題があった。その他、壁面の粒子の層を厚くする必要があり、多くの壁粒子が必要となる問題があった。これらの問題に対処するために、まず圧力のポアソン方程式のソースタームを改良した。他の圧力振動の抑制方法とは異なり、速度の発散や平滑化を用いない方法をとった。次に、これまでに開発した仮想粒子を用いた自由表面での圧力の境界条件の与え方を改良した。さらに圧力勾配のモデルを改良した。  検証解析を行ない、本手法により圧力振動を低減できることおよび粒子配置が均一に近くなることを確かめた。また、本手法により壁粒子の数を削減できるとともに、任意形状の壁面の取り扱いが容易になることを示した。
  • 石原 直, 稲井 慎介, 森田 泰弘, 渡壁 守正, 脇山 善夫
    セッションID: OS02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    天井の慣性力を周囲の壁等に負担させる場合、施工上の理由等から不可避的な隙間が生じることで地震時に衝突が生じうる。本稿では非線形時刻歴応答解析(THA)と等価線形解析(ELA)を取り挙げ、天井と周囲の壁等との間で発生する衝撃力等に関して実験結果との比較により解析方法の妥当性を検討する。THAとELAには衝突を模擬する硬化型の復元力特性を与えた1自由度系を用い、実験的に得た反発係数から衝突時の減衰を設定する。THAにより変位や速度等の時刻歴応答は実験結果を比較的精度よく追跡できた。ELAは笠井によって提案された評価式を用いる。評価方法を図解するとともに、収束計算方法は原典とは別の方法を取った。また衝撃力評価のため衝突直前の最大速度を新たに評価した。実験結果との比較により、衝撃力や速度の最大値はELAによっても概ね評価できることを確認した。最後に、多峰形の床応答スペクトルに対してELAでは複数の収束点が現れる問題に関して、THAとの比較により考察する。
  • その1 荷重の設定法
    加納 俊哉, 龍崎 響, 大田 敏郎, 濱本 卓司
    セッションID: OS02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    構造物に甚大な被害を及ぼす衝突、爆発といった衝撃荷重は、作用時間の短さ、局所性などの特異な要因を持つ。ここでは、衝撃荷重の設定方法の考え方について紹介する。衝突による衝撃荷重は、動的解析や数値的アプローチにより決定することができ、荷重ー時間(F-t )関数で表される。爆発による衝撃荷重は、経験式、実験式から決定され、圧力-時間(p-t)関数で表される。
  • その2 構造材の応答の評価法
    中村 尚弘, 濱本 卓司
    セッションID: OS02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    衝撃荷重に対する建物の損傷を評価するためには,衝撃荷重に対する構造材の応答を検討する必要がある.本報では,建築物の耐衝撃設計の一環として,これらの応答の評価法を示す.実設計で使用するためには,複雑な構造物に対しても適切な精度で容易に解析できる近似的な方法が重要である.衝撃荷重が直接作用する構造部材の最大応答値に対しては,部材の1次モードの影響が支配的と考えられる.これを計算する基本的な手段として,1自由度(SDOF)モデルがある.本報では,等価1自由度モデル化の考え方について示し,解析例として,鉄骨製の柱(以下,鋼製柱)と鉄筋コンクリート製の床(以下,RCスラブ)に衝撃荷重が作用する場合を想定する.時刻歴解析による検討結果を,より詳細なFEM解析の結果と比較検討する.
  • その3 非構造部材の評価法
    竹内 義高, 濱本 卓司
    セッションID: OS02-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    衝撃荷重を受ける建築物においては、たとえ構造部材の損傷が小さく建物の構造安全性には問題を生じない場合でも、非構造部材の損傷による人的被害の発生や、施設の機能に障害による2次的な被害が考えられる。ここでは主要な非構造部材の特徴および設計の現状を示し、衝撃荷重を受ける非構造部材の設計の考え方を検討する。建築物の主要な非構造部材として、ガラス窓、扉類、天井材、外装材、カーテンウォール、間仕切壁、ダクトスペースおよびエレベータシャフトを取り上げる。これら非構造部材の設計の考え方においては、その特徴を勘案し、損傷が生じる可能性を考慮した上で、人的被害を低減するために有効な各種の対策を行う。その対策の検討では非構造部材の損傷と被害における因果関係を定性的に評価することとし、イベントツリー分析(ETA)の概念を導入し、非構造部材の損傷レベルに応じた人的被害度の把握と被害低減方法の検討を行う。
  • その4 設計事例
    西田 明美, 大橋 泰裕, 小尾 博俊, 竹内 義高, 濱本 卓司
    セッションID: OS02-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    一般建築物において、耐震,耐風設計については設計ガイドラインが整備されているが、耐衝突,耐爆発等に対する耐衝撃設計ガイドラインは未整備である。今後は想定外のさまざまな外力を想定する必要があることから、耐衝撃設計ガイドラインの策定が必要とされている。本稿では、建築物の耐衝撃設計の考え方をまとめるにあたり、耐震設計された想定建物に対して適用した耐衝撃設計事例を示す。RC造の建物に対し、内部爆発荷重、外部爆発荷重に対する検討を行った結果を示す。

OS03 電磁力学の数値解析技術と関連話題
OS04 構造物のロバスト最適設計
  • 小島 紘太郎, 藤田 皓平, 竹脇 出
    セッションID: OS04-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    基盤面で地震動の作用を受ける構造物-杭-地盤連成系の地盤特性の不確定性を考慮したロバスト性解析を行う。応答評価には構造物-杭-地盤連成系の単一点入力の応答スペクトル法を用いる。地盤特性の不確定性としては、ひずみ依存性を考慮した剛性、減衰のばらつきを考える。この問題に対して、著者らが提案するURP(Updated reference point)法などを適用する。構造物-杭-地盤連成系モデルでは慣性の相互作用と運動学的相互作用を考慮する必要がある。地盤剛性のばらつきは、それぞれの相互作用効果において逆の効果(応答増大と減少)を及ぼすことを明らかにし、その定量的評価を可能とする方法を提案する。
  • 橋本 大樹, 寒野 善博
    セッションID: OS04-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    本講演では,トラスの形状の不確実性に対するロバスト性を考慮したトポロジー最適化を扱う.即ち,トラスの節点の位置が不確実であると仮定した下で,コンプライアンスの最悪値を最小化するような最適化問題を考える.この問題は,ロバスト半正定値計画として定式化できる.このロバスト半正定値計画に対して,保守的な近似最適解を与える半正定値計画を定式化し,主双対内点法を用いてこれを解く手法を提案する.自然な仮定の下で,この半正定値計画の解は安定なトラスであることを示すことができる.数値実験により,最適解のトポロジーは不確実性の大きさに依存して変化することを示す.
  • 児玉 崚, 豊田 将宏, 小木曽 望
    セッションID: OS04-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    軽量化が求められる宇宙アンテナ構造として,リブ・フープケーブルからなる構造様式が提案されている.これは傘のような構造であり,放射状に配置したリブを,同心円状に配置したケーブルに張力を与えて,リブを弾性変形させることで形状を安定化させる.その設計においては,形状誤差を最小化するリブ構造を求めることが必要となるばかりでなく,製造誤差などに起因する初期不整を調整する能力が必要となる.また,宇宙空間上での外乱に対する形状の外乱が小さいことも必要である.
    この問題は,,形状誤差の最小化と調整用ケーブルの張力変化に対する形状感度の最大化およびその他のケーブル張力の変動に対する形状感度の最小化を考えロバストた多目的最適設計問題として定式化できる.この問題に対して,一本のリブからなる部分構造モデルに満足化トレードオフ法を適用してパレート最適解を求めるとともに,構造のロバスト性を考察する.
  • 山川 誠, 大崎 純
    セッションID: OS04-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    地域特性を反映して予測地震動は設定されるものの,現在の技術水準では地震の発生を不確定な現象と取り扱わざるを得ない.各種パラメータに不確定性を有する構造最適化問題への近似解法提案を目指し,最悪応答解析の精度評価法を本論では扱う.ノンパラメトリック片側許容区間の考え方に基づき,n標本中の第k番目に大きい標本値を調べることで,確率分布に依存せずに最悪応答の精度を見積る方法を提案する.さらに,数値解析例を通じて,構造物パラメータと地震動特性パラメータのそれぞれが不確定性を同時に有する場合においても,与えられた精度で最悪応答のふるまいを確率的に予測可能なことを確認する.
  • 宮本 崇, 本田 利器
    セッションID: OS04-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    社会基盤構造物の耐震性能照査に用いられる設計地震動は,スペクトルフィッティングや強震動シミュレーションなどの手法によって設定される.一方,波形の位相特性の任意性や,シミュレーション上のパラメタの不確実性に起因して,こうした手法から生成される波形は一意に定まらず,構造物に与える影響が異なる多数の設計地震動の候補が想定されうる.
    そこで本稿は,不確実性のために生じる多数の想定地震動から,主要な特性を抽出して1 つの波形に学習させる機械学習の考え方に基づいて,想定地震動を代表する波形を合成する手法を提案した.提案手法は,様々な想定地震動の特性の学習過程によって,多様な特性を合成波形に反映させ,構造物に対する影響の大きい波形を合成することを狙いとしている.数値シミュレーションから,提案した合成波形を設計地震動とした性能照査を行うことにより,設計地震動の不確実性に対して構造物のロバスト性が担保されることを検証した.
OS05 化学工学における数値シミュレーション
  • 流下液膜式マイクロリアクターにおける邪魔板の物質移動促進効果
    石河 秀明, 大川原 真一, 吉川 史郎
    セッションID: OS05-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    流下液膜式マイクロリアクターにおいて、プレート形状の設計論に関する研究報告はほとんどない。本研究では、邪魔板をもつ反応プレートの2次元流れに着目し、邪魔板の形状・間隔が、気液界面の波打ちや流動特性に及ぼす影響について、CFDシミュレーションおよび実験により解析した。邪魔板プレートの流れを決定づける重要因子は、邪魔板間隔、邪魔板高さ、溶媒の表面張力、流速であり、大きく波打ちさせるためには、おおよそ3mm以上の邪魔板間隔が必要で、液膜がブレイクしない範囲で邪魔板を高くする設計が求められることを明らかとした。また、表面張力の小さい有機溶媒、流速の大きい操作条件の方が、波の振幅が大きくなることを明らかとした。実験的に、流下液膜にアクリル粒子を注入し、その流跡線を観察する手法を構築し、それらの波形が、CFDシミュレーションの結果と良好に一致することを確認した。さらに、これらの流動特性が、物質移動に及ぼす影響について検討した。
  • 高村 僚, 山本 卓也, 高木 洋平, 岡野 泰則, 二井 晋, 木下 武彦, 石垣 友三, 柴田 信行, 北川 慎也
    セッションID: OS05-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
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    本研究グループはGaを従来よりも高効率で分離可能な方法として、泡沫分離装置を開発した。この装置は泡の表面に吸着したGaを上昇する泡沫層とともに回収し、非目的物質は泡沫間隙部を流下させることで分離を行う。間隙部液速度は、Gaイオンの吸着に影響を与えるため、分離効率と密接な関係があると考えられる。そこで、効率的な分離を実現するためには、装置内速度分布を制御することが重要であるが、速度分布は装置サイズ等に強く依存し、工業化によるスケールアップの際に変化することが予測される。しかし、装置内速度分布の実測は困難であるため、数値シミュレーションの利用が有効となる。本研究の最終目的は、分離装置内の速度分布を明らかにするモデルを構築し、操作条件、装置形状を最適化することである。泡沫分離装置内の数値解析モデルを構築し、実験結果との比較検討を行ったところ、速度分布、濃度分布について実験結果との定性的な一致が得られた。
  • 高木 洋平, 大畑 貴嗣, 岡野 泰則, サンチェス ゾエ, 金原 和秀
    セッションID: OS05-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    バイオフィルムは流路内壁面に付着した微生物がコロニーを形成し、流れから栄養物を取り込むことによって成長する膜状の構造体である。バイオフィルムは水質浄化作用などの利点を持つが、医療現場では衛生上除去する必要があり、バイオフィルムの発生・成長を制御する必要性がある。バイオフィルムは発生、成長、脱離、再付着を繰り返して存在域を拡大するが、本研究では成長過程に注目した数値シミュレーションを実施した。計算結果より、バイオフィルムの初期配置が重要であり、またバイオフィルム上を通過する流体の対流とバイオフィルム内部への栄養物質拡散の相対強度からバイオフィルムの成長挙動を整理できることがわかった。
  • 高木 洋平, 中本 真義, 岡野 泰則
    セッションID: OS05-01-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    大型船舶の船底塗料として、海水中でハイドロゲル水和層を形成する塗料の開発が進められている。ハイドロゲル塗料は高分子の架橋構造を有し、水和・膨潤することによって塗膜が水棲生物の体表面のようになり抵抗低減効果を持つとされているが、まだそのメカニズムについては明らかになっていない。本研究では、ハイドロゲル塗膜の物理的特性のうち、塗膜上でのすべり速度の発生、粘弾性特性による応力緩和、塗膜表面形状と流体透過性についてそれぞれの壁面モデルを組み込んだ平行平板間乱流の数値シミュレーションを実施し、抵抗低減効果と流れ場特性の関係を調べた。さらに、抵抗低減効果が最大となるような塗膜形成条件をシミュレーション結果から検討した。
  • 増田 勇人, 堀江 孝史, フバチ ロベルト, 大村 直人
    セッションID: OS05-01-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    同心円筒間流れであるクエット・テイラー流を利用した反応器(CTFR)を非ニュートン流体かつ反応による粘度変化の激しい系に適用した。shear-thinning性を有する流体(Carreauモデル流体)が化学反応により粘度増加する系と減少する系を想定し、それぞれ数値解析を用いて流動状態を調査した。数値解析にはオープンソースコードであるOpenFOAMを用いた。反応モデルには一次反応モデルを想定した。shear-thinning性が弱い流体においては、粘度減少系、増加系いずれにおいても高粘度域ではクエット流のみであったが、粘度が低下する領域ではテイラー渦流が形成された。しかし、shear-thinning性が強い流体においては、どちらの系においても流動状態は不安定になり、低粘度域においてもテイラー渦流が形成されなかった。これは反応による粘度変化に加え、強いshear-thinng性によって円筒ギャップ間に大きな粘度分布があることが原因と考えられる。本講演において、装置内粘度分布と流動状態の関係について、数値解析結果をもとに報告する予定である。
  • 西浦 泰介, 下坂 厚子, 阪口 秀
    セッションID: OS05-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    離散要素法(DEM)と流体計算(CFD)を連成して,湿式分散プロセスにおける媒体ビーズと微粒子群の挙動を解析した.本シミュレーションはビーズ周りの流体流れを高解像度で解くことができ,さらに相互作用する微粒子挙動とビーズ挙動を追跡することが可能である.すなわち,凝集体に働く力の大きさや,その力によって凝集体が分散される場所を特定することが可能である.このシミュレーションを通じて,凝集体の分散に対するビーズ間衝突と流体流れの効果を詳細に調べた.そして,分散される凝集体に支配的に働いている力を特定した.
  • 名嘉山 祥也, 梶原 稔尚, 木村 公一, 竹内 貴季, 富山 秀樹
    セッションID: OS05-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    二軸スクリュ押出における溶融混練を,流動による混合過程によって評価する方法について議論する.
  • 茂田 正哉
    セッションID: OS05-02-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、核生成、凝縮、凝集による集団的成長過程にあるナノ粒子群が同時に拡散、熱泳動および熱プラズマの対流によって輸送される非平衡な現象を取り扱うための簡便であるが矛盾のないモデルを構築した。さらに、熱プラズマの流体力学的挙動を表現でき、かつナノ粒子群の空間分布における急勾配も捉えることのできる高次精度の数値シミュレーションコードを開発した。これにより、熱プラズマジェットが周囲の冷たい外気を巻き込む非定常的な挙動だけでなく、発生した渦にナノ粒子群が輸送されながら成長していく過程も数値計算することができた。高速のプラズマジェットは流体力学的な不安定性により冷たい外気との界面で渦を生み、外気を巻き込みながら、やがて崩壊に至る。また、この界面において小さなナノ粒子が数多く発生し、それらは輸送されながら成長していくことも示された。
  • 水口 尚, 吉野 達也, 岡野 泰則
    セッションID: OS05-02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    シリコン製チップに比べ大幅な消費電力の低減が可能なシリコンとゲルマニウムの合金(Si/Ge)製チップの実用化には、高品質なバルク単結晶の作製が求められている。しかし、SiとGeの比重差が極めて大きいため通常の条件で融液から結晶を作製すると重力偏析が生じ、均一でかつ大型の結晶を作製することが困難となる。そこで、重力偏析の生じない微小重力環境下においてFloating Zone法を用い、Si/Geを作製することが提案されている。本系においては従来の温度差に起因するマランゴニ対流に加え、濃度に起因するマランゴニ対流をも考慮する必要がある。これはSiの偏析係数が極めて大きいため、育成結晶内に大量のSiが取り込まれ、結晶成長界面付近ではGeリッチとなり、濃度勾配による界面張力勾配(σSiGe)が発生するためである。本研究では、ハーフ・ゾーンモデルに濃度差を擬似的に考慮することで、融液内に発生する温度差と濃度差に起因するマランゴニ対流の共存効果とその制御方法について調査した。
  • ミルサンディ ハルヨ, 山本 卓也, 高木 洋平, 岡野 泰則, 稲富 裕光 , 早川 泰弘
    セッションID: OS05-02-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    InxGa1-xSbは電子デバイスの材料として期待される三元混晶半導体の一つであるが、地上重力下では密度差対流のため均一組成のバルク結晶を得ることが困難である。一方、微小重力下では対流が抑制されるため、良質な結晶を得られることが期待される。そこで我々は混晶半導体結晶成長に関する知見を得るために、国際宇宙ステーションを利用した結晶成長実験を行ってきた。本研究では、数値解析により、界面カイネティクスがInGaSb結晶成長に及ぼす影響について検討を行った。計算結果より、カイネティクス係数が小さくなるにつれて、InGaSb結晶成長速度およびGaSb供給原料の溶解速度が小さくなるという結果が得られた。
OS06/OS14 合同 メンテナンスのための力学問題と逆解析/逆問題解析とデータ同化の新展開
  • 丸山 泰蔵, 斎藤 隆泰, 廣瀬 壮一
    セッションID: OS06-OS14-01-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    異種材料接合界面における不完全接合部は、多くの場合、欠陥が閉じているため通常の線形超音波法ではほとんど散乱波を受信することができず、検出が困難である。そのため、閉じたき裂に対して有効な検査手法である非線形超音波法の応用を考える。非線形超音波法とは、大振幅の入射波を用い、閉じた接触界面の動的作用を誘発させることによって、高調波、分調波から成る非線形超音波を発生させる手法である。しかしながら、その接触界面の動的作用は複雑であり、現象の理解、及び適切な検査手法の開発には数値シミュレーションが重要である。そこで、既往の研究と比較して、より現実に即した3次元数値シミュレーションを行う。本研究では、不完全接合界面における境界条件の取り扱いに適した時間領域境界要素法を用い、二層媒体に対する散乱波の遠方近似を用いて受信波の計算、及びそのフーリエスペクトルの評価を行う。
  • 木本 和志, 市川 康明
    セッションID: OS06-OS14-01-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、薄板内のき裂を、ガイド波を用いて検出および評価するためのイメージング法を提案するものである。ここで提案する方法は、時間反転収束の考えに基づき、薄板内部の応力フリーな境界を検出することで、板長手方向の正確な位置に加えて深さ方向にみたき裂サイズの推定を行うものである。ガイド波の送受信は、一般的な超音波探傷の送受条件を念頭に置き、板部材の片側、き裂に対して一方向から送受信するものとし、本研究では、数値シミュレーションによって用意した観測波形を使い、薄板内おのき裂イメージングが可能であることを示した。特に、板長手方向の位置推定制度は、送信波の広帯域化が、深さ方向のき裂サイズ推定能に関しては、低次のガイド波モードを選択して用いることが重要であることが明らかとなった。
  • 須藤 敦史, 丸山 収, 兼清 泰明
    セッションID: OS06-OS14-01-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    最近,社会基盤施設において老朽化に伴うさまざまな不具合が現れてきているため,しっかりした維持
    管理やメンテナンスシステムの構築とその効率的な運用が求められており,供用期間中において災害などで損傷するリスクを考慮したライフサイクルマネジメント(Life Cycle Management : LCM)の考え方が重要となってきている.一方,山岳トンネルは長い耐久年数を必要とする社会基盤施設であり,今後の社会情勢を考えると現在の施設のライフサイクルコスト(Life Cycle Cost : LCC)の最適化を図っていかなければならず,経年劣化などとともに自然災害などによる損傷リスクを考慮してその保有性能を考えなければならない.
    そこで本論文では,寒冷地(北海道)の道路トンネルを対象として予防保全を基本として供用期間中の
    自然災害による損傷リスクを組み込んだトンネル覆工の劣化予測モデルを提案し,実際のトンネル点検データと北海道における地震発生リスクにより提案手法の有用性を示している.
  • 丸山 收, 須藤 敦史, 兼清 泰明, 佐藤 京, 西 弘明
    セッションID: OS06-OS14-02-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    トンネル構造物の維持管理を合理的かつ経済的に行うために,トンネル管理システム構築の重要性が指摘されている.管理システムの確立のためには,トンネル構造物の供用期間中の劣化度・損傷程度の時間的な推移を,適切に予測,評価することが必要である.本研究では,180本以上のトンネルにおける全ての覆工コンクリート版の点検データを整備して,得られた情報をもとに覆工コンクリート劣化過程のトンネル内およびトンネル間相関モデルを構築することを目的としている.初めに,1トンネル内における覆工コンクリート劣化に関する空間相関モデルの推定を行う.次に,地域特性を考慮した異なるトンネル間における劣化状態の相関関係について考察する.これらのモデル化を行うことにより,覆工コンクリート劣化状態把握の一般的な議論が可能となると考えている.
  • パドグンスリボウオーン ウオラウイット, 古川 陽, 廣瀬 壮一
    セッションID: OS06-OS14-02-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    画像品質評価の中で,平均構造類似索引(MSSIM)は定性的な人体視覚システムと一致する定量的な評価法として広く使われている.この方法は画像の違いを数字で表すことができるため,非破壊検査法における超音探傷法の画像化に適用することで人間による評価を使わずに機械が自動的に評価することができる可能性がある.そこで、本研究はその新しい方法の基礎となる鋼板裏面における欠陥の有無を自動的に探傷する方法を開発し,その有効性を検討する.
  • 兼清 泰明, 丸山 収, 須藤 敦史, 佐藤 京
    セッションID: OS06-OS14-02-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    まず,ポアソン型白色雑音が駆動する確率微分方程式により,寒冷地でのトンネル覆工コンクリートの劣化損傷過程を理論的にモデル化する.次に,定期的な点検に基づく保守プログラムを想定し,構築した劣化モデルに基づいて,点検時の補修量の最適値を理論的に導出する方策について考察する.ここで,最適補修量は,点検コスト,補修コスト,破壊損失コストの総和を最小化する補修量として定義される.次に,最適補修量を導出するための一種の変分方程式を構成し,それを解くことにより最適補修量を具体的に導出する.さらに数値例を通じた検証を行う.
  • 笠原 弘貴, 斎藤 隆泰, 古川 陽, 廣瀬 壮一
    セッションID: OS06-OS14-03-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    演算子積分法は畳込み積分をラプラス変換域の関数を用いて離散化近似する方法である。その演算子積分法を時間領域境界要素法に適用した演算子積分時間領域境界要素法は、時間領域で閉じた形式の基本解を求めることが難しい問題に対して有効な手法である。しかしながら、演算子積分時間領域境界要素法の活用の利点はそれだけではない。例えば、時間領域でき裂の動的問題を扱う場合、解析スキームは難解となるが、演算子積分時間領域境界要素法の解析スキームは従来の時間領域境界要素法に比べ容易であり、扱いやすい、そのため、3次元き裂の動的問題に対する演算子積分時間領域境界要素法を開発することは、応用面も含めて意義深いものである。そこで本研究では、3次元等方弾性体中のき裂による弾性波動散乱問題に対する演算子積分時間領域境界要素法を定式化し、簡単な散乱問題を解析することで、本手法の有効性を示す。
  • 金井 翔平, 斎藤 隆泰, 丸山 泰蔵, 廣瀬 壮一, 中畑 和之
    セッションID: OS06-OS14-03-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本研究では、正則化された表面力境界積分方程式を用いてき裂の開閉口挙動の3次元解析を行う。近年、超音波非破壊評価法の分野では、き裂の動的開閉口に由来して発生するとされる高調波や分調波を用いた新しい非破壊評価法(非線形超音波法)が注目を集めている。しかしながら、それら高調波や分調波の発生機構には未知な部分も多い。そのため、き裂の動的開閉口をモデル化し、シミュレーションを数多く実行することで、理論的に高調波や分調波の発生メカニズムを解明することが重要な課題となっている。そこで、本研究では、き裂を数学的に厳密にモデル化できる時間領域境界要素法の数値安定性を改善した演算子積分時間領域境界要素法を用いてき裂の開閉口等をシミュレーションすることで、高調波や分調波の発生メカニズムを探ることを行う。
  • 中畑 和之, 廣瀬 壮一
    セッションID: OS06-OS14-03-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    コンクリート構造部材中のボイド欠陥や,補強鉄筋等の埋設物を超音波と電磁波を用いて映像化する.本研究では,超音波探触子,あるいは電磁波アンテナをアレイ状に配置し,全波形サンプリング処理(Full-waves sampling and processing: FSAP) 方式による開口合成原理によって,欠陥や埋設物を再構成する.超音波・電磁波計測実験と,数値解析によるシミュレーションの両側面から検証を行うことで,本手法の妥当性を示す.
  • 金井 淳, 丸山 泰蔵, 廣瀬 壮一
    セッションID: OS06-OS14-03-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    現在、日本には高度経済成長期に建設されたコンクリート構造物が数多く存在し、それらは耐用年数を迎えようとしている。そのため、コンクリート材料に対する非破壊検査手法の早急な開発が強く望まれている。中でも超音波法は安全であらゆる現場で手軽に扱うことができ、コンクリート構造物に適用しやすいと考えられる。そこで、閉じた亀裂に大振幅の超音波を入射し,亀裂面の開閉や摩擦といった動的作用を誘発させることによって発生する高調波から亀裂の評価を行う非線形超音波法に着目した。本研究では,非線形超音波法を用いた普通コンクリート及び、鋼繊維補強コンクリートのひび割れ評価手法の開発を目的とし、繰り返し一軸圧縮試験に伴う亀裂の発生・進展と、透過法を用いた時の受信波に含まれる非線形成分の関係性を考察する。また、亀裂の発生・進展を定量的に評価するためにアコースティック・エミッションも同時に計測し、累積AEヒット数の結果と非線形成分の相関を調べる。
  • 池田 義人, 遠藤 龍司, 登坂 宣好
    セッションID: OS06-OS14-04-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    筆者らはこれまで,3層フレームモデルの全層の水平剛性を同時に同定する逆問題解析を通じて,可変的パラメトリック射影フィルタの特徴と有効性を報告してきた.このときの観測量は固有振動数であり,実験モード解析により得られた1次モードから3次モードまでの全ての値を採用した.しかし,実際の建築物において,通常の常微振動測定等では3次モードまでの固有振動数を実測することは困難であり,観測量の低減について検討する必要がある.そこで本研究では,システム同定の実用化を目指し,観測量である固有振動数が1次モードまたは2次モードまでしか得られなかった場合の,本逆問題解析手法の可能性について,可変的パラメトリック射影フィルタの特徴の観点から検討することが目的である.
  • 片峯 英次, 加藤 勇希
    セッションID: OS06-OS14-04-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    熱弾性場の部分領域において熱応力分布を規定する形状同定問題の解法を提案する.はじめに,熱弾性場の部分領域におけるMises応力分布が目標のMises応力分布に規定する形状同定問題を定式化する.次に,随伴変数を用いて,形状同定のための感度となる形状勾配関数を導出する.最後に,導出した形状勾配関数に基づいて力法を適用した簡単な二次元問題の数値解析例を紹介する.
  • 寺田 大介, 橋本 博公, 松田 秋彦
    セッションID: OS06-OS14-04-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    船舶を建造するにあたっては、国際海事機関で定められた種々の要件を満たす設計を行なう必要がある。船舶が転覆せずに安定して浮いていることを規定する規則としては船舶復原性規則があり、その中で転覆に至る種々の現象に関して数値的に検討しておくことが義務づけられている。船舶が転覆に至る現象の一つにパラメトリック横揺れ現象があり、本研究ではこの問題に着目する。この現象を記述する数学モデルとして数種類のモデルが提案されている。しかし、どのモデルが現象を正確に説明するかについて客観的に評価されたことはなく、種々の議論が尽きない。そこで、本研究ではパラメトリック横揺れ予測数学モデルを客観的に評価するために逐次データ同化を応用した。また、これまでは経験式に基づいて与えていたモデルで使われる物理パラメータに関しても状態推定と同時に推定している。方法論の妥当性は双子実験を実施した結果に基づいて検証した。
  • 岸本 喜直, 小林 志好, 大塚 年久, 岡本 弘, 芦澤 勇暉
    セッションID: OS06-OS14-04-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    配管を健全な状態に保つためには老朽化した部分の交換が必要となるが,配管の交換時期を決定するには配管壁の厚さを管理することが重要である.本研究では,磁気センサを用いて配管壁の厚さを非破壊で同定する手法を提案した.本手法では,配管に電流を印加したとき,配管壁周囲で測定される磁束密度のデータから逆解析的に配管壁の厚さを同定する.ここで,磁気センサ近傍に高透磁率材料を設置することで磁束密度をより感度良く測定できると考えられる.本報告では,数値シミュレーションと実験によって,提案した配管壁の厚さの同定手法の有効性を検証するとともに,高透磁率材料を設置することによる磁束密度測定の高感度化について検証した.検証結果から,本手法を用いて高透磁率材料の有無に関わらず,配管壁の厚さが同定できた.また,高透磁率材料を設置することで測定される磁束密度の増加および配管壁の厚さの変化に対する磁束密度の変化量の増加が確認された.
  • 大川 晋平, 池原 辰弥, 小田 一郎, 山田 幸生
    セッションID: OS06-OS14-05-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    小動物を対象とした蛍光トモグラフィーが新薬の開発や医学・生物学研究において注目されている.蛍光トモグラフィーは蛍光標識した薬剤やがん組織などの画像化対象の分布を,生体表面で測定された蛍光強度分布から再構成する.光は生体内で散乱・吸収されて伝播する.散乱によって生体深部にある蛍光源の位置の特定は困難になる.本研究では生体内の光の伝播を近似的に記述する光拡散方程式を用いた順問題をもとに逆問題を解き,蛍光物質分布を再構成した.再構成において,解のp-ノルム(0<p<2)を正則化に用いて再構成される蛍光物質分布の局在性を向上させることを試みた.5方向から励起光を照射し,それぞれの照射について5方向で検出した蛍光強度測定データから,小動物体内の蛍光物質分布再構成を行う手法を提案し,計算機シミュレーション,ファントム実験及び実際にマウスを用いた実験を行って,提案手法の有効性を検討した.
  • 中村 なつ美, 大西 有希, 天谷 賢治
    セッションID: OS06-OS14-05-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    細胞内の環境は,外的刺激や内的要因に応じて,細胞内の各部位において時々刻々と変化している.生命現象を理解するうえでは,細胞内シグナルをリアルタイムで高感度に観察することが重要であるため,生きた細胞内で特定の物質を蛍光試薬でラべリングして観察することができる蛍光イメージング手法は,生物学において不可欠の研究手法である.しかし,蛍光イメージングは定量性に問題があるため,細胞内シグナルの定性的な理解はできるが,定量的な理解には至っていない. 本研究では,観察の対象となる物質のダイナミクスを記述した数理モデル,蛍光観察の数理モデルおよび蛍光強度のイメージを基にデータ同化を適用し,蛍光イメージングによる対象物質濃度推定の定量的な精度を向上させる手法を提案する.また,数値実験および実際の実験を行い,提案手法の精度および有効性を検証する.
  • 東森 信就
    セッションID: OS06-OS14-05-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/02/24
    会議録・要旨集 フリー
    本講演では,本来は空間3次元の放射輸送方程式を1次元化した方程式に対する係数決定逆問題を考察する.この問題は低エネルギーの近赤外光を用いる画像診断法として研究されている光トモグラフィと関連したものである.光トモグラフィは生体内での光の伝播を放射輸送方程式によりモデル化し,解の境界観測から生体内の光学特性分布を再構成する逆問題として定式化される.本講演では本来の問題を1次元に簡略化した問題を取り上げ,主結果としてパルス状の入力に対する応答の観測を用いた係数決定の一意性を述べる.
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