中小企業会計研究
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2021 巻, 7 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 河﨑 照行
    2021 年 2021 巻 7 号 p. 1
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル オープンアクセス
  • 河﨑 照行
    2021 年 2021 巻 7 号 p. 2-14
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
    ジャーナル オープンアクセス

     本稿の目的は,新型コロナが中小企業に及ぼす影響を概観し,ニューノーマル時代における中小企業の経営と会計の課題を論じることにある。ニューノーマルとは,「New(新しいこと)」と「Normal(正常,標準,常態)」を融合させた造語であり,「After コロナ・With コロナ」の時代に求められる新たな生活様式をいう。

     本稿の主要な論点は次のとおりである。

     (1)新型コロナの感染拡大はわが国の企業活動に大きな打撃を与えており,とりわけ,中小企業はその影響が大きい。実態調査によれば,「廃業」を検討する中小企業が現れるなど,コロナ禍は中小企業の事業継続に深刻な打撃を与えている。

     (2)ニューノーマル時代における中小企業経営の重要課題として,①「BCP(事業継続計画)」と②「テレワーク・DX(デジタルトランスフォーメーション)」をあげることができる。

      ①BCP とは,「不測の事態が発生しても,重要な事業や業務を中断させないための方針,体制,手順などを示した計画」をいう。コロナ禍(企業リスク)に対応するためには,その策定が不可欠であり,中小企業BCP の推進が望まれる。

      ②テレワークとは,「ICT(情報通信技術)を利用し,時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」をいい,DX とは,「データとデジタル技術を活用して,業務や組織,企業文化などを変革し,競争上の優位性を確立すること」をいう。コロナ禍により,中小企業のIT 導入は徐々に広がっているものの,本格的なテレワークやDX の取組みまでには至っていない。

     (3)ニューノーマル時代の職業会計人に期待される役割は,「認定経営革新等支援機関」としてのそれである。職業会計人には,専門知識を活用して,中小企業の財務経営力を強化させ,ニューノーマル時代を生き抜く中小企業の伴走者としての役割が期待されている。

  • ―不況を乗り切る処方箋―
    飯塚 真規
    2021 年 2021 巻 7 号 p. 15-28
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
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     未曾有の不況の到来。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって,数多くの中小企業は事業活動の縮小を余儀なくされ,存亡の危機に立たされることになった。外出自粛に伴う消費の低迷により,外食産業や観光業を中心に日本経済はかつてない苦境に直面している。政府発表では,2020年4 ~ 6 月期の実質GDP(国内総生産)の速報値は,年率換算で27.8%減少し,戦後最悪の落ち込みを記録している。

     政府の助成金や緊急融資によって当面の資金を確保できた中小企業も,このいつ終わるのかわからない不況を乗り切るために必要な対策を取らなければならない。

     中小企業がこの苦境を乗り越えるには,経営の羅針盤となる「適時・正確な会計帳簿」と「中期経営計画」,そして何よりも「資金」が必要になる。つまり,「会計の力」こそが,不況を乗り切る処方箋だと言える。しかし,多くの中小企業では会計に関する専門知識を有する人材が不足しているため,この処方箋を手に入れることができていない。

     これらの課題を解決し,難局を乗り越えて行くには,中小企業の社長自らが,経営に必要となる数値情報をリアルタイムに確認でき,迅速に意思決定できる経営環境を整える必要がある。そのためには,税理士等の会計専門家と会計ソフトを始めとするICTの活用が必須の条件だ。また,自社で作成した「会計帳簿」と「中期経営計画」を取引銀行に説明することで,銀行との信頼関係を構築することも重要である。

     株式会社TKCは,こういった中小企業の経営課題を解決するために,全国の会計事務所を通じて,どのような支援を展開しようとしているのか? 2020 年10 月4 日にオンライン開催された「中小企業会計学会第8回全国大会」で講演した内容をご紹介する。

  • ―書面添付制度を活用した決算書の信頼性の確保―
    小川 晃司
    2021 年 2021 巻 7 号 p. 29-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
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     中小企業金融において,貸し手と借り手の情報格差である「情報の非対称性」は,従来から大きな問題とされている。金融機関は,「情報の非対称性」によるリスクをカバーするため,融資の際に経営者本人の保証や不動産の担保提供を要求することで対処してきた。しかし,「情報の非対称性」によって決算書の信頼性を確保できない融資の実行は,経営の不透明化を生じさせ,中小企業の継続・成長を阻む虞がある。そこで,本稿では,わが国の中小企業金融において「情報の非対称性」を解消・縮減し,「決算書の信頼性」を確保する制度について, 情報の非対称性に着目した観点から考察を行った。

     ドイツには,中小企業の「決算書の信頼性」を確保する制度として,税理士等が行うベシャイニグング作成業務がある。ベシャイニグングは,決算書の作成者である税理士等が同時に決算書の作成に関する証明書を発行し,ドイツの中小企業金融という「場の条件」に適合した場合のみ成立する独自の制度として,社会に広く普及・定着している。

     重要なことは,決算書に対する信頼性の程度は,税理士による税務代理から,会計監査人による監査証明まで,「保証の内容がグラデーションをなして『保証の連続体』を構成している」という点である。その前提に立てば,わが国の中小企業においても税理士および既存の制度である書面添付制度を活用することによって,「決算書の信頼性」の確保は可能となる,と筆者は考える。

     書面添付制度は,税理士による「税務申告に関する保証業務」と同時に,確定決算主義を根拠とした間接的ではあるが一定の「決算書の信頼性」を確保できる制度である。本稿では,税理士の厳格な独立性と税務申告の信用力を包括して法制化された「わが国固有の価値ある書面添付制度」を社会に普及・定着させるべきとの結論に至った。

  • 姚 小佳
    2021 年 2021 巻 7 号 p. 41-50
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
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     本研究は,中国の『小企業会計準則』における収益認識の規定を詳細に解説し,簿記処理を検討したうえで,『小企業会計準則』における収益認識の特徴を明らかにしようとするものである。

     中国財政部は,小企業の認識・測定・報告に関する会計行為の規範として,2011 年に『小企業会計準則』を公表した。『小企業会計準則』は,収益に関して,商品販売,役務提供とその両方を含む取引について,認識要件と測定方法を規定している。商品販売による収益関しては,「所有権の移転に伴うリスクと経済的便益が移転する」という認識基準よりむしろ,具体的な認識時点が提示されている。役務提供による収益に関しては,同一会計年度内に開始し完了する役務について,役務提供が完了した,かつ代金を受け取ったあるいは代金を受け取る権利を取得した時に,収益は認識される。役務提供の開始と完了は異なる会計年度に行われる場合には,工事進行基準に基づいて収益は認識される。商品販売と役務提供の両方を含む取引に関しては,商品販売と役務提供を区分しかつ個別に測定できる場合には,両者を区分して会計処理する。

  • 鵜池 幸雄
    2021 年 2021 巻 7 号 p. 51-55
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
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  • 成川 正晃
    2021 年 2021 巻 7 号 p. 59
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/09
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