2019年に国際オリンピック委員会はアスリートの精神不調・障害に関する声明文を発表した。国内でもアスリートの精神不調・障害への注目が高まっており、今後より多くの医療関係者がその診療に当たる可能性がある。しかし日本では、研究や実践が少なく、指針が確立されていない。このような状況を鑑み、本稿では、アスリートの精神不調・障害、特に睡眠障害、大うつ病性障害/うつ病症状、不安関連障害、摂食障害、注意欠如多動性障害、双極性障害および精神病性障害について、有病率、声明文の薬物治療に関する内容、日本での薬剤の承認状況を記載した。向精神薬についてアスリートを対象に効果の検証がされているものは少なく、専門家の意見が根拠になっているものが多い。また海外のスポーツ精神科医が使用する頻度が高い薬剤には日本では未承認であるものが含まれているため、国内でもアスリートに対する薬剤選択について研究の促進が求められる。
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