2000年のシドニーパラリンピックで、知的障がいクラスで金メダルを取ったスペインバスケットボールチームに多くの知的障がい者ではない選手がいたことが明らかになった。IPC(国際パラリンピック委員会)は、公式な知的障がい者クラスはパラリンピックに設けないこととし、その一方でINAS(国際知的障害者スポーツ連盟)とIPCは、合同で知的障がいクラスの新しい参加資格を作るための作業に入った。このプロジェクトは、すべての知的障がいを持つ競技者の一般的な資格を作るとともに、各スポーツ独自の資格を作ることを目指した。IPC主催の試合に参加するには、初めに医学専門家が作成した証明書をINAS国際資格委員会に提出して審査を受け、その次に、試合会場で各スポーツの国際競技団体から指定されたクラス分け委員による検査を受けることになる。試合会場でのテストでは、知的障がいが各スポーツの競技技能に影響を与えているという「sports intelligence」が評価の中心となる。これらの結果、2012年のロンドンパラリンピックで、陸上、水泳、卓球の各競技に知的障がいクラスが復活した。このような手続きは厳密さを確保するものの、書類作成や審査にかかわる専門家たちに多くの負担を課しているが、我々関係者は知的障がい者の競技性の高いスポーツへの参加機会を維持するために努力していかなければならない。
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