日本科学技術ジャーナリスト会議（JASTJ）は5月31日、2023年度総会を日本プレスセンタービルで開催した。リモート参加も可能なハイブリッド方式で開いた。対面での開催は2019年度以来４年ぶり。

月例会などの開催（倉澤治雄・企画委員長）

科学ジャーナリスト塾（高橋真理子・塾長）

会報・ウェブなどによる情報発信（滝澤美奈子・編集広報委員長）

科学ジャーナリスト賞（元村有希子・科学ジャーナリスト賞選考委員長）

国際活動（小出重幸・国際委員長）

22年度決算報告と23年度予算（滝順一・総務委員長・事務局長）

賛助会員との交流会

　賛助会員の皆さんとの交流会を3月3日（金）18時から日本プレスセンタービル10階ホールで開いた。毎年夏の恒例行事だった交流会は、新型コロナ流行のため長らく中断、2019年8月以来、およそ3年７カ月ぶりの対面による開催となった。

（滝順一）

ZOOM 井戸端会議

「高等学校の理科教育を考える」

　東邦大学理学部教授　今井泉さん

　　合いの手　国立天文台准教授　縣秀彦さん

「地球を脅かす小惑星の真実」

　日本スペースガード協会理事　山本威一郎さん

　　合いの手　JASTJ企画委員長　倉澤治雄さん

（森時彦）

　「科学ジャーナリスト賞2023」の最終選考会を4月8日に日本プレスセンターで開催し、優秀賞に3作品、特別賞に1作品を選んだ。同賞は優れた科学報道や著作、コミュニケーション活動を顕彰する賞で、今回が18回目。特に優秀な作品に贈る「大賞」は該当作品がなかった。

科学ジャーナリスト賞2023 受賞作品

優秀賞

　新聞

　福井大教授「査読偽装」を巡る一連のスクープ

　　鳥井真平、柳楽未来（毎日新聞）

　書籍

　「美食地質学」入門～和食と日本列島の素敵な関係

　　巽好幸

　書籍

　「情報パンデミック　あなたを惑わすものの正体」

　　読売新聞大阪本社社会部（代表・中沢直紀）

特別賞

　博物館

　福井県年縞博物館　常設展

　　福井県年縞博物館（代表・吉田昌弘館長）

　「科学ジャーナリスト賞2023」の選考にあたった有識者委員に講評を書いていただいた。受賞理由が分かりやすく解説されている。最終審査に残った10作品のうち５点が書籍だったが、全体講評では、書籍のレベルが上がっていると評価された。

全体講評

　選に漏れた映像作品も良かった

　（東北大学副学長、教授　大隅典子）

毎日新聞　偽装査読

　新たな研究不正を明らかに

　（東京大学名誉教授　浅島誠

巽 好幸　「美食地質学」入門

　なぜ和食は美味なのか

　（科学技術国際交流センター会長　相澤益男

読売新聞　情報パンデミック

　誰もが発信源というメディア

　（東京大学名誉教授　村上陽一郎

特別賞　福井県年縞博物館

　世界的な研究成果を社会に還元

　（筑波大学名誉教授　白川英樹）

世界の科学ジャーナリストら500人超　コロンビア・メデジン市に集う

　第12回科学ジャーナリスト世界会議（WCSJ2023）が、2023年3月27日～ 30日、南米コロンビアの第二の都市、メデジン市の「メデジン植物園」を会場に開催された。

世界会議　日本開催を望む声も

　「世界科学ジャーナリスト連盟(WFSJ)」は、世界会議のときに年次総会（AGM）を開く決まりになっているが、今回は総会を開けず、代わりに「情報交換会」が行われた。

写真で振り返るWCSJコロンビア大会

　第12回科学ジャーナリスト世界会議（WCSJ）コロンビア大会の主なイベントは、すべてメデジン植物園の野外スタジオで開かれた。コロンビアの空は一日のうちにコロコロ変わり、スコールのような激しい雨が降ったこともあったが、天井があるので問題なく会議が続けられた。会場後方では、国際組織などがブースを設け、随時、参加者たちの質問に答えていた。（高橋真理子）

メデジン市民の誇りとなっている公共交通機関メトロ

　市内だけで250万人、郊外を含めると350万人以上が暮らしているメデジン市で、市民生活に欠かせない足となっているのが、公共交通機関のメトロだ。コロンビアで電車が走っているのはメデジン市だけで、市民はとても誇りにしている。科学ジャーナリスト世界会議の場でも、メトロの歴史や意義を伝えるミニセッションがあった。（照山恵美子）

　科学ジャーナリスト世界会議コロンビア大会（WCSJ2023）は、「南」の国々（グローバルサウス）の存在感が確実に増す中で準備され、開催された。会議の中でもっとも頻繁に聞かれた単語は、“global（地球レベルの）”、“pandemic（パンデミック）”、そして”diversity（多様性）”の３つであろう。日本の「いま」と「これから」のキーワードでもある。

　2023年2月の例会は、大阪大学大学院医学系研究科特任教授の澤芳樹氏を招いて東京都千代田区の日本プレスセンタービルで開かれた。心臓外科医として、また心臓をターゲットにした再生医療の開発でも知られる澤氏。直近ではiPS細胞由来の心筋細胞シートを開発しており、例会の数日前に最新の症例について発表したばかりだった。まさにホットな話題だが、会員の多くと澤氏の間には、過去にも熱いぶつかり合いがあったようだ。

　病気などで失われた脳機能を工学的に再建する技術の研究開発に取り組んでいる大阪大学大学院医学系研究科脳機能診断再建学共同研究講座特任教授の平田雅之さんを講師に、3月例会が3月10日、オンラインで開かれた。平田さんは「BMIが開く脳機能の診断・再建技術の現状と今後の展望」をテーマに話した。

　ロシアのウクライナ侵攻で核兵器使用が現実の脅威となるなか、４月17日の例会は、長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎・副センター長に「迫りくる核の破局リスク」をテーマに話してもらった。「核兵器が最初に撃ち込まれるのは核超大国ではなく、日本などだろう」など、刺激的な話が続いた。講演はオンラインで行われた。

オピニオン　「利益相反」が「科学」を歪めている（林 衛）

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