日本冠疾患学会雑誌
Online ISSN : 2187-1949
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23 巻, 2 号
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原著
  • 山中 一朗, 仁科 健, 三和 千里, 廣瀬 圭一, 阪口 仁寿, 水野 明宏, 吉田 幸代, 矢田 匡, 恩賀 陽平
    2017 年 23 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/26
    [早期公開] 公開日: 2017/04/20
    ジャーナル フリー
    【目的】過去9年間に経験した,冠灌流障害を伴ったスタンフォードA型急性大動脈解離 (AAAD) について検討した.【対象および方法】2007年からのAAAD手術228例中,冠灌流障害併発した12例5.3% (男7女5, 平均年齢65.7歳) を対象とした.冠動脈に解離が波及したのが11例,狭心症合併1例であった.術前PCI2例,術中冠動脈バイパス術 (CABG) 併施11例,術後PCI1例であった.心筋虚血部位は,下壁領域8例,前壁中隔領域3例,全体1例であった.【結果】手術死亡3例 (敗血症性ショック1例,脳出血1例,腸管虚血1例) で,いずれも右冠動脈病変であった.他の症例は軽快退院した.【考察および結語】AAADに伴う冠灌流障害は予後不良であるため,救命のためには積極的に冠灌流の再開に努め,早期大動脈解離手術を施行することが不可欠である.
  • 降矢 温一, 東上 震一, 畔栁 智司, 薦岡 成年, 榎本 匡秀, 小島 三郎, 若林 尚宏
    2017 年 23 巻 2 号 p. 86-91
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/26
    [早期公開] 公開日: 2017/05/25
    ジャーナル フリー
    【目的】CABG後の再開心術について傾向と遠隔成績について検討した.【対象】1994年から2014年6月までの間に当施設で施行したCABG後再開心術127 例(平均年齢70.9 ± 8.8 歳,男性65.4%)を対象とした.【結果】初回CABGからの平均期間7.5 ± 5.5 年.手術内容は再CABG(C群)62 例(48.8%),AS,ARに対するAVR(A群)33 例(26.0%),MRに対するMVP/MVR(M群)18 例(14.2%),胸部大動脈瘤手術(T群)14 例(11.0%)であった.手術死亡6 例(4.7%),病院死亡17 例(13.8%)であり,緊急手術例が病院死亡リスクとしてあげられた(p=0.019).生存率は全体では1年,5年で77.4%,61.5%であった.術式別ではC群84.2%,72.5%,A群79.3%,55.9%,M群65.5%,48.5%,T群60.1%,45.1%であり,再CABGが他術式群にくらべ有意に良好であった(p=0.013).【結語】CABG後再開心術は再CABGが最多であり,病院死亡リスクは緊急手術があげられた.再CABGは弁膜症,大動脈手術などの他術式間よりも遠隔成績は良好であった.
  • 寺谷 裕充, 田代 忠, 和田 秀一, 松村 仁, 峰松 紀年, 神谷 信次, 助弘 雄太, 山田 英明, 藤井 満, 伊東 千早
    2017 年 23 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/26
    [早期公開] 公開日: 2017/05/25
    ジャーナル フリー
    【目的】びまん性左前下行枝(LAD)病変に対する冠動脈バイパス術(CABG)戦略について検討した.【方法】1995年9月から2014年3月までのびまん性LAD病変を有する59 症例を対象とした.LADに複数のバイパスを施行したmultiple grafting群(M群:47 例)とonlay patch grafting群(O群:12 例)に分け,早期および遠隔成績を比較した.【結果】吻合数はM群4.8ヵ所,O群で4.3ヵ所であった.手術時間はO群で有意に長く,周術期の出血再開胸,脳血管イベントはO群で多かった.両群で早期死亡は認めなかった.遠隔期の心死亡回避率,心事故回避率,グラフト開存率は両群ともに良好で有意差は認めなかった.【結論】びまん性LAD病変に対するmultiple graftingとonlay patch graftingによるCABGにおいて,早期および遠隔期成績は良好で,両群で差を認めなかった.
  • 武田 和也, 千田 浩一, 桃原 哲也, 高山 守正, 高梨 秀一郎
    2017 年 23 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/26
    [早期公開] 公開日: 2017/06/01
    ジャーナル フリー
    われわれは心臓カテーテル検査および冠動脈インターベンションにおけるバイプレーン装置とシングルプレーン装置による被ばく線量の違いを調査した.心臓カテーテル検査857例および冠動脈インターベンション142例の透視時間,透視線量,シネ撮影回数,シネ撮影線量,総線量,造影剤量を比較検討した.心臓カテーテル検査ではバイプレーン群487例がシングルプレーン群370例にくらべ透視時間,透視線量,シネ撮影回数,シネ撮影線量,総線量といずれも有意に高く,造影剤量は有意に少なかった.冠動脈インターベンションにおいてもバイプレーン群37例はシングルプレーン群105例より透視時間,透視線量,シネ撮影回数,シネ撮影線量,総線量が有意に高かったが,造影剤量に差はなかった.バイプレーン装置の使用は被ばく線量を増加させることから手技内容,患者状態に合わせて使用することが望ましい.
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