農学国際協力
Online ISSN : 2436-2786
Print ISSN : 1347-5096
19 巻
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Original
  • Kanjana Kwanmuang, Laddawan Lertjunthuk
    2021 年 19 巻 p. 2-16
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は、タイ南部のチュンポン県のコーヒー栽培農家が近年直面している収穫労働の確保の困難性が生産に及ぼす影響を数量的に検証した。同地域では、もともと東北部から移り住んできた人々がコーヒー生産を担っており、収穫時期に必要となる労働力についてはこれまで東北部からの出稼ぎ労働力に頼ってきた。本研究は、この労働制約の起こりやすさはランダムなものではなく各農家の労働需要や収穫作業条件によって決まることを踏まえて、また雇用労働制約の有無による農家の対応をみるために、二重にロバストなAIPW推定量によってquadraticな生産関数を推定し、雇用労働制約の有無の違いによる家族労働と雇用労働の限界生産性を比較することで、雇用労働制約がある場合の家族労働の補完的な投入の程度について検証した。結果、雇用労働制約の有無によって有意な限界生産性の差は見られないものの、雇用労働制約が有ることで有意に生産量が低くなることがあきらかとなった。

オピニオン
  • 山根 裕子
    2021 年 19 巻 p. 17-40
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/28
    ジャーナル オープンアクセス

    21世紀の今日、我々は時代の変革期の中にあり、人類がこのまま繁栄を続けていくには、社会の在り方を資本主義中心から持続的な形に修正していく必要がある。農学は持続的な社会の実現に向けた大きな可能性を持った学問分野ではあるが現在の農学の学問体系や技術開発の方向性には問題も多いと考えられる。本稿では、環境問題とその背景にある金融経済を軸としたグローバル経済、経済発展の一翼を担ってきた科学技術の開発の現状について整理し、農村を中心に地産地消を目指した持続的な社会の方向転換を図りその実現の必要性を説くことから始める。その上で、持続的な社会の一例として広井のポスト資本主義社会の理論を紹介する。そして、疲弊した日本の農業と農村の現状と本来はそれを支えるべき学問であるはずの農学の専門分化や技術中心の研究のあり方など農学の問題点を整理し、持続的な社会の実現に対しての在り方について言及する。21世紀の今日、我々は時代の変革期の中にあり、人類がこのまま繁栄を続けていくには、社会の在り方を資本主義中心から持続的な形に修正していく必要がある。農学は持続的な社会の実現に向けた大きな可能性を持った学問分野ではあるが現在の農学の学問体系や技術開発の方向性には問題も多いと考えられる。本稿では、環境問題とその背景にある金融経済を軸としたグローバル経済、経済発展の一翼を担ってきた科学技術の開発の現状について整理し、農村を中心に地産地消を目指した持続的な社会の方向転換を図りその実現の必要性を説くことから始める。その上で、持続的な社会の一例として広井のポスト資本主義社会の理論を紹介する。そして、疲弊した日本の農業と農村の現状と本来はそれを支えるべき学問であるはずの農学の専門分化や技術中心の研究のあり方など農学の問題点を整理し、持続的な社会の実現に対しての在り方について言及する。

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