目的:病棟単位の集団としてみた看護師の仕事実感と離職率の関係を明らかにする.
方法:約500床の急性期病院の13病棟で2007,2009,2010年度に,看護師を対象に5領域37次元の仕事実感調査を行い,年度別に仕事実感変数と離職率の相関係数を算出した.
結果:病院全体の離職率は,看護職員配置基準7対1入院基本料を取得した2007年度が0.225で,2009年度は0.124,2010年度は0.144だった.病棟単位の離職率は,2007年度,37次元中14の仕事実感変数との間で有意な負の相関が認められ(p<.05),「組織風土」領域の権限の均衡と情報共有,「キャリアアイデンティティ」領域の自己決定感と組織影響感との相関が比較的強かった(p<.01).他の年度ではそのような強い相関は認められなかった.
結論:離職率が高い年は,病棟単位の看護師の仕事実感と離職率の間に負の相関関係がより強く表れ,特に組織風土とキャリアアイデンティティの影響が大きいと推察された.
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