宗教/スピリチュアリティ心理学研究
Online ISSN : 2758-1004
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 藤原 聖子
    2024 年 2 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー
  • 大切な人と死別した遺族を対象とする調査
    白岩 祐子
    2024 年 2 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,大切な故人の霊魂に対する遺族の心象 霊魂観念) と供養 墓参・お供え) の手厚さの関連,および「亡き人は供養を必要としている」という認知の媒介効果を検討することであった。調査会社にパネル登録する283 名 うち男性1 63 名,平均年齢58. 98 歳,SD = 17 15 がオンライン調査に協力した。媒介分析の結果,「故人の魂は存在する」という心象が,供養の必要性を媒介して墓参・お供えに至るプロセスが確認され,霊魂観念は人びとの行動を規定していることが明らかになった。今後の課題として,霊魂観念と供養の実施状況が遺族の心の健康や幸福度に及ぼす効果を検討する必要性が議論された。
  • 井筒俊彦の分節理論, アニミズム, 創造的退行の観点から
    横洲 有咲, 宮田 裕光
    2024 年 2 巻 1 号 p. 14-25
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー
    スピリチュアルな体験は, 本質的に個人的なものであり 主観的体験の一形態である。このことは スピリチュアリティに関する科学的研究を困難にしていると考えられてきた。しかしながら 主観的体験は それが個人的であるという点にこそ体験としての本質があり その個人性に沈潜することで普遍的な思想に接続されうると考えられる。 このような立場から主観的体験を探求することは 個人を超え出て 普遍的地平に接触する方法になりうる。さらに 主観的体験としてのスピリチュアリティと普遍性を結びつける観点からスピリチュアリティを論じることで スピリチュアリティという現象を万人に開かれた普遍的な問いとして捉え直すことが可能になると考えられる。本論文では こうした個人的体験に内在する普遍性という立場に基づいて 学術的なスピリチュアリティ研究の展開可能性を考察する。本論文で<霊性>と表記するスピリチュアリティは 内的体験を透徹することを通じて 普遍的地平と接触する力動を指す。このような体験は 著しく個人的であるがゆえに個人を超越する 「超 個人的人間学」にも相当すると考えられる。こうした<霊性>の生成過程を 東洋思想の要となる概念である「無」に至る過程を構造的に示した 井筒俊彦による分節理論から考察する。さらに 文化人類学における「アニミズム」や心理学の理論である「創造的退行」に着目することで 分野横断的に遍在する<霊性>的営みを明らかにする。個人に即した動的プロセスとしての<霊性>を自らの体験に引き受けることで スピリチュアリティ本来の生命感を損なわずに スピリチュアリティの実証科学的研究を幅広い学問領域で展開できるようになることが期待される。
  • 村上 祐介
    2024 年 2 巻 1 号 p. 26-35
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,孤独感と向社会的行動の関連における輪廻転生信念の媒介効果を検討することであった。インターネット調査を通じて協力者を募集し,最終的に461名(男性236名, 女性225名; Mage = 41.62歳, SD = 10.70)を分析の対象とした。しかし,向社会的行動の指標として実施した金銭分配課題のデータ分布から,事前登録した仮説検証を断念し,代替的にロジスティック/線形重回帰分析を実施した。その結果,孤独感と輪廻転生信念の間に有意な関連は認められなかったものの(β = -.077, p = .111, 95% CI [-0.232, 0.024]),輪廻転生信念と他者への贈与への分配額(OR = 1.25, p = .036, 95% CI [1.02, 1.55]),寄付への分配額(OR = 1.50, p = .001, 95% CI [1.17, 1.92])は正の関連を示すことが明らかになった。これらの知見は,輪廻転生信念が,向社会性を促進する超自然的監視の機能を有している可能性を示唆するものである。
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