宗教/スピリチュアリティ心理学研究
Online ISSN : 2758-1004
孤独感,輪廻転生信念と向社会的行動の関連
村上 祐介
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2024 年 2 巻 1 号 p. 26-35

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抄録

本研究の目的は,孤独感と向社会的行動の関連における輪廻転生信念の媒介効果を検討することであった。インターネット調査を通じて協力者を募集し,最終的に461名(男性236名, 女性225名; Mage = 41.62歳, SD = 10.70)を分析の対象とした。しかし,向社会的行動の指標として実施した金銭分配課題のデータ分布から,事前登録した仮説検証を断念し,代替的にロジスティック/線形重回帰分析を実施した。その結果,孤独感と輪廻転生信念の間に有意な関連は認められなかったものの(β = -.077, p = .111, 95% CI [-0.232, 0.024]),輪廻転生信念と他者への贈与への分配額(OR = 1.25, p = .036, 95% CI [1.02, 1.55]),寄付への分配額(OR = 1.50, p = .001, 95% CI [1.17, 1.92])は正の関連を示すことが明らかになった。これらの知見は,輪廻転生信念が,向社会性を促進する超自然的監視の機能を有している可能性を示唆するものである。

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© 2024 本論文著者
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