抄録
本研究の目的は,大切な故人の霊魂に対する遺族の心象 霊魂観念) と供養 墓参・お供え) の手厚さの関連,および「亡き人は供養を必要としている」という認知の媒介効果を検討することであった。調査会社にパネル登録する283 名 うち男性1 63 名,平均年齢58. 98 歳,SD = 17 15 がオンライン調査に協力した。媒介分析の結果,「故人の魂は存在する」という心象が,供養の必要性を媒介して墓参・お供えに至るプロセスが確認され,霊魂観念は人びとの行動を規定していることが明らかになった。今後の課題として,霊魂観念と供養の実施状況が遺族の心の健康や幸福度に及ぼす効果を検討する必要性が議論された。