根治性を確保して安全に乳頭を残せる乳頭温存乳房切除術 (NSM) とその管理法に関する要点を決めた後, 2017年1月〜2019年1月の原発性乳癌221例のうち100例の乳房切除例を前向きに集積し, 要点の遵守状況と切除率と乳頭壊死について検討した。切除率は切除標本の幅を, CT上乳頭を通る水平断画像の正中〜広背筋前縁の距離で除した百分率とした。NSM21例, 乳房切除術 (Bt) 63例, 皮膚温存乳房切除 (SSM) 16例で, 切除率平均値はNSM 93.0%, Bt 102.4%, SSM 102.5%で差はなかった。切除率と関連する因子はBMIであった。創縁壊死が8例にみられ, 4例は乳頭に達した。最終的に1例で完全に乳頭が壊死し, 2例で部分壊死した。NSM症例で創縁壊死と関連する因子について, 切除率は関連しなかったが, 喫煙と要点の遵守不履行が関連し, 直接の原因は内胸動脈穿通枝の損傷, 術後の創部圧迫などであった。根治性を損なわないNSMは要点を遵守することによって可能となる。
Key words : 乳頭温存乳房切除術, 乳頭壊死, 根治性, 皮弁壊死, 内胸動脈穿通枝
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