Oncoplastic Breast Surgery
Online ISSN : 2432-4647
ISSN-L : 2432-4647
5 巻, 2 号
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追悼文
原著
  • 田雜 瑞穂, 小島 康幸, 梶川 明義, 津川 浩一郎
    原稿種別: 原著
    2020 年 5 巻 2 号 p. 30-34
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

     現在の乳癌診療では化学療法後に乳房再建術を受ける患者が多いが, その安全性に関して明らかなコンセンサスは得られていない。そこで今回, 当施設において2015年から2016年までに片側の一次二期乳房再建術を受けた初発乳癌患者148人を対象とし, 後方視的に検討を行った。術前化学療法を行った21例と化学療法を行わなかった101例において, 手術時間, 術中出血量, ドレーン留置日数, 入院日数に関して比較検討を行ったが, 有意な差は認めなかった。また, 術前化学療法を行った21例で1例, 術後化学療法を行った26例で4例, 化学療法を行わなかった101例で14例のTE挿入中合併症を認めたが, 合併症発生に有意な差は認めなかった (p=0.528) 。同様に再建完遂後合併症発生に関しても比較検討を行ったが, 有意な差は認めなかった (p=0.614) 。術前後の化学療法は乳房再建術の合併症発生リスクとはならない可能性が示唆された。

  • 蒔田 益次郎, 眞鍋 恵理子, 青木 宏信, 有馬 樹里, 金子 繭子, 赤石 諭史
    原稿種別: 原著
    2020 年 5 巻 2 号 p. 35-43
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

     根治性を確保して安全に乳頭を残せる乳頭温存乳房切除術 (NSM) とその管理法に関する要点を決めた後, 2017年1月〜2019年1月の原発性乳癌221例のうち100例の乳房切除例を前向きに集積し, 要点の遵守状況と切除率と乳頭壊死について検討した。切除率は切除標本の幅を, CT上乳頭を通る水平断画像の正中〜広背筋前縁の距離で除した百分率とした。NSM21例, 乳房切除術 (Bt) 63例, 皮膚温存乳房切除 (SSM) 16例で, 切除率平均値はNSM 93.0%, Bt 102.4%, SSM 102.5%で差はなかった。切除率と関連する因子はBMIであった。創縁壊死が8例にみられ, 4例は乳頭に達した。最終的に1例で完全に乳頭が壊死し, 2例で部分壊死した。NSM症例で創縁壊死と関連する因子について, 切除率は関連しなかったが, 喫煙と要点の遵守不履行が関連し, 直接の原因は内胸動脈穿通枝の損傷, 術後の創部圧迫などであった。根治性を損なわないNSMは要点を遵守することによって可能となる。

    Key words : 乳頭温存乳房切除術, 乳頭壊死, 根治性, 皮弁壊死, 内胸動脈穿通枝

  • 野口 昌邦, 森岡 絵美, 大野 由夏子, 野口 美樹, 井口 雅史
    原稿種別: 原著
    2020 年 5 巻 2 号 p. 44-49
    発行日: 2020/06/30
    公開日: 2020/06/30
    ジャーナル フリー

     乳房温存手術は良好な形態の乳房を温存することが求められるが, 乳房下部 (BD区域) の欠損は形成がむずかしく, その変形は鳥のくちばし (bird's beak) として知られている。われわれは乳房部分切除後, 乳頭下で乳腺組織 (乳管) を離断し, 乳房上部の組織を授動して欠損部を補填する方法を行っている。今回, その手術術式とともに成績について報告する。2016年8月より2019年8月までに乳房下部 (BD区域) に位置する乳癌症例15例に本手術を行った。その結果, 術後経過期間は中央値23ヵ月で全例に再発を認めず, 温存乳房の形態は15例中12例が良好であり, 乳房の変形は乳腺組織の授動が不十分であった最初の1例と術後, 血腫をきたした2例に認めた。本術式は乳腺組織の切除が広範囲でなければ, bird's beak変形の防止に有効な方法であると思われる。

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