Burow's triangle を応用した Rotation flap は, OPBCS Volume displacement ステップ 2-② の手技である。本術式のデザインは, 腋窩と腫瘍直上に底辺が同じ長さの二等辺三角形をそれぞれデザインし, 2つの三角の底辺を緩やかな曲線で結ぶことで完成する。乳房下部 (B/D) 区域や乳房上内側 (A) 区域の乳房部分切除術症例では, 術後の整容性が低下しやすいことが知られている。本術式は, これら領域における比較的大きな乳腺空隙に対しても, 広範な Dual-plane undermining を必要とすることなく, 隣接する乳房区域の皮膚・皮下・乳腺組織全体を乳腺欠損方向へ大きく回転し授動する (Matrix rotation) ことを可能とする。乳頭腫瘍間距離が近い症例に対しては, 乳頭乳輪位置修正術を加えた Key-hole 型のデザインにすることで Rotation flap の適応を拡大することが可能となる。手術創が長いという欠点はあるものの, 簡便なデザインで脂肪壊死のリスクが低い本術式は, 多くの一般乳腺外科医にとって導入しやすい Volume displacement technique の一つである。
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