日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
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第33回日本臨床免疫学会総会抄録集
選択された号の論文の136件中51~100を表示しています
  • 道海 秀則, 中里 純子, 二瓶 浩一, 岸田 勝, 四宮 範明
    セッションID: 4-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    伴性無γ—グロブリン血症(XLA)は先天性免疫不全症の代表的疾患の1つである。B細胞欠損はみられるが、血中免疫グロブリン値については一定していない。長期間経過観察中のXLA3例について、種々の免疫能の変化について検討したので報告する。対象;XLA3症例(兄弟2症例を含む)。方法;血中免疫グロブリン値、IL1β、IL6、CD3-CD56+NK細胞数、CD4+、CD8+、CD8+CD11b細胞数を測定。結果と考案:3症例ともにCD19+B細胞欠損(<1%)がみられ、btk遺伝子解析での変異がみられた。入院を必要とする感染症には罹患していない。兄弟例(症例114歳、2例11歳)はともに、血中IgG 400〜500 mg/dl、IgA 150〜200 mg/dl、IgM 0〜100 mg/dlの変化がみられ、定期的Ig補充療法は行なっていない。症例3(10歳)は血中IgG 200以下、IgA 1 mg/dl、IgM 1 mg/dlであり、定期的Ig補充療法をおこなっている。症例1、2において、NK細胞数およびCD8+CD11b+細胞数の増加がみられなかったが、IL1βおよびIL6産生には増加がみられた。症例3において、NK細胞数およびCD8+CD11b+細胞数の増加がみられたが、IL1βおよびIL6産生には増加がみられなかった。XLAおいて、種々の免疫能の変化において相違がみられた。
  • 高田 英俊, 野村 明彦, 大賀 正一, 原 寿郎
    セッションID: 4-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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     肺平滑筋腫は小児では極めてまれな疾患であり、これまで14例しか報告されていない。近年、平滑筋腫とAIDS等の免疫不全症およびEBウイルスとの関連が報告されている。今回、細胞性免疫不全症で経過観察されていた6歳男児が、EBウイルス関連肺平滑筋腫を発症したので報告する。患児は3歳時より肺炎を繰り返し、細胞性免疫不全症および補体欠損症(C2、C9)と診断され経過観察されていた。発熱時に撮影した胸部X線にて、右下肺の無気肺があり、胸部CT検査にて右肺門部に径約2 cmの腫瘤が確認された。気管支鏡検査で右中間気管支に突出する腫瘍を確認し、これによる右中下葉無気肺と診断した。無気肺部の感染を繰り返し、そのコントロールが困難であったため、腫瘤を含めた右中下葉切除術を施行した。摘出した腫瘍は、HE染色およびanti-smooth muscle actin免疫染色により、平滑筋腫と診断した。さらに腫瘍細胞はEBER-1陽性であった。この患児では入院時およびその3年前の検査においてもEBウイルス抗体価の異常があり、細胞性免疫不全による長期的なEBウイルスに対する免疫不全状態が肺平滑筋腫の病因に関連したと考えられる。共同研究者:九州大学大学院医学研究院小児外科、水田祥代教授、および病理学的に精査していただいた久留米大学病理学教室、大島孝一教授に深謝いたします。
  • 金谷 能明, 大賀 正一, 野村 明彦, 高田 英俊, 原 寿郎
    セッションID: 4-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    〔目的〕22q11.2欠失症候群におけるT細胞の年齢変化と遺伝子発現を解析し、易感染性と自己免疫に関与する異常を検討する。
    〔対象と方法〕22q11.2欠失:15例、年齢相応対照:32例。末梢リンパ球をFACSにて経時的に解析した。末梢血T細胞を分画しサイトカイン遺伝子発現をreal-time PCRで定量した。
    〔結果〕成人までの観察期間中、患者のCD3+, CD4+T, αβT およびCD8αα+細胞数は対照より少なくCD56+細胞数は多かった。患者のT細胞とCD4+T細胞の割合は加齢に伴い変化なかったが、いずれも数の減少は対照より緩やかであった。γδT細胞は健常者と差がなかった。 健常者のCD8αα+細胞の割合は加齢に伴い上昇し、傾きは患者より大きかった。一方、患者Vα24+細胞の数と割合は加齢に従い上昇し、傾きは患者より大きい傾向にあった。T細胞数とCD8αα+細胞数の正の相関は患者でのみ、T細胞数とVα24+細胞数の相関は対照でのみみられた。患者T細胞のIFNγ, IL-10, TGFβ, CTLA4および Foxp3遺伝子発現は対照と差がなかった。
    〔結語〕22q11.2欠失症候群のT細胞は胸腺非依存性T細胞の変化に伴い緩やかに減少し、サイトカイン遺伝子発現に偏位のないことが示された。本症ではT細胞の恒常性維持が示唆される。
    共同研究者:池田,古野,田中,大野(同上),絹川(九大医療情報部)
  • 渡邉 幹夫, 伊藤 千聡, 奥田 典子, 渡辺 親美, 岩谷 良則
    セッションID: 5-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    【背景】我々は既に、抗サイログロブリン抗体(TgAb)陰性の橋本病患者で、細胞傷害性T細胞と甲状腺破壊の重症度が関連していることを示唆した。細胞性免疫による細胞傷害に関係しているサイトカインに、1型ヘルパーT細胞から産生されるインターフェロンγ(IFN-γ)がある。IFN-γ遺伝子には+874A/T一塩基多型が存在しており、IFN-γ産生量との関連が知られている。そのため今回、橋本病における甲状腺破壊の重症度と、IFN-γの+874A/T多型の分布との関連を調べた。
    【対象】甲状腺マイクロゾーム抗体陽性者を橋本病とし、甲状腺機能低下を来たし甲状腺ホルモン剤投与を要する群を要治療群(n=34)、未治療でも甲状腺機能が正常の群を治療不要群(n=22)とした。同意を得た患者の末梢血からゲノムDNAを調製し、多型をARMS-PCR法で検出した。
    【結果】+874A/T多型のうちIFN-γの産生量が相対的に増加するとされるTアレルの頻度が、要治療群(21%)において治療不要群(7%)より有意に高値であった(p<0.05)。 さらに、TgAb陰性の橋本病患者のみを対象にしたところ、Tアレルの頻度は要治療群(31%)において治療不要群(5%)よりさらに高かった(オッズ比 8.4; 95%信頼区間, 1.2-57.3; p=0.029)
    【考察】特にTgAb陰性の橋本病患者において、IFN-γ遺伝子の+874A/T多型が甲状腺破壊の重症度に関係していることが示唆され、橋本病の予後予測に有用と考えられた。
  • 吉元 和彦
    セッションID: 5-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    はじめに)肝移植後の成績は、免疫抑制療法の発達等により改善してきている。しかし、一方で、その副作用が問題となっており、免疫抑制剤の減量や離脱に関わる様々な研究がすすめられている。目的)免疫抑制剤の減量・離脱に関わる因子の一つとして、サイトカイン遺伝子の多型性、特にSNP(一塩基置換)を取り上げた。SNPの有無と臨床経過との関連について検討し、免疫抑制剤離脱の予測因子として利用できる可能性について検討した。対象と方法)熊本大学(n:54)および京都大学(n:18)において肝移植後の外来フォローを行っている患者を対象として、IL10、IL6、IL2、IFNγ、TNFαに関する既知のSNPの有無について検索し、臨床経過とあわせて検討した。結果)SNPの検出頻度について、免疫抑制剤非離脱群と離脱群とで比較し、IFNγ+874にのみ有意差が認められた。また、急性期の拒絶の有無とIFNγ+874、IL10-819/-592との関連が認められた。まとめ)今回の研究では、IFNγ+874、IL10-819/-592と拒絶反応との関連が示唆された。しかし、今までの文献と同様、対象数が少なく、臨床利用には、より多くの症例について検討することが必要であると考える。
  • 河原 祥朗, 水野 元夫, 吉野 正, 白鳥 康史
    セッションID: 5-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    【背景】胃MALTリンパ腫に対する一次治療としてH.pylori 除菌療法が広く普及してきている。【目的】今回我々は、胃MALTリンパ腫患者のHLA-DQ遺伝子の除菌療法感受性との関連性について検討した。【対象と方法】胃MALTリンパ腫患者18例(除菌有効13例、無効5例)、H.pylori陽性NUD患者30例、H.pylori陰性NUD患者30例のHLA-DQA1 及び -DQB1アレルタイピングをPCR-SSO法を用いて行い、日本人正常対照群916例と比較検討した。統計学的検討はχ2 検定、Fisherの直接確率法で行った。【結果】胃MALTリンパ腫患者では、HLA- DQA1*0103 及び -DQB1*0601アレルの頻度がH.pylori陽性NUD患者、H.pylori陰性NUD患者、正常対照群 に比べ有意に高率であった。またDQA1*0103-DQB1*0601ハプロタイプの頻度も胃MALTリンパ腫患者では他群に比べ有意に高率であった。除菌療法感受性の検討では、HLA -DQA1*0103-DQB1*0601ハプロタイプは、除菌療法有効群13例中10例でみとめられたが除菌療法無効群5例にはみとめられず、除菌療法有効群で有意に高率であった。(P<0.01) 【結論】HLA -DQA1*0103-DQB1*0601ハプロタイプは日本人において胃MALTリンパ腫と関連しており、さらにH.pylori除菌療法の有効性との関連も示唆された。
  • 玉井 慎美, 川上 純, 中村 英樹, 藤川 敬太, 荒牧 俊幸, 岩永 希, 和泉 泰衛, 有馬 和彦, 黄 明国, 蒲池 誠, 荒武 弘 ...
    セッションID: 5-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    HLA-DRB1タイピングと抗CCP抗体で、早期関節リウマチ(早期RA)のMRI画像所見を評価した。前向きにフォローしている早期RA80症例(平均罹病期間4.8ヶ月)をHLA-DRB1 *0405アレルと抗CCP抗体の有無で分けると、HLA-DRB1 *0405アレル陽性患者(36症例で*0405アレル陽性)および抗CCP抗体陽性患者(54症例で抗CCP抗体陽性)は、これらが陰性の患者と比べ、MRIでの骨髄浮腫が有意に高く検出された。しかしながら、これら因子の有無では、滑膜炎数と早期造影効果で評価した滑膜炎の程度には差異はなかった。これら因子の組み合わせで早期RA80症例を4群に分けるとその傾向はより顕著となり、 *0405アレルと抗CCP抗体がともに陽性の患者は、これら因子がともに陰性の患者と比べ、骨髄浮腫が顕著に検出されるも滑膜炎の程度には有意差はなかった。骨髄浮腫はRA早期骨病変として重要である。今回の検討で、HLA-DRB1*0405アレルと抗CCP抗体は、早期RA骨病変の進展を予測し、また、これら過程には滑膜炎非依存性の機序も考えられた。
  • 大村 浩一郎, Ortiz-Lopez Adriana, Desany Paul, Besse Whitney, Roy Matt, Bog ...
    セッションID: 5-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    K/BxN血清惹起関節炎のQTL解析により第2染色体の遠位側にマップされた。候補遺伝子のひとつ IL-1b (129.1Mb position)のゲノムをsequenceした。30以上のSNPとinsertion (deletion)が見つかったが、アミノ酸配列を変えるような変異はなかった。IL-1bのpromotor部位(-230 bp)にSNPがあり、AP-1結合部位と推測された。これらの変異はhaplotypeとして系統を越えて保存されており、おもしろいことに野生型のCAST/Eiマウスでは2種類のハプロタイブの混在の形をとっていた。K/BxN血清惹起関節炎high responderであるBalb/cタイプのハプロタイプは調べた33種類のinbred mouse strainの中で4種類(Balb/c, DBA/1, PL, SEA)だけであり、これら4種類はいずれもLPS刺激によるIL-1bの産生能が高く、またK/BxN血清惹起関節炎high responderであった。一方、他の29種類のstrainはLPS刺激に対するIL-1b産生能は一般に低く、またK/BxN血清惹起関節炎low responderのものが多かった。以上よりIL-1b promotor部位のpolymorphismによってIL-1b産生能に差が生じ、その結果関節炎の感受性に差がでることが強く示唆された。
  • 末広 寛, 濱中 裕一郎, 日野田 裕治
    セッションID: 5-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    <背景>炎症活性の増加は加齢に伴うことが知られている。一方、炎症関連遺伝子プロモーター領域の一塩基多型(SNP)は遺伝子発現レベルに変化をもたらす結果、加齢現象に影響を及ぼすことが示唆されるが、これらのSNPと加齢の関係を明らかにした報告はほとんどない。そこで我々は、炎症関連遺伝子SNPと年齢分布について検討を行い、加齢に影響をおよぼす遺伝子SNPを明らかにしたので報告する。<方法>日本人健常者500人を対象とした。年齢は19歳から100歳で、平均年齢は56.7歳であった。TNFα -1031 T/C, IL-10 -1082 A/G, -819 T/C, -592 A/C, IL-1β -511 C/T, IL-6 -634 C/G, IL-18 -607 A/C, TGFβ -869 C/T, MMP-1 -1607 1G/2G, MMP-3 -1171 5A/6AのSNPを解析した。<結果>IL-10 -819 T/CにおけるT/T遺伝子型と加齢に相関が認められた(P = 0.0099)。またIL-10 -592 A/C遺伝子型分布はIL-10 T/Cの遺伝子型分布と完全に一致していた。<結語>日本人において、IL-10 -819 T/Cと-592 A/Cと加齢の関連が示唆された。
  • 澤木 俊興, 小川 法良, 河南 崇典, 金 哲雄, 下山 久美子, 唐沢 博美, 福島 俊洋, 正木 康史, 廣瀬 優子, 梅原 久範
    セッションID: 6-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    【目的】SS唾液腺上皮細胞において、CD40シグナルはFas、CD40発現の増大とc-FLIP発現減少をもたらし、Fas依存性細胞死を促進する。この分子機構をさらに解明するため、1)CD40刺激の唾液腺上皮細胞のサイトカイン発現に対する影響、2)CD40シグナルの下流の分子の検討を行った。【方法】1)IFNγ刺激SS唾液腺上皮細胞に抗CD40抗体を作用させ、IL-1α、1β、6、10、12、18、TNFα、IFNγ、TGFβ発現をRT-PCR法にて解析。2)抗Fas抗体および抗CD40抗体誘導死の系にp38MAPKインヒビター、SB203580を添加し、アポトーシス細胞をTUNEL法にて測定。3)CD40刺激後、p38、活性型p38およびc-FLIP発現をWestern blot法にて解析。【結果】1)CD40刺激によりサイトカイン発現には一定の傾向は認めなかった。2)SB203580はFas、CD40誘導SS唾液腺上皮細胞死を抑制した。3)CD40刺激はp38MAPKの活性型分子であるリン酸化p38(pp38)の発現を、経時的に増大させ、c-FLIP発現抑制はSB203580により阻害された。【結論】SS唾液腺上皮細胞死において、CD40の下流の分子としてp38MAPKが関与し、c-FLIPの発現減少がp38を介するCD40刺激の直接的な作用であることが示唆された。
  • 金 哲雄, 黄 成日, 澤木     俊興 , 河南     崇典, 下山     久美子, 唐沢   博美 , 正木      康史, 小 ...
    セッションID: 6-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    【目的】SLEなどの自己免疫疾患では、自己反応性T細胞の出現や自己抗体の産生など免疫系の異常な賦活化が認められる。スフィンゴミエリン(SM)、スフィンゴ糖脂質、コレステロールからなるリピッドラフトは免疫シナプス形成やTCRを介したシグナル伝達に重要な機能を有している。昨年度の本学会で、SLE患者末梢リンパ球におけるラフトの発現増強について報告した。今回我々は、ラフトの主要構成脂質であるSMのTCR凝集やシグナル伝達における機能について解析した。【方法と結果】_丸1_Jurkat 細胞にSM合成酵素遺伝子(SMS1)-siRNAを遺伝子導入し、SM knock down細胞株(SMkd)を樹立した。_丸2_抗CD3抗体刺激によるTCR凝集能は、SMkdで有意に低下していた。_丸3_活性化分子であるCD69の発現量はSMkd細胞株で著明に低下した。_丸4_ショ糖密度超遠心法で検討したところ、抗CD3抗体刺激によるTCRのラフトへの移行がSMkd細胞株で著明に低下していた。_丸5_抗CD3抗体刺激によるZAP-70、LATのチロシンリン酸化はSMkd細胞株で有意に低下していた。【結語】TCRの凝集、T細胞活性化シグナル伝達にリピッドラフトおよび細胞膜SMが重要であることを明らかにした。SLE患者でみられた免疫異常がリピッドラフトの発現異常によりもたらされている可能性がある。
  • 及川 恒一, 高橋 宏樹, 石川 智久, 穂苅 厚史, 銭谷 幹男, 東 みゆき
    セッションID: 6-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    近年新たな抑制性補助刺激分子として同定されたPD-1はT、B細胞の活性化に伴い発現する。そのリガンドのPD-L1は樹状細胞、単球、内皮細胞、活性化T、B細胞での発現に加え様々な臓器の上皮細胞に恒常的に発現し、一方PD-L2の発現は主にマクロファージや樹状細胞に限られている。PD-1のKOマウスでは種々の自己免疫疾患が発症するため、PD-1とPD-L1、PD-L2を介したシグナルの自己免疫反応制御への関与が示唆されているが、ヒトの自己免疫性肝疾患での検討は報告されていない。我々は肝疾患におけるPD-1/PD-L1/PD-L2の肝内発現動態の解析を、自己免疫性肝炎5例(男性0例、女性5例)、原発性胆汁性肝硬変7例(男性2例、女性5例)、慢性ウイルス性肝炎2例(男性2例、女性0例)の肝生検組織を用い免疫組織化学的に行った。各症例ともに門脈域内浸潤T細胞はPD-1を強く発現し、ごく一部のT細胞はPD-L1を共発現していた。またクッパー細胞、類洞内皮細胞にはPD-L1、L2 の発現を認めたが、肝細胞、胆管細胞にはいずれの発現も認めなかった。こうした発現動態は疾患間で差がなかった。また疾患活動性と発現動態に有意な関連は認めなかった。以上より各種肝疾患の肝内でのPD-1、PD-L1、PD-L2発現動態が明らかとなり、それらが病態形成に関与している可能性が示された。
  • 川上 純, 中村 英樹, 玉井 慎美, 副島 和孝, 藤川 敬太, 荒牧 俊幸, 岩永 希, 和泉 泰衛, 有馬 和彦, 黄 明国, 蒲池 ...
    セッションID: 6-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    [目的]私たちはシェーグレン症候群(SS)の小唾液腺組織にはtoll-like receptor(TLR)が発現し、ヒト唾液腺細胞株にも機能性TLR発現が認められることを報告した。今回、初代培養唾液腺細胞でのTLR発現とその機能を検討した。[方法]初代培養唾液腺細胞のTLR2、TLR3、TLR4、MyD88 発現はwestern blottingで評価し、TLRリガンド刺激後のCD54発現、NF-κB活性化およびアポトーシスは、各々FACS、免疫蛍光染色、ミトコンドリア膜電位の低下で評価した。[結果]初代培養唾液腺細胞にはTLR2、TLR3、TLR4、MyD88 の発現が検出され、PGN、poly (I:C)、LPS存在下で培養すると、poly (I:C)刺激時にCD54発現上昇とNF-κB核内移行が促進されるとともに、アポトーシスが誘導された。poly (I:C)誘導性アポトーシスは、NF-κB活性化抑制により顕著に増強された。PGNとLPSではCD54発現とアポトーシスは変動しなかった。[考察]初代培養唾液腺細胞では、TLR3刺激により細胞活性化シグナルと同時にアポトーシスシグナルも伝達され、SS病態へのTLR3シグナルの関与が示唆された。
  • 藤本 学, 佐藤 伸一, 竹原 和彦
    セッションID: 6-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    CD22はImmunoreceptor tyorisne-based inhibition motif (ITIM)を有し、B細胞の活性化や生存を制御する代表的な分子であり、種々の自己免疫疾患への関与が示唆されているが、その制御は局面により正と負のどちらにもなりうることが知られており、その理由として複数のチロシン基により複雑に細胞内シグナル伝達機構が制御されていることが想定されている。そこで、われわれはCD22の4つのチロシン基各々のリン酸化チロシン特異抗体を作製し、そのリン酸化パターンに検討を加えた。それぞれの抗体は各チロシン基のリン酸化されたもののみを認識し交叉反応は示さなかった。抗原受容体刺激では抗IgM抗体の場合4チロシン基のうちY762がもっとも速やかにリン酸化されたが最終的にはすべて同等に細胞内の全CD22分子のうち約35%がリン酸化された。一方、抗IgM抗体にCD40刺激を追加するとY762とY842の2つのITIMのリン酸化が特異的に増強し、 in vivoにおいてみられるCD40刺激による負の制御に一致していた。このようにCD22は異なるシグナルにより量的のみならず質的にも異なる制御を受けており、このようなシグナル伝達機構の解明は、今後リンパ球の正負のシグナルバランスを調節することによる自己免疫疾患の制御に役立つ可能性が考えられる。
  • 南家 由紀, 鎌谷 直之, 小橋川 剛, 八子 徹, 小竹 茂
    セッションID: 6-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    目的:ベーチェット病(BD)は、主に口腔粘膜、皮膚、眼、外陰部に急性炎症性病変を反復する原因不明の多臓器侵襲性の難治性疾患である。近年、自己免疫性疾患における制御性T 細胞の関与が注目されている。今回、眼病変合併のBD3例において眼発作前後での末梢血の制御性T 細胞を測定し得たので報告する。対象ならびに方法:症例1, 58 歳男性。完全型。プレドニゾロン(PSL),コルヒチン、サイクロスポリン(CYA)内服中。症例2, 38歳男性。不全型。PSL, CYA内服。症例3, 50 歳女性。完全型。内服なし。全例ぶどう膜炎を認め眼科外来に通院中。眼発作前後での末梢CD4+CD25+ T細胞をフローサイトメトリー法で測定した。結果:眼発作前後でのCD4+T細胞におけるCD4+CD25+T細胞の割合は、症例1;3.3% (基準値6.0-21.0%)から12.5%、症例2;1.8%から14.3%、症例3、1.8%から20.3%であった。眼発作前後に測定し得た3例ともBD 眼発作前のCD4+T細胞におけるCD4+CD25+T細胞の割合は低値を示していた。結語:制御性 T 細胞はBDの 眼発作の病態に関与している可能性が示唆された。非学会共同研究者:古谷武文、五嶋摩理、氏原弘、松原正男
  • 大畑 順子, 上阪 等
    セッションID: 6-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    抗原特異的Foxp3強制発現CD4T細胞移入によるコラーゲン誘導関節炎の抑制大畑順子、上阪等従来には無い作用機序を持つ新しい関節リウマチの治療法として、我々は抑制性T細胞を用いた免疫療法に着目し、マウスを用いて検討を行った。末梢免疫寛容に重要と考えられるCD4+CD25+内在性抑制性T細胞はFoxp3を発現し、T細胞に対して活性化抑制機能を持つ。我々は、標的遺伝子とGFPが同時に導入可能であるレトロウイルスベクター、pMCs-IGを用いてDBA/1マウスCD4T細胞にFoxp3を強制発現させ、Foxp3発現抑制性T細胞を作成した。この細胞群のGFP高発現分画はナイーブマウスから分離した、CD4+CD25+内在性抑制性T細胞よりも高いFoxp3蛋白を発現し、GFPの発現量に比例して強い抑制活性を示した。DBA/1マウスの骨髄から培養した樹状細胞にII型コラーゲンまたはOVAを添加後LPSで成熟させ、これらの抗原で免疫したDBA/1マウスのリンパ節CD4T細胞とともに培養した。この抗原添加樹状細胞によって刺激を受け増殖したCD4T細胞にFoxp3遺伝子を導入して抗原特異的Foxp3発現抑制性T細胞を作成し、DBA/1マウスに投与、その後コラーゲン誘導関節炎を誘導し、関節炎の発症進展を観察した。コラーゲン誘導関節炎はコラーゲン特異的抑制性T細胞の移入によって有意な抑制が認められた。OVA特異的抑制性T細胞では同じ細胞数の移入で明らかな関節炎の抑制は認められなかった。
  • 片桐  彰, 今井 環, 仲野 総一郎, 渡邊 崇, 名切 裕, 天野 浩文, 森本 真司, 戸叶 嘉明, 高崎 芳成, 橋本 博史
    セッションID: 7-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    (目的)膠原病において間質性肺炎(以下IP)は予後を左右する重要な合併症であり、現在でも難治症例が多く存在する。また、原疾患によって予後に違いがあるといわれているが、長期予後を検討した報告は少ない。今回我々は、過去10年間に当院に入院した膠原病患者で、IPを合併した患者に関し、各疾患別予後、死因と、治療別の予後を検討した。(方法)平成7年_から_平成16年の間に当院に入院した膠原病患者のうち、間質性肺炎を合併した340例(RA 86例、SSc 75例、PM/DM 57例、MCTD 33例、SLE 29例、SjS 21例、MPA 11例、その他 28例)において、急性増悪、死亡症例数の比率を検討し、疾患別、治療別にKaplan-Meier法で累積生存率を解析した。(結果)1. Amyopathic DMは、PM、DMと比べ有意に予後が悪かった。2. 疾患別では、Amyopathic DM 、MPAが予後の悪い傾向にあり、SSc、MCTDは慢性的に経過し予後がいい傾向にあった。3.治療別には、ステロイドパルスを施行した群、シクロフォスファミド使用群、シクロスポリン使用群で、明らかな予後の差はなかった。(考察)IP合併筋炎では、従来の報告とおり、Amyopathic DMが有意に予後の悪い結果となった。またIP合併MPAも治療抵抗性で予後が悪い結果となった。治療別に予後の差はなかったが、急性増悪など重症例に対して、改めて現行のIP治療では限界があることを示していると考えられる。
  • 内田 一茂, 松下 光伸, 岡崎 和一
    セッションID: 7-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    【目的】自己免疫性膵炎の病態と周辺疾患の関連性について検討した。【対象と方法】自己免疫現象を伴う膵管狭細型膵炎41例中日本膵臓学会の診断基準を満たす38例を対象とし、膵病変以外の合併疾患について検討した。また血中IgG、IgG4、各種自己抗体(抗核抗体、RF、抗Carbonic anhydrase II(CA-II)抗体、抗lactoferrin(LF)抗体、抗ミトコンドリア抗体、抗SSA/SSB抗体、GAD抗体)を測定した。動物モデルでは、CA-IIとLFを抗原として免疫した新生仔胸腺摘出マウスと感作リンパ球を移入したヌードマウスの肝、胆、膵、唾液腺の病変を検討した。【成績】38例中糖尿病を19例、硬化性胆管炎9例、硬化性唾液腺炎7例、腎病変5例、後腹膜線維症3例を認めた。IgG高値31例、IgG4高値26例、抗核抗体28例、抗LF抗体28例、抗CA-II抗体21例、RF10例、GAD抗体1例、抗SSA/SSB抗体1例、抗ミトコンドリア抗体0例であった。各種自己抗体と臨床病型について明らかな差異は認められなかったが、IgG4・抗LF抗体は硬化性胆管炎、唾液腺炎の患者で高値であり病変の広がりと相関を認めた。動物モデルにおいては、肝内胆管、膵管周囲、唾液腺にリンパ球の浸潤を認めた。【結論】自己免疫性膵炎ではLF、CA-IIに対する免疫反応が病態に関与している可能性が示唆された。
  • 作石 かおり, 荒浪 利昌, 三宅 幸子, 山村 隆
    セッションID: 7-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    Little is known about the role of natural interferon-producing cells (IPCs), the precursor cells for plasmacytoid DCs, in autoimmunity. Here we examined the frequency of IPCs in peripheral blood mononuclea cells of MS patients and healthy subjects (HS) by using flow-cytometry. Of 64 MS patients investigated, 3 were presenting their first attack and later freshly diagnosed as MS, 7 were drug-free relapse-remitting type MS (RR-MS) in the active relapsing phase, 11 were IFNβ-treated RR-MS in remission phase, 32 were drug-free RR-MS in remission phase, and the rest were steroid-treated MS in either stable or active phase. Compared to HS, there was a significant decrease in the frequency of IPCs in drug-free patients during relapse, and IFNβ-treated patients in remission. In all three RR-MS patients whom we were able to follow their clinical course, IPCs frequency decreased during relapse and the number had returned in remission. Interestingly, IPCs number did not decrease in the patients in their initial attack, in contrast to the relapsing patients. This implies the role of IPC in active disease may differ between the initial onset of the disease and during the relapse.
  • 太田 和秀, 石田 華子, 中井 明子, 清水 正樹, 瀬野 晶子, 笠原 善仁, 谷内江 昭宏, 小泉 晶一
    セッションID: 7-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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     微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS)における、T細胞抗原受容体(TCR)構造の多様性解析から、本疾患の病因に迫るとともに、その結果を実際の治療に応用できるか検討した。【対象・方法】MCNSの患者26名。非頻回再発 (NFR) 12名、頻回再発 (FR) 11名、ステロイド剤依存性 (SD) 3名。末梢血リンパ球のCD4+T細胞およびCD8+T細胞の各細胞群における、(1) Flow cytometry によるTCRのVβ領域のレパートワ解析、(2) GeneScan によるTCRの各Vβ領域に対応する相補性決定領域3(CDR3)の長さの波形解析、を施行した。【結果】TCRのVβ領域レパートワ解析では、FR/SD群でのCD8+T細胞にて異常に増えているレパートワがより多く存在していた。また、CDR3領域の長さの波形解析では、FR/SD群のCD8+T細胞において“著しい偏りを示す波形 ”を呈するVβレパートワが有意により多く存在していた。なお、このような傾向はCD4+T細胞では認めなかった。一方、NFR群ではCD4+T細胞, CD8+T細胞ともにほぼ正常であった。【考察】FR/SD群において、CD8+T細胞におけるTCRの構造の多様性は、”著しい偏り“を呈している事が判明した。この特徴を利用すると、病初期からNFRとFR/SD各群の鑑別が可能であり、より効果的な治療選択が可能であると考えられた。
  • 佐藤  隆司, 桑名 正隆
    セッションID: 7-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】肺動脈性高血圧症(PAH)の病態は肺動脈の増殖性変化に伴う内腔狭窄で、その誘因の一つとして低酸素暴露が知られている。肺動脈は解剖学的に動脈でありながら静脈血に常時暴露されているため、その内皮には低酸素刺激で誘導される細胞増殖を抑制するシステムの存在が考えられる。PAHの病態にそのシステム破綻が関連する可能性を想定し、肺動脈内皮細胞(HPAEC)に特有な低酸素に対する遺伝子発現変化の同定を試みた。【方法】HPAECおよび大動脈(HAOEC)、臍帯静脈(HUVEC)由来の血管内皮細胞を通常(21%O2)または低酸素 (1%O2)条件で24時間培養し、その間の遺伝子発現変化をTGF-β・血管新生関連遺伝子アレイを用いて網羅的にスクリーニングした。HPAECで他の血管内皮と異なる発現変化を示した遺伝子については、定量的PCR、免疫ブロットによりmRNAおよび蛋白レベルでの発現を確認した。【結果】低酸素暴露後にHPAEC固有の発現変化を示す遺伝子としてBMPRII、BMPRIA、Flt-1が同定された。HPAECではHAOEC、HUVECと異なり、低酸素条件下でBMPRIIとBMPRIAの発現が低下し、Flt-1の発現は増加した。【結語】同定された遺伝子発現変化は内皮細胞増殖を抑制すると考えられることから、これら遺伝子の機能や発現制御の異常がPAHの病態形成に関わる可能性がある。
  • 若松 英, 松本 功, 安河内 孝徳, 中村 友美, 真村 瑞穂, 後藤 大輔, 伊藤 聡, 堤 明人, 住田 孝之
    セッションID: 7-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】シェーグレン症候群(SS)の発症機序を明らかにするため、SS患者唾液腺で特異的に発現する遺伝子の解析を行った。【方法】1)SS患者LSG、健常人(HS)LSGを用いてcDNAアレイ解析を行った。2)1)で発現が増加していたSTAT1遺伝子に着目し、mRNAの発現解析を行った。3)抗STAT1、Tyr701 pSTAT1及びSer727 pSTAT1抗体を用いて、STAT1蛋白の発現を検討した。4)LSGにおける活性化STAT1の局在を確認するため、抗Tyr701 pSTAT1及び抗Ser727 pSTAT1抗体で検出した。5)STAT1誘導遺伝子について、発現解析を行った。【結果】1)SS-LSGでは、25遺伝子がHS-LSGと比べて発現が増強していた。2)STAT1-alpha、STAT1-beta mRNA共に、SS-LSGで有意に発現が増強していた。3)SS-LSGにおいて、STAT1-ア蛋白発現の増加、及びTyr701、Ser727のリン酸化が認められた。4)SS-LSGにおいて、浸潤細胞にTyr701 pSTAT1が、導管にTyr701、Ser727 pSTAT1が検出された。5)STAT1誘導遺伝子は、SS -LSGで有意に発現が増強していた。【結論】SS-LSG局所におけるSTAT1-alphaの過剰な活性化が、SSの病態形成及び腺組織破壊に重要な役割を果たしている可能性が示された。
  • 妹尾 高宏, 赤荻 照章, 迫 雅美, 室谷 佳秀, 澤井 奈々, 林 英夫
    セッションID: 7-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    症例は48歳女性。元来健康であったが2004年3月全身倦怠感を自覚し軽度貧血を指摘。その後も貧血が進行し鉄剤投与にても改善せず7月5日に入院。骨髄検査で赤芽球がほとんど存在せず経過から後天性慢性赤芽球癆と考えられた。また、胸部に巨大胸腺腫を認め、直接Coombs陽性、抗アセチルコリン抗体値軽度上昇などの免疫学的異常を伴い、経過中に体幹部に湿疹を頻回認めていた。輸血での対症療法をおこないつつ7月27日胸腺摘出術を施行。術後に直接Coombs試験、抗アセチルコリン抗体ともに改善した。しかし、貧血の進行は緩徐となるものの改善は認めず、シクロスポリンを300mg/日より開始したところ貧血は改善傾向となり、湿疹もほとんど認められなくなった。
    胸腺摘出と免疫抑制剤により赤芽球癆の改善だけでなく免疫学的異常も改善した症例は興味深く、報告も少ないため、少々の論文的考察を加えて報告する。
  • 吉岡 正雄, 大家 昌源, 山本 和秀
    セッションID: 7-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    潰瘍性大腸炎の再燃時に深部静脈血栓症を合併した1例を経験したので報告する。
    【症例】32歳男性。
    【現病歴】25歳時潰瘍性大腸炎を発症し近医へ1ヶ月間入院。以後サラゾスルファピリジンを服用し、緩解した後治療中断した。31歳時再燃し血便が出現し当院初診。サラゾスルファピリジン服用再開で緩解した後は当院通院中。32歳時血便が出現し、直腸、S状結腸で再燃。プレドニゾロン服用開始し、症状は改善したが、3週間後より左大腿の腫脹、痛み出現。超音波検査で浅大腿静脈以下の深部静脈血栓を認め当院入院。ヘパリン、ワーファリンで抗凝固療法を行なった。
    【考察】潰瘍性大腸炎と深部静脈血栓症の合併は稀であるが、肺塞栓をきたせば重篤となりうる。活動期の潰瘍性大腸炎症例においては、深部静脈血栓症にも注意を払い、超音波検査による診断、抗凝固療法等による治療が重要である。
  • 箱崎 敦志, 金田 利夫, 富施 哲也, 武藤 章弘, 吉田 正
    セッションID: 8-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】バセドウ病の病因であるTSH受容体(TSHR)に対する刺激型自己抗体を産生誘導するために、生体内でTSHRを発現させるnaked DNA法を発展させたin vivoエレクトロポレーション法(in vivo EP)を用い、バセドウ病モデルマウスの作製を試みた。【方法】1)エレクトロポレーター(ネッパジーン社、CUY21 EDIT)を用い、マウス(BALB/cマウス6週齢、雌)大腿部筋肉にTSHR(TSHR-Wt)及び変異型TSHR(TSHR-289His)発現ベクター(各々50 μg/site)を注入し、パルスを与えた(50 V、負荷時間50 msec、6回)。2)抗TSHR抗体の生物活性は、TSHR発現CHO-K1細胞内cAMP産生刺激作用を測定した。【結果】1) In vivo EPによりマウス筋肉内に、TSHR-Wt及びTSHR-289His発現ベクターを遺伝子導入後(4回免疫)、TSHR-Wt群で53%、TSHR-289His群では88%の個体に刺激型自己抗体の産生が認められた。2)刺激型自己抗体陽性の個体では、血中甲状腺ホルモン(T4)値の上昇および甲状腺組織の肥大、濾胞の過形成が認められた。【結論】in vivo EPによりバセドウ病モデルマウスを効率よく作製することが可能となり、TSHRエピトープや自己抗体産生機序の解析に有用と考えられた。
  • 久保 幸也, 星野 香奈, 岡野 哲郎
    セッションID: 8-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】強皮症(SSc)は皮膚及び内臓諸臓器の繊維化を主体とする自己免疫疾患である。SScは30歳代_から_50歳代に発症することから、妊娠を経て起こる胎児性マイクロキメリズム(FMC)との関係が問われた。しかし、FMCは母子間で普遍的であり、母親の免疫系はFMC細胞に対して免疫寛容の状態にある。このFMC細胞が外因的あるいは遺伝的要因により刺激を受けた結果、SScの病態形成にかかわるか否かを明らかにすることを目的とした。【方法】GFPトランスジェニックC57B6マウス(H-2b)24週齢の雄とBalb/cAマウス(H-2k)12週齢の雌を交配しFMCマウスを作製した。FMCマウスに塩化ビニル(VC)を100μl/day 28日間、 Bleomycine(BM)を100μl/day 14日間連続投与しSScモデルを作製した。FMC細胞の動態をFACS及び病理学的解析により検討した。【結果及び考察】FACSで骨髄中GFP+細胞は、対照群0.71%、VC群2.64%、BM群0.69%、CD34+細胞は、対照群6.68%、VC群18.39%、BM群5.47%、GFP+ /CD34+細胞は、対照群1.00%、VC群3.65%、BM群0.95%であった。VC群においてGFP+ /CD34+細胞の増加傾向が確認された。現在、GFP+ /CD34+細胞の病変部でのFMC細胞の分化状況を検討中である。
  • 小林 志緒, 臼井 宗, 橋本 美季子, 吉藤 元, 田中 真生, 藤井 隆夫, 川端 大介, 井村 嘉孝, 佐藤 毅, 橋本 求, 三森 ...
    セッションID: 8-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】TGF-βは通常潜在型として生理活性のない状態で様々な細胞より産生されその後プロセッシングを受ける事により活性化され、活性型TGF-βとして作用を発揮する。我々は細胞産生時より活性型TGF-βとして機能する遺伝子改変型のTGF-β遺伝子を用い_II_型コラーゲン誘導関節炎への効果を検討すると共に他の抗炎症性サイトカインとの比較も試みた。【方法】活性型または潜在形TGF-β発現遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターを_II_型コラーゲンで免疫したマウス脾細胞から採取したCD4+T細胞に感染させた後、コラーゲン誘導関節炎モデルマウスへ細胞移入し関節炎スコアを経時的に記録した。また試験管内で_II_型コラーゲンによる刺激を繰り返し、よりコラーゲンに特異的なCD4+T細胞株の樹立も行い、同様に関節炎修飾効果の比較を行った。【結果】活性型TGF-βを導入したCD4+T細胞を移入したマウスでは潜在型TGF-βやIL-10を導入した細胞移入群に比し、関節炎をより抑えた。コラーゲン特異的CD4+T細胞株を用いた実験では活性型TGF-βを導入した系で治療効果を示した。また移入された細胞は脾臓には集積せず、関節局所に選択的に集積していることも確認された。【結語】活性型TGF-βおよび抗原特異的システムを用いる事で、より強力かつ選択的な関節炎治療効果を示すことが示された。
  • 長谷川 稔, 佐藤 伸一, 濱口 儒人, 内田 純二, 藤本 学, 竹原 和彦, Tedder Thomas
    セッションID: 8-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    Systemic sclerosis (SSc) is an autoimmune disease characterized by excessive extracellular matrix deposition in the skin. Although autoantibody production is a central feature of SSc, a direct role for B cells in disease development has remained controversial. Although CD20 immunotherapy effectively treats some autoimmune diseases, its effectiveness in SSc is unknown. Therefore, the effect of B cell depletion by anti-mouse CD20 monoclonal antibody was assessed in tight-skin mice. CD20 monoclonal antibody treatment of new-born tight-skin mice significantly suppressed (~43%) the development of skin fibrosis and completely abrogated production of SSc-specific autoantibodies. Partial B cell depletion using low antibody doses only partially suppressed skin fibrosis and autoimmunity. Anti-CD20 therapy did not have a significant effect on established disease. Although messenger RNA expression of tight-skin mice was inclined to Th2 rather than Th1 cytokines, anti-CD20 immunotherapy restored a more normal balance in the skin. This suggests B cells as important targets in treating SSc.
  • 山口 優美, 藤尾 圭志, 岡本 明子, 庄田 宏文, 渋谷 美穂子, 津野 寛和, 高橋 孝喜, 北村 俊雄, 山本 一彦
    セッションID: 8-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】IL-17AはT細胞由来のサイトカインであり、関節リウマチ(RA)の進展に関与する。最近、IL-17のfamilyとして5つの分子(IL-17B、Il-17C、IL-17D、IL-17E、IL-17F)が発見された。今回我々はレトロウイルスによる遺伝子導入法を用いてIL-17familyの関節炎進展に対する影響を調べた。【方法と結果】RAモデルマウスとしてCIAマウスを用いた。まず、定量的PCRにてマウス炎症肢のIL-17family、IL-17R(レセプター)発現を調べると、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17FのmRNA発現が対照に比し約100倍高く、IL-17AR、IL-17BRも高かった。これらより、関節炎の炎症局所でIL-17familyがある種の正フィードバック機構に関与することが示唆された。次に、腹腔(PEC)および骨髄由来マクロファージ(BMDM)へのIL-17family添加による炎症性サイトカイン発現を同様に調べると、IL-17BはPECでIL-23、IL-1β発現を、BMDMでIL-17AR発現を亢進させた。また、レトロウイルスによる遺伝子導入を用いてIL-17familyを過剰発現させた脾臓のCD4陽性T細胞を、CIAマウスに関節炎発症直前に養子移入した結果、関節炎スコアおよび病理組織学所見で明らかな悪化を認めた。そして、同法にてIL-17familyのBM transgenic マウスを作製したところ、CIAの早期発症と高い関節炎スコアを示した。【結論】IL-17Aのみではなく、IL-17familyであるIL-17B、IL-17C、IL-17Fに関しても関節炎の増悪に関与していることが示唆された。
  • 大村 浩一郎, 石原 康, 土井 修, 原田 修次, 的場 謙一郎, 山内 勇人, 城山 一男, 大西 誠, 奥田 恭章, 高杉 潔
    セッションID: 9-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    関節リウマチの患者において抗シトルリン化ペプチド抗体(抗CCP抗体)が血清中および滑液中に、高感度、高特異度をもって検出される。日本人においてアルギニンのシトルリン化をつかさどるPADI4という酵素がリウマチ感受性遺伝子のひとつとして同定されたことは、抗CCP抗体は単なる疾患マーカーというだけではなく、病態への関与も示唆される。そこで、検出される抗CCP抗体のIgG subclassによって多種多様だといわれる関節リウマチの病態の分類を試みた。抗CCP抗体50U/ml以上のRA患者80名のIgG1,2,3,4タイプ抗CCP抗体価をELISAにて測定した。IgG1、IgG2抗体価はおおむね、total IgG抗CCP抗体価と相関するが、IgG3,IgG4抗体価はtotal IgGと相関がなく、どちらかのsubclass優位に抗体価が高い群が存在する。また、IgG3値 vs IgG4値でみると、IgG3単独、IgG4単独、両subclassとも高い、両subclassとも低いの4つのグループにきれいにわかれる。これらのグループと病態、病型との関連は現在調査中であるが、IgG3はTh1型、IgG4はTh2型といわれているため、関節リウマチの病型分類に有用である可能性がある。
  • 下山 久美子, 小川 法良, 澤木 俊興, 河南 崇典, 唐澤 博美, 正木 康史, 廣瀬 優子, 梅原 久範
    セッションID: 9-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    抗CCP抗体(anti-cyclic citrullinated peptide antibody)は、RA診断に対する特異度に優れ、多発関節痛症例の鑑別診断や早期リウマチの診断に有用であると報告されている。リウマチ膠原病診療における抗CCP抗体の臨床的有用性を検討した。方法:2004年4月より2005年2月までに当科外来を受診した多発関節痛症例89例(女性 72例、男性 17例)に関して抗CCP抗体、関節点数, ESR, CRP, IgM-RF, IgG-RF, RAPA, CARF, MMP-3, C1qIC, Sharp scoreを測定し、検討した。結果:RA診断に対し、抗CCP抗体は感度75.0 %、特異度 95.6 %、正確度 87.0%であった。RA症例(32例)においては、抗CCP抗体陽性群(24例)は陰性群(8例)と比較し、CARF(P<0.01), IgM-RF(P<0.01), RAPA(P<0.05), Sharp score(P<0.01)が有意に高値であった。総括:抗CCP抗体はRA診断に対する特異度にすぐれ、多発関節痛症例の鑑別診断に有用であると考えられた。RAを疑うが診断基準を満たさない場合には抗CCP抗体の測定が有用であると考えられる。また、免疫異常や関節破壊の程度と関連がある可能性が示唆された。
  • 高橋 裕樹, 小原 美琴子, 鈴木 知佐子, 山本 元久, 苗代 康可, 山本 博幸, 篠村 恭久, 今井 浩三
    セッションID: 9-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】関節リウマチ(RA)の治療にTNFα阻害薬が導入され,結核感染症(TBI)の増加が懸念されている.このTBI 診断に汎用されるツベルクリン反応は偽陽性・偽陰性が少なくなく,近年潜在性結核感染症(LTBI)の診断法として結核菌特異抗原を刺激としてリンパ球が産生するインターフェロンγを測定する診断法(クォンティフェロンTB Gold,以下QFT)が注目されている.しかしインフリキシマブ(IFX)投与やイソニアジド(INH )併用による同法の反応性の変化については報告がない.そこでIFX使用中のRA患者に経時的に同法を行い,LTBIのモニタリングを試みたので報告する.【対象・方法】当科にてIFXを投与中のRA患者14例.ESAT-6/CFP-10に対するQFT(カットオフ値0.35 IU以下)を経時的に施行した.【結果】1)IFXの投与後QFTの経時的な測定を開始した9例中,1例が初回で陽性,残り8例は陰性を維持した.2)IFX投与前にQFTを施行した5例中2例が陽性,うち1例はIFX投与を中止しINHの継続投与でQFTの陰性化をみた.残り3例中IFX開始後1例に一過性の陽性化をみた.3)QFT陽性3例中2例はINH併用下でIFXの投与を行い,1例でQFTの陰性化をみた.【考察】INH投与後QFTの比較的速やかな陰性化をみることや,TBIの既往とQFT の結果の不一致例の存在から,IFX投与中のQFTの解釈にはさらなる検討が必要である.
  • 苗代 康可, 高橋 裕樹, 鈴木 知佐子, 山本 元久, 山本 博幸, 篠村  恭久, 今井 浩三
    セッションID: 9-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    近年,関節リウマチに対する治療は,生物学的製剤の登場を筆頭にめざましく進歩している.一方で,感度・特異度ともに高いバイオマーカーが存在しないため,診断に難渋することが多い.そこで,関節リウマチ患者における疾患活動性や治療効果に関連した新しいバイオマーカーを見いだすために,質量分析法(SELDI TOF-MS)を用いた血清蛋白の検討を行った.対象は抗TNF-αモノクローナル抗体で治療を受けた関節リウマチ患者の治療前後とその他の炎症性疾患患者血清および健常コントロールの血清とした。解析の結果、関節リウマチの治療前後で発現が変化する2つの分子を同定した。一方は治療前の関節リウマチ患者で高く,関節リウマチの活動性が高い群と低い群に区別することが可能であった。また,後者のピークは健常人で高く、関節リウマチ患者で低下しており、また治療後の関節リウマチ患者で増加することから関節リウマチ患者と健常人を区別するマーカーとして有用と考えられた。SELDI TOF-MSを用いた蛋白質解析は,関節リウマチの疾患活動性や治療効果を反映する臨床的に有用なバイオマーカーの発見および決定に有用であることが示されたのでここに報告する.
  • 辻村 静代, 齋藤 和義, 名和田 雅夫, 中山田 真吾, 田中 良哉
    セッションID: 9-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    関節リウマチ(RA)の治療はリンパ球を主な作用標的とするDMARDsを用いるが、多数の治療抵抗性患者が存在し、リンパ球の薬物抵抗性機序の解明と克服は重要である。 多剤抵抗性遺伝子MDR-1がコードするP糖蛋白質(P-gp)は細胞内薬物を排出して薬物抵抗性を齎す。我々はリンパ球がIL-2で活性化されると転写因子YB-1を介してMDR-1が発現誘導され、薬物抵抗性を獲得することを明らかにした。さらに、RAの病態形成に重要かつ治療標的であるTNF-αによってもリンパ球にMDR-1発現が誘導された。 そこで、RAの治療抵抗性とリンパ球上のP-gp発現を検討した。P-gpは健常人20例の末梢血リンパ球では発現せず、RA 80例でDAS 28で評価した疾患活動性と正相関する発現を認めた。In vitroにおけるステロイド添加時のリンパ球内ステロイド濃度はP-gp発現量に従い低下し、P-gp阻害剤(CsA・FK506) 添加で回復した。難治性RAのリンパ球上P-gp高発現は抗TNF-α療法で急速に低下するとともに疾患活動性改善を得た。 以上より、疾患活動性の高いRAにおいてはin vivoでの活性化刺激によるリンパ球上P-gp発現誘導が薬物抵抗性の一因となっており、その発現評価は薬物抵抗性予測及びFK506を含むDMARDsの選択、生物学的製剤の適応決定の有用な指標であると考えられた。
  • 木村 瑞穂, 川人  豊, 河野 正孝, 坪内 康則, 尾本 篤志, 和田 誠, 石野 秀岳, 吉田 牧恵, 吉川 敏一
    セッションID: 9-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    【目的】AIF-1はラットの心移植に伴う慢性の拒絶反応において同定された分子であり、炎症反応及び免疫反応に重要な役割を果たしていると考えられるがその 作用は明らかではない。今回我々は、RA及び変形性関節症(OA)におけるAIF-1の発現及びその作用について検討した。【方法】試料はRA及びOA患者の手術検体より得られた滑膜組織を使用した。抗AIF-1抗体を用いた免疫染色で、AIF-1の滑膜組織における局在を調べ、ウエスタンブロット法、RT-PCR法を施行し、RAとOAにおける蛋白及びmRNA の発現量を比較検討した。さらにMTT法を用いて、RAの滑膜培養細胞に対するAIF-1の 細胞増殖能を検討した。【結果】RA及びOAにおける蛋白及びmRNAのAIF-1の発現量は、共にOAと比較しRAにおいて有意に増加しており、免疫組織学的検討で、AIF-1はRAの滑膜表層細胞、線維芽細胞、炎症性単核球にその発現を認めた。MTT法におけるRAの滑膜培養細胞へのAIF-1の添加実験では、濃度依存的に滑膜細胞の増加傾向が認められた。【考察】AIF-1は、慢性炎症性疾患であるRAの病態に関与し、さらにその主病態である滑膜細胞の増殖にも関連することが示唆された。
  • 橋本 求, 吉冨 啓之, 田中 聡, 廣田 圭司, 野村 尚史, 坂口 教子, 三森 経世, 坂口 志文
    セッションID: 9-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    シトルリン化蛋白に対する自己抗体は、関節リウマチに高頻度かつ特異的に検出される新たな血清マーカーとして注目されている。現在までのところ、関節炎モデルマウスにおいて、シトルリン化蛋白に対する抗体の産生は報告されていない。本研究で、われわれは、T 細胞刺激伝達系の主要分子であるZAP70の変異により、ヒトの関節リウマチに酷似した慢性自己免疫性関節炎を自然発症するSKGマウスにおいて、抗シトルリン化蛋白抗体の産生がみられるかどうかを検討した。通常の飼育環境下で、約9ヶ月齢において、SKGマウスの一部(約30%)に抗CCP(環状シトルリン化ペプチド)抗体が見いだされた。また、そのうちの少なくとも一部は、シトルリン化フィラグリンに反応するがシトルリン化されていないフィラグリンには反応しないため、シトルリン化蛋白を特異的に認識していると考えられた。また、IL-6をノックアウトしたSKGマウスは、関節炎を全く発症しないが、抗CCP抗体の産生が認められた。したがって、SKGマウスにおける抗シトルリン蛋白抗体は、関節炎発症の原因ではなく、また関節炎の結果として産生されるものではないと考えられる。
  • 横田  和浩, 石橋 俊子, 平野 資晴, 吉田 佳弘, 上川 哲平, 阿達 大介, 秋葉 春彦, 竹石 美智雄, 秋山 雄次, 金 潤澤, ...
    セッションID: 9-8
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    Purpose: We previously reported 10 mg of simvastatin significantly reduced disease activity in active RA patients with hypercholesterolemia. In this study, we investigated the effect of physiological dose of simvastatin on IL-6 and IL-8 production and cell proliferation of RA fibroblast-like synoviocytes (FLS) induced by TNF-α. Methods: FLS were isolated from the synovial tissues of 12 RA patients on the occasion of joint replacement. RA FLS were cultured with or without 0.05-10 μM of simvastatin for 12 h. mRNAs expression and secreted proteins of IL-6 and IL-8 were quantitated by real-time PCR and ELISA, respectively. The cell proliferation of FLS induced by TNF-α was determined by MTT assay. Results: mRNA expression of IL-6 and IL-8 in FLS were inhibited by addition of simvastatin in a dose-dependent manner. IL-6 and IL-8 in the FLS culture medium were decreased by simvastatin in a time-dependent as well as a dose-dependent manner. Additionally, simvastatin inhibited proliferation of FLS induced by TNF-α. Conclusions: Those results suggest that the beneficial effect of simvastatin in RA patients may be through inhibition of IL-6, IL-8 and cell-proliferation in FLS.
  • 伊藤 壮一, 鈴木 貴博, 小井戸 則彦, 鈴木 厚, 大曽根 康夫
    セッションID: 9-9
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    症例:76歳女性。主訴;呼吸困難。現病歴;平成11年にRAを発症した。平成13年よりブシラミンで加療するも効果なく、平成13年10月よりMTX 4mgに変更し寛解した。同年11月脱毛のためMTX 2mgに減量したが自己判断で4mgに増量。平成15年7月脱毛増悪のためMTXを中止。サラゾスルファピリジンへ変更するも歯肉炎のため中止。同年12月多関節炎で入院しMTX再開により軽快した。平成17年2月に感冒様症状を認め検査を指示されるも受けずに帰宅。同年3月に呼吸困難で受診時も検査を受けずに帰宅。呼吸困難が増悪し翌日緊急入院となった。BMI 19、発熱、貧血あり。活動性滑膜炎なし。両手指にスワンネック変性を認めた。WBC 1130/ul、RBC 101x104/ul、Hb3.5g/dl、PLT 1.9 x104/ulと汎血球減少であった。血清クレアチニン0.4mg/dl、24時間Ccr 110ml/min と正常。MTX誘発汎血球減少に対してロイコボリンレスキューと輸血を、肺炎と心不全に対して抗生物質の投与と輸液管理を行い救命した。腎機能障害例にMTXを投与すると、汎血球減少を引き起こし致命的となることはよく知られている。本例のように24時間Ccrは正常であっても高齢、BMI低値、感冒様症状、MCVの上昇傾向などの場合には、汎血球減少の併発を考慮に入れて血液検査を頻回に行う必要があり、示唆に富む症例と考え報告する。
  • 濱口 真英, 吉田 牧恵, 川人 豊, 坪内 康則, 河野 正孝, 尾本 篤志, 木村 瑞穂, 和田 誠, 石野 秀岳, 山本 相浩, 吉川 ...
    セッションID: 9-10
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    症例は47才、女性。発熱、関節痛を主訴とし当院紹介受診となった。 30才時に関節痛が出現し、関節リウマチと診断し、少量プレドニゾロン内服治療を受けていた。44才時に39℃の高熱、レイノー現象、手指のソーセージ様腫脹、開口障害が出現し、皮膚所見より強皮症と診断した。プレドニゾロン、メトトレキサート内服治療を行ったが関節痛が改善せず、infliximab投与の適応とした。Infliximab投与により関節痛が軽減するとともに、手指のソーセージ様腫脹、開口障害といった皮膚症状も改善した。しかし、血小板減少、LDH・FDP増加とともに抗リン脂質抗体の出現を認めた。Infliximabによる抗リン脂質抗体の出現を疑い、Infliximab投与を中止した。血小板減少、LDH・FDP増加はInfliximab投与中止により改善し、抗リン脂質抗体も消失した。Infliximabにより抗リン脂質抗体が出現したとする報告はなく、本症例はInfliximabの有害事象として注意すべき症例と考え報告する。
  • 天野 浩文, 天野 恵理, 仲野 総一郎, 森本 真司, 戸叶 嘉明, 高崎 芳成, 橋本 博史
    セッションID: 10-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    目的:近年マウスにおいて末梢血単球には異なるサブセットが存在することが明らかにされ、全身性エリテマトーデス(SLE)モデルマウスの一つであるBXSBマウスにおいては病気の発症に応じて末梢血単球の増加と単球サブセットの変化が生じていることから、病態形成との関与が示唆されている。今回我々は、ヒトにおいてもマウスと同様のサブセットの存在及び変化が認められるかを解析した。方法:病気の活動性が認められステロイドの治療を開始する前もしくは増量前のSLE9例について、末梢血を採取、抗CD14, 抗CD62L, 抗CD11cの各モノクローナル抗体を用いて細胞染色しフローサイトメトリーで解析、健常者9例と比較した。結果: CD14+CD62Lhighの分画、CD14+CD62Llowの分画どちらも健常者と比較し有意に増加が認められ、特にCD14+CD62Llowの分画で強い有意差が認められた。更にCD14+CD62Llowの分画では、CD11cの発現をCD14+CD62Lhighの分画よりも強く認めた。結論:マウスのみならず、ヒトにおいても末梢血単球で異なるサブセットが存在し、SLEにおいて特にCD14+CD62Llowのサブセットの増加がみられた。またこの分画でCD11cの発現を認めることから、樹状細胞との関与が示唆された。
  • 堀田 哲也, Kenaz Thomas, 保田 晋助, 渥美 達也, Joan Merrill, 小池 隆夫
    セッションID: 10-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
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    [背景]Endothelial Protein C(PC)/activated PC(APC) receptor (EPCR)はPCの活性化を促進する。一方可溶性EPCR(sEPCR)はPCとAPCに結合し、PCの活性化を抑制し、さらにAPCの抗凝固作用を阻害する。敗血症などの炎症性疾患ではAPC活性の低下とsEPCRの上昇が報告されている。またEPCRの遺伝子多型とsEPCR濃度との関連が報告されている。また、全身性エリテマトーデス(SLE)患者においては抗EPCR抗体が認められることがあると報告されている。
    [目的]SLE患者における血漿中のsEPCRレベルを測定し、疾患活動性、抗EPCR抗体、EPCR遺伝子多型との関連を検討する。
    [方法]94名のSLE患者を対象とし、血漿中のsEPCR濃度と抗EPCR抗体はELISA法で測定した。EPCR遺伝子多型(rs867186 A/G, rs9574 C/G)は直接シークエンス法を用い、疾患活動性はBILAG(The British Isles Lupus Assessment Group)スコアで評価した。
    [結果]SLE患者のsEPCRは平均230 ng/mlで、遺伝子多型に関わらずコントロール群と比較し有為に上昇していた。抗EPCR抗体は13例(14.9%)で認められたがsEPCR濃度との関連は認められなかった。またsEPCR濃度とBILAGスコアや抗EPCR抗体の存在には明らかな関連は認められなかった。
    [考察]sEPCRの上昇がSLE患者における血栓傾向の原因と一つである可能性が示唆された。
  • 野崎 杏子, 津坂 憲政, 熊澤 千佳, 瀬戸山 由美子, 白石 清乃, 安倍 達, 竹内 勤
    セッションID: 10-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】我々はこれまで、全身性エリテマトーデス (SLE)患者T細胞で優位に発現されている選択的スプライシングによって短くなった3'UTRをもつTCRζ(ζ)mRNA (ζmRNA/as-3'UTR)が安定性を欠くために、ζ鎖発現が低下あるいは欠損することを報告してきた(J Immunol 2003, J Immunol 2005)。 そこで今回は、ζmRNA 3'UTR内のどの領域がζ鎖発現を調整しているのかを明らかにすることを目的とした。【方法】3'側を短くしたtruncated form ζcDNA [それぞれ3'UTRの長さが605 bp, 736 bp, 816 bp, 936 bp, 1001 bp, 1195 bp, 1322 bp, ならびに1492 bp (全長)]をRT-PCR法で増幅し、pDON-AIベクターに組み込み得られたリコンビナントレトロウイルスをマウスT細胞ハイブリドーマMA5.8(ζ発現を欠損したもの)に感染させ、MA5.8 mutantを作製した。【結果】抗ζ鎖抗体(TIA-2)、抗CD3オ抗体を用いたWestern blot法、免疫沈降法(ビオチン標識細胞表面タンパクを抗原に用いた系)、FACSで解析したところ、605 bp, 736 bpのtruncated form 3'UTRをもつMA5.8 mutantではζ鎖を含めたTCR/CD3複合体発現が認められなかったが、816 bp以上の長さをもつ3'UTRの場合は認められた。【考察】以上から、ζ鎖発現を調節する部位は、ζmRNA 3'UTR内の736 bpから816 bpの領域に存在することが認められ、今後はこの領域の役割を明らかにすることが必要と考えられた。
  • 仲野 総一郎, 森本 真司, 野沢 和久, 天野 浩文, 戸叶 嘉明, 高崎 芳成
    セッションID: 10-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    〔目的〕最近、獲得免疫とは別に、感染防御に主に働く自然免疫のシステムと自己免疫疾患との関連が報告されている。この認識分子としてToll like receptor (TLR)が機能しており、ヒトにもクローニングされている。TLR9はPlasmacytoid dendritic cell (PDC)およびB cellにのみ発現しており、非メチル化DNA(CpG DNA)がLigandと同定され、receptorとの反応で細胞成熟化や炎症性サイトカインが産生される。今回、我々はSLE患者の末梢血B細胞のTLR9およびTLR9-mRNAの発現を検討した。〔方法〕急性期SLEの患者末梢血から磁気ビーズ法より分離したB細胞に、FITC標識した抗TLR9モノクローナル抗体を細胞内で反応させ、フローサイトメトリーでその発現を測定した。また、TLR9-mRNAについては、同細胞をRNA分離し、リアルタイムPCRで発現を定量した。〔結果〕急性期SLE症例では健常者と比べ、B細胞におけるTLR9-mRNA、TLR9分子の発現が亢進していた。また疾患活動性についてSLEDAIと、B細胞の活性化マーカーであるCD86との関連について検討を行ったところ、SLE症例ではSLEDAIとTLR9発現、CD86とTLR9発現の相関関係がみられた。〔結語〕SLE患者末梢血B細胞ではTLR9発現が亢進しており、疾患活動性や病態と関連している可能性が示唆された。
  • 徳永 美貴子, 齋藤 和義, 中山田 真吾, 辻村 静代, 名和田 雅夫, 岩田 慈, 吾妻 妙子, 田中 良哉
    セッションID: 11-1
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    SLEは自己反応性T細胞および抗体産生能を有するB細胞により、全身性の炎症病態を呈する自己免疫疾患である。中でも中枢神経病変は重要な予後因子であり、臨床症状や重症度の多様性を有し難治性の経過を辿るも、標準的治療が確立されていない。我々は、既存の治療に抵抗性を示したCNSループス8例(ACRの分類上、Neuropsychiatoric syndrome 4例、Neulogenic syndrome 2例、両者の合併2例)に対し抗CD20抗体(rituximab)を375mg/m2を週1回計2回投与し、臨床経過と末梢血リンパ球上の機能分子発現を検討した。2例で意識障害が数日内に急速に改善した他、失見当識、痙攣発作、頭痛、感覚障害、うつ状態の消失・改善を認め、全ての症例で投与後28日におけるSLEDAIは改善し、うち4例は投与1年を経過するが中枢神経症状の再燃を認めていない。また、治療後B細胞上のCD40及びCD80に加えてT細胞上のCD40Lも発現が減弱しており、B細胞の量的且つ質的減衰がB細胞-T細胞間相互活性化作用の制御につながり免疫異常を是正している可能性が考えられた。以上より、抗CD20抗体療法は中枢神経症状をはじめとする自己免疫異常に起因する難治性病態に対し著明な効果を示し、自己免疫異常を一時的にリセットすることでSLEを寛解へと導く画期的な治療法であることが示唆された。
  • 中嶋 蘭, 川端 大介, 橋本 美季子, 井村 嘉孝, 吉藤 元, 田中 真生, 臼井 崇, 藤井 隆夫, 三森 経世
    セッションID: 11-2
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    (背景) びまん性肺胞出血はSLEの2_から_4%に発症する合併症の1つであり、治療抵抗性、再発性であることが多く、現在でも致死率の高い難治性病態である。今回我々はステロイドと免疫抑制薬に抵抗性のびまん性肺胞出血に対して二重膜濾過血漿交換療法 (DFPP)が著効した症例を経験したので報告する。(症例) 30歳女性。H13年よりレイノー症状を認めた。H15年7月、顔面紅斑、高熱、関節痛を認め、抗核抗体陽性、リンパ球減少、抗DNA抗体陽性よりSLEと診断され、精査加療目的で入院。入院後、呼吸困難、貧血の急速な進行(Hb 11.1g/dl→7.9g/dl)を認めた。胸部CT上、両下肺びまん性陰影を認め、気管支肺胞洗浄で血性液を採取したことからびまん性肺胞出血と診断した。高用量ステロイド、シクロホスファミドパルス療法 (IV-CY)に対する効果が不良であったため、DFPPを週1回計4回施行したところ、貧血の速やかな改善と胸部びまん性陰影の消失をみた。以後はIV-CYを継続しステロイドの減量および長期寛解維持が可能となった。(結語) 従来の治療に抵抗性のびまん性肺胞出血に対してDFPPは試みる価値があると考えられた。
  • 武田 誠司, 兼岡 秀俊, 斉藤 喬雄
    セッションID: 11-3
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    [症 例]54歳、女性、主婦。[現病歴]2003年1月から多関節痛が出現。同年4月、当科を受診し、汎血球減少、抗核抗体異常高値を認め、全身性エリテマトーデス(SLE)が疑われたため、5月19日、入院となった。[経 過]アメリカリウマチ学会のSLE分類基準の11項目中、多関節炎、持続的円柱尿、汎血球減少、免疫学的異常(抗dsDNA抗体陽性)、抗核抗体異常高値の5項目を満たしたため、診断を確定した。入院後、ステロイド療法によって関節痛は消退し、検査異常も改善していった。シェーグレン症候群、橋本病、CREST症候群などのその他の自己免疫疾患の合併は臨床症状と検査所見から否定された。入院時、肝機能障害を認めたため、抗ミトコンドリア抗体を測定したところ、蛍光抗体法による抗ミトコンドリア抗体は陰性であったが、ELISA法による抗ミトコンドリアM2抗体は陽性であり、原発性胆汁性肝硬変(PBC)の合併が疑われた。肝生検で慢性非化膿性破壊性胆管炎の像を認め、無症候性PBCのstage I(Scheuer分類)と診断されたが、ステロイド療法の継続に伴い、肝機能障害も改善していった。[結 語]SLEとPBCの合併例は報告が少ない。今回われわれはSLEとPBCの合併例を経験したので文献的考察を加えて報告する。
  • 後藤 秀樹, 高島 英典, 小泉 和輝, 向井 正也
    セッションID: 11-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】47歳、女性。微小変化型ネフローゼ症候群の経過中に発症した全身性エリテマトーデス(SLE)・シェーグレン症候群(SjS)として、平成15年11月から当科にて経過観察していた。平成16年10月頃から頻尿が出現したため当院泌尿器科受診となり、間質性膀胱炎と診断され塩酸オキシブチニン内服にて経過観察となった。その後、腹痛・腸閉塞様症状が出現、抗DNA抗体高値および赤沈の亢進からSLEの活動性が上昇していると考えられたこと、頻尿症状改善しないことから、精査・加療目的に平成17年1月当科入院となった。精査の結果、両側水腎症、膀胱コンプライアンス低下、膀胱容量の低下および腹水の貯留が認められた。基礎疾患にSLEが存在しており、ループス膀胱炎・ループス腹膜炎と診断した。平成17年2月からプレドニン60mg内服開始した。水腎症の改善、膀胱容量の拡大、腹水の減少とステロイドの反応は良好であり、プレドニン30mgまで漸減し退院となった。【結語】SLEは、低頻度ながら膀胱にも病変を生じることがある。診断の遅れは膀胱機能の非可逆的な障害を来たす。今回、ループス膀胱炎・ループス腹膜炎を早期に診断し、大量ステロイド療法にて経過良好であった1例を経験したので報告する。
  • 野村 明彦, 高田 英俊, 大賀 正一, 原 寿郎
    セッションID: 11-5
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】症例は11歳男児。2004年9月発熱、嘔吐、黄疸および下肢の点状出血を認め、当科に入院した。入院時、貧血(Hb 8.8g/dl)、血小板減少(3×10^3/μl)、破砕赤血球、APTT延長、LDH(1138 U/L)上昇、および肝機能障害を認めた。HPS、TTP、Evans症候群などを疑い、FFP投与、γ-glb大量投与を行ったが症状は改善しなかった。その後、直接・間接クームス、PA-IgG、LACが陽性であることがわかり、さらに抗核抗体や尿所見(細胞円柱、蛋白尿)も認めSLEと診断した。一方、入院時血漿でADAMTS13活性の著明な低下(3%以下)とADAMTS13インヒビターも陽性であったことからTTPも合併していた。mPSL pulse療法開始後に傾眠傾向、感情失禁を認め、多発性梗塞所見を呈するCNSループスを続発したが、パルス療法、抗凝固療法の継続で症状や血液検査所見は徐々に改善し、クームスおよびLACの陰性化、ADAMTS13活性の上昇も認められた。
    【考察】SLEに伴うTTPは極めて稀であり、これまでに小児例の報告はない。本症例は初発症状として免疫学的血球減少や抗リン脂質抗体症候群などの複数の抗血球・凝固因子抗体による血液異常をきたした経過が特異的であった。TTPは一般に難治性であるが患児にはステロイドが奏効し、血漿交換を必要とせず、速やかなADAMTS13活性の回復がみられたことも注目すべき点であった。
  • 野崎 高正, 武井 正美, 猪股 弘武, 白岩 秀隆, 清水 貴子, 北村 登, 三田村 巧, 松川 吉博, 澤田 滋正
    セッションID: 11-6
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    SLEに2次性Sjogren症候群を伴った症例にサイトメガロウイルス(CMV)の感染が合併し関節炎の増悪とリウマトイド因子の上昇、炎症反応の上昇を認め関節リウマチ(RA)と診断され治療行った症例を報告する。症例は30歳、女性。平成7年9月抗リン脂質抗体陽性、平成8年2月にSLEと診断をされた。SLEは微熱が断続的に続くのみで経過観察していた。平成12年6月頃より軽度の両側手関節の腫脹、疼痛が出現、CRP陰性のためSLEの関節炎と考え経過観察した。平成12年9月に乾燥症状出現しSjogren症候群の診断をされた。平成14年1月頃より関節炎の増悪を認めたがCRP 陰性でありSLEの関節炎の増悪と考えPSL15mgとミゾリビンを投与した。平成14年6月よりRAHA、CRP の上昇と頚部リンパ節腫脹を認め、CMV IgM高値を認めた。さらに関節炎増悪し平成14年11月の骨シンチグラフィー上、手、手指、足趾への集積と手指関節の単純レントゲンで骨びらんを認め、びらんを伴う多発性関節炎合併と考えMTX4mgの週一度の投与を開始した。平成13年7月より低下していた抗ds-DNA抗体は、平成14年12月より再上昇し、それとは逆にCMV IgMは平成15年1月に陰転化し、RAHAは平成15年4月に低下した。CMV IgMとRAHAは同時期に上昇、低下を認め、相関しているものと考えられた。以上の経過よりCMV感染が関節炎の増悪に関わったものと考えられた。
  • 坪内 康則, 福田 亙, 川人 豊, 河野 正孝, 尾本 篤志, 木村 瑞穂, 和田 誠, 石野 秀岳, 吉田 牧恵, 濱口 真英, 山本 ...
    セッションID: 11-7
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/18
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】ミゾリビン200mg/日により白血球減少が改善したループス腎炎の1例を報告する.【症例】55歳女性。平成15年6月急性心筋梗塞のため循環器科入院。動脈硬化のリスクファクターに乏しく抗カルジオリピン抗体陽性より抗リン脂質抗体症候群と診断。さらに関節炎、腎障害、血液異常(溶血性貧血、白血球減少、リンパ球減少)、免疫異常(抗DNA抗体陽性、抗カルジオリピン抗体陽性)、抗核抗体陽性より全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され7月当科入院。ステロイドパルス療法1回施行。後療法としてPSL50mg/日開始し関節炎及び貧血改善、蛋白尿減少、血清アルブミン及び補体価の増加、抗DNA抗体陰性化を認めた。しかしながら白血球減少が持続しPSL25mg/日に減量時よりMZR200mg/日併用開始。その後、蛋白尿消失、血清アルブミン及び補体価の正常化を認め、白血球減少も改善した。【考察】ループス腎炎におけるステロイド、ミゾリビン併用療法の有効性が報告されている。しかし通常投与法150 mg/日分3では治療閾値への到達が困難で効果不十分となり得るため投与法が重要と考えられる。白血球増加はMZRの14-3-3蛋白を介したグルココルチコイド受容体制御という新しい機序によると予想される。この用法、用量ゆえに白血球減少に対する増加効果を認めた可能性が示唆される。
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