ウイズコロナ時代の攻めのリハビリテーション(以下,リハ)と認知症ケアのための街づくりについて解説した.攻めのリハは重篤な障害を発症した後にも,立派に生きて立派に死ぬことを支える医療と福祉の基盤になる.回復期の攻めのリハにより,股関節の再学習による歩行再建,上肢機能の再獲得,意識回復,精神・高次脳機能向上,言語・嚥下・栄養状態の回復が目指せる.認知症ケアでは,その認知症病型を診断して進行を予防しつつ,周辺症状を予防,改善する医療基盤が必要である.その理解の上に,認知症患者が立派に生きて,立派に死ぬことをAdvance Care Planning により患者と家族と共有することで,初めて認知症ケアが成立する.練馬区での認知症早期対応・診断治療を紹介し,認知症を予防し支える練馬区の街づくりを概説した.
植物由来成分であるフェルラ酸を含むサプリメントが認知症の周辺症状(Behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD)に対して有効である例が報告されている.しかしながら,その作用機序の詳細は明らかとなっていない.これまでに我々は,フェルラ酸が中枢神経系に及ぼす影響に関して,実験動物を用いた基礎研究を行い,フェルラ酸が神経幹/前駆細胞の増殖を促進することや5-HT1A受容体の部分作動薬として働くことを明らかにしてきた.本稿では,こうした我々の基礎研究結果をもとに,フェルラ酸がBPSD を改善するメカニズムとBPSD の治療におけるフェルラ酸の有用性について考察する.