本稿では、石川高専電子情報工学科におけるディジタル信号処理に関する実践的教育への取り組みを紹介する。当学科での信号処理教育は、5年次における選択科目「ディジタル信号処理」と同じく5年次の学生実験のテーマ「信号処理」がその中心であった。平成12年度からは、講義時間数を2倍にするとともに、50ユーザ分のMATLABサイトライセンスを利用した演習の開始や、ディジタルシグナルプロセッサボードを利用した演習のさらなる拡充を計画している。そのほか、校外の方々からの反響をいただいた活動としては、インターネット上で公開している「ディジタルフィルタ設計サービス」がある。このWebページにより、よく知られた古典的なディジタルフィルタを設計し、その設計結果を無償で利用することが可能である。平成11年度には、新たな試みとして社会人技術者対象のセミナー「ディジタル信号処理基礎」を開催した。このセミナーは、雇用・能力開発機構ポリテクセンター石川との共催により、石川高専公開講座として開催したもので、著者にとっては、現場技術者の方のニーズに触れ、より実践的な技術教育を高専において展開していくための研鑚の機会にもなった。

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