保健医療社会福祉研究
Online ISSN : 2436-4193
Print ISSN : 2435-0060
ISSN-L : 2435-0060
30 巻
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
日本保健医療社会福祉学会第31回大会
大会挨拶
基調講演
シンポジウム
指定発言
おわりに
論文
  • ―医療ソーシャルワーカーのインタビュー調査データの内容分析にもとづいて―
    林 祐介
    原稿種別: 論文
    2022 年 30 巻 p. 53-64
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    医療ソーシャルワーカー(MSW)が関わっている保証人不在者についての支援上の困難を把握しつつ、これらの困難にはどのような特徴がみられるのかを検討するために、事例調査を行った。対象は、X県内12病院のMSW12人である。方法はインタビュー調査を実施し、内容分析を用いて分析した。その結果、以下の3点が示唆された。①MSWが感じている困難内容は、厚生労働省通知の「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」に記されている保証人に求める役割や機能と一致しないところがあり、[患者とのやりとり困難]等の「ガイドライン」では想定されていない困難が生じている。②回復期・慢性期機能の病床を主に担当しているMSWのみが感じている困難内容がみられ、病床機能によって違いがある。③MSWからみた支援上の困難には、成年後見制度では解決しきれない特徴がみられる。その上で、実践上の課題として、地域の関係機関との協働の必要性をあげ、医療現場の実態に即した「ガイドライン」改訂が必要であることを提起した。

実践報告
  • ―認知症高齢患者の家族支援を手掛かりに―
    本岡 悟, 大西 次郎
    原稿種別: 実践報告
    2022 年 30 巻 p. 65-75
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2023/06/15
    ジャーナル フリー

    MSWは患者ないし家族の言動から自らの支援の至らなさを覚えつつも、いつとはなしに忘れ去る感情を経験すると思われる。本稿ではこれを「とまどい」と呼び、MSWがこの「とまどい」に向き合う臨床的有用性を明らかにすることを目的とした。

    調査対象・方法は入院中の認知症患者を抱える家族(3名)に対する半構造化面接と、この家族にMSWとして関わった筆者自らを媒体とするエピソード記述である。検討の結果、家族はMSWの問いに明確な返答をさけ、ためらいという態度で言語化に至らない不安を表出していたことが明らかとなった。

    この家族のためらいと同時に、MSWは「とまどい」を覚えていた。すなわち「とまどい」に向き合う臨床的有用性は、MSWが家族に深く話を聞かなければならないというセンサー、さらにはMSWと家族の関係性が損なわれかねない瀬戸際にあるという気付きの役割にあることが導かれた。

    ただし、退院が計画的に進むことによりMSWは「とまどい」を霧散させやすい。それを避け、「とまどい」を実践の向上に結び付けるためには、「『とまどい』を生み出す(家族とMSWの)関係性の逆転」「『どまどい』を霧散させる安堵感」「MSW本位の考えに対する内省」に留意すべきである。

feedback
Top