観光教育を実践する高等学校は,全国で散見されるようになったが,高等学校の観光教育の現状について調査された研究はあまり見られない.本研究は,高等学校の観光教育の課題を明らかにし,今後の観光教育の進展に寄与することを目的として,既存の研究や高等学校の観光教育の現状を示す調査を取りあげ分析をした.また,生徒,大学生の意識調査を行い分析することとした.さらに,今後の高等学校の観光教育の方向性について,次期高等学校学習指導要領の中の観光教育に関する記述について考察を加えた.
そこからは,高等学校における観光教育が,体験的内容を中心に実践され,次期学習指導要領が示す「主体的・対話的で深い学び」を育む教育であることがわかった.また,生徒のアンケート結果から,観光教育に対する満足度は高いが,観光学習への興味関心と進路が結びついていない状況も明らかとなった.課題としては,観光教育実施におけるカリキュラム編成や指導者,後継者の問題が解決されていない現状がある.そして,高等学校の観光教育の持続のために,観光教育に関する多方面からの情報を共通の教材や指導方法として共有するシステムを構築する必要性が示唆された.
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