下水道協会誌
Online ISSN : 2434-2475
Print ISSN : 0021-4639
59 巻, 714 号
2022年4月号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
実務論文
  • 後藤 浩, 山下 三男, 岡田 健司, 石川 眞
    2022 年59 巻714 号 p. 116-123
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     都市域の道路面に降った雨水は,街渠に集められ雨水桝へ落下し下水管へ流入する。開発行為などによる大規模な事業所やそれに付随するエリアに降った雨水は,敷地内で集められ下水管へ流入する。小規模事業所や一般家屋の屋根に降った雨水は,ルーフドレーンによって集められ宅内桝へと流れ,その後,下水管へ流入する。しかし,下水道本管が後で整備された古い街区の新築・改築・増築などが行われず昔から存在する事業所や家屋においては,屋根に降った雨がルーフドレーンから直接道路へと排水されている場合が認められる。ところで,近年の異質な気象により降雨が激しくなり,道路が冠水する報道も散見される。そのような中,都市域においては,歩道形状がセミフラット型歩道へ改築が進みさらに浸水しやすくなっている。本来であれば,すべて下水管へ接続されるべき事業所や一般家屋から雨水の道路への直接排水があることに対して,その影響を考察しておくことは工学的に意義があると考えられる。

     本報告では,事業所や家屋から直接道路へ排水される状況について実態調査を行った。次に,事業所や家屋から排出される雨水の街渠内流れに対する負荷を数値シミュレーションから検討し考察した。そして,雨水桝の増設,事業所・家屋における宅内排水に注目して,改善策の考察を行った。

  • 梅﨑 龍典, 伊藤 忠司, 井上 亮, 和田 淳, 武藤 真, 神山 守
    2022 年59 巻714 号 p. 124-133
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     東京都下水道局では,平成29年度より耐スリップ性能向上マンホール蓋の開発に着手した。マンホール蓋のすべり抵抗性能に関する法令上の規定がなかったため,既存の道路舗装や建築床のすべり抵抗の評価に用いる試験を参考に独自にすべり抵抗指標を設定した。また,近年ではマンホール蓋のデザインはひとつの個性となっているため,突起等により既存マンホール蓋のデザインの視認性が損なわれないようにする対策も併せて実施した。

     本研究では,目標とするすべり抵抗指標を測定するための試験方法の選定や組合せを示すとともに,各試験方法の違いによる測定結果の出現傾向について考察した。また,研究を通じて,他自治体やインフラ企業等の参考となる耐スリップ性能向上マンホール蓋の開発手法の一例を示すことができたものと考える。

報告
  • 小田 収平, 小田 耕平, 荒尾 慎司
    2022 年59 巻714 号 p. 134-144
    発行日: 2022/04/01
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル フリー

     近年,気候変動等の影響で頻発する豪雨時の雨水管理で貯留管等による都市浸水対策の事業化も進展するが,課題が残る従来の流量管理技術活用で効果的な社会資本の事業投資と成り得るかが懸念される。

     本研究は,下水道管路システムで流量制御管理の高精度化を図った既往研究を受け,雨水管理で「気候変動を踏まえた下水道による都市浸水対策(提言)」に向けた豪雨貯留計画の新たな設計システムを提起する。

     水理設計での検証結果,新技術システムは流入管路から豪雨流量分を直接分水する事で従来技術システムより豪雨貯留規模21%縮減できた。また,都市浸水対策事業で気候変動2℃上昇の豪雨は新規分水人孔への改築,4℃上昇の豪雨は許容放流量の33%増加で既往管路システムの貯留施設は再活用が可能となる。

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