軟鋼の降伏は一種の安定の問題であつて、或る断面に降伏が起るとすればその面の全体の内力分布状態を考慮に入れなければならないことは既に屡述べたし、また実際安定の毀れるところで必ず降伏の起ることも既に種々の実驗によつて確めた。然るにこれ以外にも降伏を起す場合がありさうである。と云ふのは或る局部にだけ大きな内力の働いてゐる場合等は全体の安定は中々毀れなければ最大内力は何處までゞも大きくなり得るであらうか。材料の性質として何處かに限界がありさうに思ふ。距形柱体の捩り試驗を行つて見た結果、この剪断内力の限界値は1.5τ_yと出て耒た。茲にτ_yは均等内力の下に降伏するときの剪断内力であつて材料によつて定まつた値である。二次元の問題のときには何時もこの1.5τ_yと云ふのが限界値であるやうに思ふ。結局2種類の降伏が存在する譯である。一つは安定の問題で降伏を起すときには或る断面が一時に降伏を起し、他の一つは最大内力が或る限界値に逹したときに起るもので、この時はその局部だけに降伏が起る。

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自動燃料弁の付いたノズルを使つてゐる無気噴油機関で、噴射を終る際に自動弁が振動を起し、そのために切るべき時に正確に噴射を切ることが出耒ないことが屡ある。それで振動の原因を調べ、それを止める方法を考へて見た。結局燃料ポンプからノズルまでが相當長くても導管の太さを適當に選べば、この種の振動は避けられることが分つた。この他にも自動燃料弁は單位時間の噴射量が極めて少いときにも振動を起す。この種の振動に就ても調べて見たが、これは止めることは中々難しいし、また無理に止めて見てもあまり利益はないやうに思ふ。

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膜及び板の強制振動を、複素函数論的に取扱つて、その觧を誘導した。觧即ち変位ωは、一般にω=(自由振動に相當する項)+(強制振動に相當する項)の形で表はされる。本文に於ては、その内、周辺固定された円形板の周囲に週期的外力が作用する場合を取扱つてある。

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自動弁を用ふるヂーゼル機関に於て燃料噴射弁の弁ばねの初圧を変へ噴射圧力、弁運動、及びシリンダ内の圧力を蓄電器の容量の変化を利用せる電気的指圧計により同時に記録せしめ噴射圧力が点火燃燒に及ぼす影響を見出したものである。

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光電管を應用して高速度内燃機関用指圧計および指示馬力計を試作した。その原理構造及び測定結果について述べる。

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本報告はセメントアスベスト板の保温効果を調べたものである。測定結果に依ればセメントアスベスト板の熱傳導率の値は通常温度に於て0.45乃至0.70kcal/m-h-℃位であるからセメントアスベスト板の保温力は大したものでない。

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軸流プロペラ・ポンプに於て羽根車及び導き羽根を通る間に起る損失を翼列の考へから計算し、それに管路に起る損失を加へたものが最小になる様な條件から羽根車主要寸法を決定するに必要なる諸係数を比較回轉度の函数としてあらはしたものである。

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本実驗は一般に使用せらるゝ普通木工鉋の切削作用及び鉋掛け操作法の疲勞に関する関係を決定するために行はれたものである。切削作用は鉋の切削抵抗力を水晶の圧電気式測力器を使用して測定し、これと鉋刄の切削角度、仕込角度、及び刄の出との関係を定めた。又鉋刄の耐久度を適當な方法によつて決定し、これと切刄角度、仕込角度、及び刄の出との関係を定めた。鉋掛けと疲勞の関係を定めるためには、操作中における呼気を採集し、これをハルデン式分析器によつて分析し、酸素の消費量によつて、消費エネルギを決定した。尚同じ方法によつて日本式鉋掛け法と西洋式鉋掛け法との優劣を定めんと試みた。

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本研究はJunkers対向ピストン型ヂーゼル機関を用ひて燃燒室に水晶窓を作り燃燒による光線の一部分を採り光電管により燃燒中の光線の変化を圧力と同時にオシログラフに記録せしめ光の発生、消滅、強弱が圧力及び燃燒と如何なる関係あるかを見、更にその光の分光写眞を撮り大気中における燃料の燃燒と比較しシリンダ内の燃燒経過をしらべたものである。

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内外二つの円管を偏心して組合せ、その間を通る水の乱流れにおける水頭損失に就て実驗的に研究し次の関係式を求めた。h=0.335, 2(1-ε)^-1.347(1-0.164e^2.22)R^-0.252(l/d₁)・v²/2g 或はh=0.059, 06(1-ε)^{-0.094, 7}(1-0.164e^2.22)R_r^-0.252(l/r)・v²/2g こゝに h=水頭損失 l=hの生ずる2点間の距離 d₁=外側管の内径 d₂=内側管の外径 ε₁=d₂/d r=(d₁-d₂)/4水力半径 δ=偏心値 e=2δ/(d₁-d₂)偏心率 ν=水の運動粘り係数 v=水の平均速度 R=vd₁/ν, R_r=vr/ν レイノルヅ数 上式の適用範囲は大略次の通りである。12, 000<R<190, 000 3, 000<R_r<41, 000

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單結晶の曲げ荷重曲線を精細なる荷重装置によつて測定し、その降伏点と結晶方向との関係を求め、曲げ試験の場合も單結晶としての辷りの方向性を現はすこと、並に曲げの場合にはその單純ならざる内力分布のために、却つて普通金属に類似した機械的性質を現はすことを確めた。金属内の個々の結晶粒もこれと同様の状態にあるものと想定し、統計的に見て金属試驗片の変形に際しては辷りを生じ易き方向にある結晶粒より順次に辷りを生じ始めるものと見做した。これに依つて普通金属材料の彈性より可塑性の範囲に至る荷重曲線の説明を再考した。單結晶板を眞空中に於て横振動せしめた場合は同様に結晶の方向性を現はす。即ち、その場合の減衰率は結晶の方向に関係がある。而もその関係を示す函数形が降伏点の場合と同様なることより、減衰を起さしめる内部摩擦の主因は結晶内の辷りにありとした。これは辷り面における動摩擦によつて非可逆的に振動勢力が消耗されるからである。金属試驗片を長時間に亘り繰返し強制振動したとき遂に試驗片が疲労によつて破断するのは、辷り面に相対する原子の互の結合力が繰返し毎に徐々に切断されるに因る。而して1回毎に消耗される非可逆的勢力が大なれは大なる程、早く破断するとした。叙述の順序は1.單結晶板の彎曲荷重線図、2.單結晶板の減衰振動とその内部摩擦、3.金属多結晶粒中に生ずる内部的辷り、4.金属の疲労と内部摩擦、である。

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渦巻ポンプ羽根車の水路を仕上げたものと、鋳放しのものとの2種類の羽根車を製作した。そして両種に就き、羽根数を4, 6, 8, 10, 12枚に変化して、羽根車羽根数がポンプの特性に及ぼす影響を調べた。

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国産自動車の計畫につれて我が国でも自動車用歯車の研究が必要となつて耒た。本論文は例をシボレー乗用自動車のトランスミッション・ギヤに採り、著者の1人の曩に求めたインボリュート歯車の一般公式に基いてこの歯車の觧析を行ひ、これによつて歯形の説明、批判をなし、且その改良策にも云ひ及んでゐる。尚これ等歯車を切削するカッタに関しても述べてゐる。

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特に往復機関の吸気量を絞流量計を用ひて精確に且簡單に測り得る様にする目的で行つた研究である。本編には流れの脉搏を鎭めて測定する方法(容量法)を実際化するための理論と実驗結果の一部分を報告する。

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往復機関の吸気量を測るのに、絞り流量計より吸込まれた流れの脉搏をゴム膜張りの吸込槽に依つて一旦鎭静せしむる方法に就て詳細な実験的研究を行ひ、第1報の理論と比較してこの測定法を安んじて実用に供し得る様にした。

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脉搏する吸込気流を絞り流量計を用ひて脉搏せる状態の儘で測定する場合この測定法の有効範囲が慣性影響に依つて制限される事を明らかにした。

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指圧計内を充す気体の自由振動を音響学理論を適用して論じ、その結果を実験に依つて吟味した。

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本文は二行程ヂーゼル機関のスカヴェンヂングに関聯せる事項を擧げて、これを熱力学的に吟味したもので、排気孔よりの流出、掃除孔よりの給気量、気筒内の状態変化、容積効率及び充填効率、掃除用送風機に要する動力、掃除空気溜内の状態変化及びクランク室掃除ポンプ内における掃除空気圧力の変化等に関して考察したものである。

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或る固体の表面温度がT_m sin ωtの様に変つた時、振動性準定常態又は週期項許りを考へれば、任意の点での温度TはηT_m sin(ωt-φ)となる。又その点を通る熱流HはH=-λ(∂T/∂γ)の関係からζηT_m sin(ωt-φ+ψ)で與へられる。茲にη, φは温度波の振幅減衰率及び位相差、ζη, (ψ-φ)は熱波の振幅減衰率及び位相差で、何れも表面温度波を基としてゐる。λはその物質の傳熱率、γは等温線に直角な方向である。本文では形の簡單な固体に就て、η, φ, ζ, ψの値を計算し多少常識に外れた性質を指摘した。尚過渡状態項の性質も吟味した。

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陶製素燒球に水を吸はせ加熱乾燥し、球の大きさ過熱温度乾燥時間の間の関係及び球の大きさ加熱温度加熱時間と乾きの深さの間の関係を出し、乾燥速度乾きの深さ1cmを基準とした蒸気発生の割合乾燥の熱効率を出し、経濟的加熱温度の存在を確めた。

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生産曲線を人爲的に変更して生産高を増加するには、これを科学的管理法により合理的に改善しなければならぬ。作業者の健康を度外視して徒らに作業速度を高めて生産曲線に変化を與へることは極力排斥しなければならぬ。生産曲線を局部的と大局との二方面より觀て得たる生産曲線の法則に就て述べる。

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出耒るだけ簡單な形状を有する一定ピッチのプロペラ約8個を造つて、その性能試驗を行ひ、且その各に関する水流状況を三孔ピトー管を用ひて計測し、(1)導羽根の影響、(2)面積比の影響、(3)翼断面の形状の影響 (4)遊隙の影響 (5)翼節角度の影響 (6)キャビテーションの影響、(7)相似則の成立等に関して実驗を行つた結果を述べてある。尚水流状況等に就て略近的理論による考察をも述べた。

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2サイクル機関の掃除作用に関する特性を吟味する目的を以て行つた模型試驗の装置及び掃除作用に関聯する基礎的事項を吟味するために簡單な模型に就て行つた実驗結果とこれに対する考察とを述べたものである。

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風圧に対する車輌の安定度に就て考察すべき要素を述べ、走行中の車輌を顛覆さす風圧は脱線を起さす風圧よりも大であるから先づ脱線を起さす風圧の大きさを求めんとし、担ばね1種なる4輪車及び軸ばね枕ばね搖枕釣を有するボギー車に就て左右傾斜動の運動方程式を觧き、これによりて片方車輪圧が0になる風圧の大さを求める方法を述べ、主なる4輪貨車2軸及び3軸ボギー車に就て数値計算を行ひ、片方車輪圧が0になつて脱線を起さす危險を伴ふ風圧の大きさを求めた。なほこれに対する風速の大さは鉄道車輌に於て風速と風圧との関係をあらはす実驗式を求めた後に述べることにする。

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本報告は第4報の後半であつて、第4報は鉄及び低炭素鋼の静的並びに衝撃線図を報告した。これらの線図の中で特に注意すべき事は、低温衝撃線図が加工軟化型をとり又青熱脆性温度では最も加工硬化度の大なる線図をとる事である。而してこれらの線図の成因については加工の温度効果を以て説明したのである。第5報は標題の如き高炭素鋼の線図を報告し尚第4報の実驗結果を合して、鋼の鍛錬温度について述べてある。尚又鋼の冷脆性及び青熱脆性について解説してある。この原因は主として全捩り角の減少する事に依るのであるから、砂谷博士の破損の法則を應用して各温度の線図について、降伏点より破壊点までの剪断強度と分離抗張力の変化を明にし、脆性の原因について詳論した。従耒これ等諸脆性に就ての研究は多々あるけれ共脆性点の衝撃線図を求めて破損の法則を用ひたる觧説は無いのであるから本報告はこの点について明にしたものである。

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