グローバル社会の中で、アジア諸国の英語教育に関心が寄せられて久しい。日本と同じく英語が外国語である韓国、中国などにおいては幅広い研究がなされている。台湾についての研究は近年徐々に増えてきているものの、いまだ十分とはいえない。本稿では、戦後から現在(1945-2017)までの台湾英語教育の改革と発展過程を概観する。
戦後台湾の英語教育政策は事実上、1950年代から始まる。その後は積極的に組み込まれ発展していく。戦後からの英語教育は、台湾が欧米と繋がり、教育の質の向上や人的資源を育て、経済発展・技術発展を進めることの媒体として発展してきた。これは同時に英語教育における政治的影響を強く反映するものでもあった。1970年代の初めより、台湾は急速に近代社会へと発達し、高度成長を成し遂げ、続いて英語教育も次の体制へと新たに構築されていった。1980年代後半を経て、1990年代後半以降はグローバル化を進め国際競争力を高めるために英語教育は重要視されてきた。
1987年には戒厳令が解かれ、民主化が進められる。とりわけ2000年に入ってからは、英語教育は社会の変遷や人々の価値観といった民意を反映するものに移行していったことが読み取れる。さらには、国民の英語能力向上のため取り組まれた政策は、国民全体の生活レベルや教育の機会均等におよび、社会の民主化と近代化の発展に及ぼした影響が大きいことが示唆された。
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