京都滋賀体育学研究
Online ISSN : 2435-8835
Print ISSN : 2187-7866
34 巻
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • ―サッカー試合中における評価基準尺度の開発―
    松山 博明, 中村 泰介, 須田 芳正
    2018 年 34 巻 p. 1-9
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/01/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では, サッカー試合中における当該チームの課題を定量化するために新たに開発した評価基準尺度を用いて,ブータン王国サッカー代表チームとU-19代表チームの競技力向上に関する実態調査を行うことを目的とした.2011年に開催された南アジアサッカー選手権大会とU-19アジア選手権の試合を分析した結果,以下のような内容が得られた.  技術面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,パスの成功率が低く,ボールを奪われた比率が高かった.戦術面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,ボール支配率が低く,シュートの本数が少なかった.体力面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,試合終了前15分間の筋肉疲労での退場者が多く,試合終了前15分間に失点する場面が多かった.心理面での評価基準から代表チームとU-19代表チームは対戦相手と比較して,選手の冷静さを欠く判断ミスによる退場や試合開始後15分間の失点が多かった.また,失点後に連続失点する回数が多く,試合パターンの変化を認識し,注意喚起することが出来なくなった.これらのことから,新たに開発した評価基準尺度の技術面,戦術面,体力面,心理面の4側面すべてにおいて対戦相手と比較して劣っていたため,試合を優位に進めることが出来なかったと思われる.
  • 中山 侑紀, 井門 あゆみ, 石井 好二郎, 家光 素行, 佐藤 幸治, 藤本 雅大, 栗原 俊之, 浅原 哲子, 真田 樹義
    2018 年 34 巻 p. 10-19
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/01/16
    ジャーナル オープンアクセス
    現在,我が国では,日本肥満学会により内臓脂肪型肥満の診断方法が設けられており,臍位(腰椎4番目−5番目:L4-L5)における内臓脂肪面積測定やウエスト周囲径測定がゴールドスタンダードとされている.しかし現在のところ,内臓脂肪蓄積の分布とメタボリックシンドロームリスク因子の関連を検討した研究は,これまでのところ極めて少ない.そこで本研究は,日本人中高齢女性を対象に磁気共鳴画像診断法でみた内臓脂肪面積の分布とメタボリックシンドロームリスク因子との関係について検討することを目的とした.本研究の被験者の内臓脂肪面積は,V-3(臍から3cm 下位)からV10(臍から10cm 上位)までの全ての部位においてObesity 群とNormal 群の間に有意な差が認められた(p<0.001).また,Normal 群とObesity 群の内臓脂肪面積の差の割合を検討したところ,上腹部ほど内臓脂肪面積が多かった.空腹時血糖は上腹部で全被験者とObesity 群において有意な相関がみられたが(Total:r = 0.44,Obesity:r = 0.41,p<0.05), 臍位では両者とも有意な相関はみられなかった.メタボリックシンドロームリスク因子保有数は全被験者およびNormal 群の上腹部において有意な関連が認められた.脈波伝搬速度(足首-上腕)はNormal 群の上腹部にのみ有意な関連があった(r = 0.39,p<0.05).HDLコレステロールは全被験者(r = -0.35,p<0.05)とObesity 群(r = -0.41,p<0.05)において上腹部で有意な負の相関がみられたが,臍位ではその関係はみられなかった.これらの結果から,先行的に日本人男性で示されてきたが,本研究において日本人中高齢女性においても,上腹部の内臓脂肪面積はメタボリックシンドロームリスク因子と有意に関連することが明らかとなった.
  • 井上 健一郎, 藤江 隼平, 長谷川 夏輝, 堀居 直希, 内田 昌孝, 佐藤 幸治, 家光 素行
    2018 年 34 巻 p. 20-28
    発行日: 2018年
    公開日: 2021/01/16
    ジャーナル オープンアクセス
    【背景】肥満者の動脈硬化度は増大するが,習慣的な有酸素性運動は動脈硬化度を低下させる効果がある.その機序には,動脈血管の内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)タンパク活性を介した血管拡張物質である一酸化窒素(NO)産生の増加が関与することが報告されている.近年,eNOS活性の調節に関わる生理活性ペプチドとしてapelinが同定された.しかしながら,肥満者の有酸素性トレーニングによる動脈血管のapelin産生の増加がeNOS活性に関与するかについては明らかでない.【目的】本研究では,肥満モデルラットの有酸素性トレーニングによる動脈血管のapelin濃度の変化がeNOSリン酸化活性に関与するかについて検討することを目的とした.【方法】10週齢のWistar系雄ラット13匹に高ショ糖食を14週間摂取させた肥満モデルラットを用いて,肥満対照群(n=7)と肥満運動群(n=6)の2群に分けた.肥満運動群は,1時間/日,5回/週,25m/分のスピードでトレッドミル走を6週間行った.【結果】肥満運動群の体重は肥満対照群と比較して有意に低下し,ヒラメ筋重量とクエン酸合成酵素活性は肥満対照群と比較して肥満運動群で有意に増加していた(p<0.05).また,肥満運動群における動脈血管のapelin濃度およびapelin受容体のAPJタンパク発現量,eNOSリン酸化活性は肥満対照群と比較して有意に増加していた(p<0.05).さらに,動脈血管のapelin濃度とeNOSリン酸化活性との間には有意な正の相関関係が認められた(r=0.605, p<0.05).【結論】肥満モデルラットの有酸素性トレーニングによる動脈血管のapelin濃度の増大はeNOSリン酸化活性の増加に関与している可能性が示唆された.
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