京都滋賀体育学研究
Online ISSN : 2435-8835
Print ISSN : 2187-7866
35 巻
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 2019年4月6日逝去 享年77歳
    岡本 直輝
    2019 年 35 巻 p. 1
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • -特別支援学校高等部生徒と大学生との交流を通して-
    永浜 明子, 小島 ちなみ
    2019 年 35 巻 p. 2-12
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/16
    ジャーナル オープンアクセス
     インクルーシブ教育とは,障がいの有無に関係なく,地域の同じ学校に通い,同じ教室で教育を受けることである.交流経験が,障がいのある人に対する肯定的影響を与えるとされていることから,インクルーシブ教育を実現させるために,障がいのある人とない人が交流することは必要である.しかし,交流会後の対象者の意識変化に関する研究はなされているが,交流経験が及ぼす影響の持続期間に関する研究は行われていない. 本研究の目的は,交流経験による障がいのある人に対する意識や理解の変化とその持続期間を検討することである.交流会に参加した大学生10名を対象に,交流会前後,およびその後1か月ごとに4回のアンケート調査を実施した.また,9名を対象にディスカッションを実施した.アンケート調査の結果から,5因子中4因子において,4か月後の得点が交流会前を下回らなかったこと,および,交流会が与える肯定的な影響と否定的な影響の両側面が明らかとなった.肯定的な影響は自発的な交流意識の上昇であった.また,否定的な影響は,障がいに関する知識不足,障がいのある人との交流の断絶により生じることが示唆された.本研究の結果より,交流経験には,障がい・障がい者に関する学習時間の十分な確保と継続的な参加が不可欠であることが明らかとなった.
  • 鍵本 真啓, 亀井 誠生, 岡本 直輝
    2019 年 35 巻 p. 13-18
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,高等学校,大学の競技スポーツ現場における動作確認に関わるコーチングの現状確認であった.陸上競技短距離選手のInformation and Communication Technology (ICT)の活用実態について調査を行った.その結果,撮影した動画を細かく確認する際には,体幹部のブレ(33.3%),腰の高さ(30.5%)と比較して足さばき(64.8%),接地の仕方(67.6%)といった下肢に着目する選手が有意に多かった.これは,選手は下肢の動作に基づき身体動作の是非を判別していることを示している. 今後の研究では,ICTを用いたコーチングの流布に向けて,着目する点といったICTの具体的な活用方法(動画の視聴方法)について検討していく必要がある.
  • 岩永 美月, 笹塲 育子
    2019 年 35 巻 p. 19-33
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/01/16
    ジャーナル オープンアクセス
    競技において, 選手のモチベーションを高める・実力発揮を促すために声がけは極めて有効である. 実際に競技場面では声がけは多く使われており, これまで様々な研究結果が報告されている(笹塲, 2018). 他者からの声がけでは, 競技中のプレーを意味するパフォーマンスがうまくいっていない場合に肯定的な声がけをすることで, その次の行動をうまく遂行することを促すと言われている(石橋ほか, 2013). また, 肯定的なセルフトークは, 否定的なものよりも本来の実力を発揮することを促すため, どんな状況でも肯定的なセルフトークは実力発揮に繋がる可能性が高いことを明らかにしている(石橋ほか, 2013). 一方で, 否定的なセルフトークはパフォーマンスを妨げることもわかっている(安田・高根, 2013). さらに, 否定的な他者からの声がけについても, 指導者にとっては選手にやる気を起こさせるための意図的な声がけであったとしても, ネガティブな声がけはパフォーマンス向上を妨げるだけでなく選手のモチベーション低下にも影響していた(矢澤, 2017). しかし興味深い研究結果として, 否定的な声がけがパフォーマンスに良い影響を与える場合もあると言われている(荻原, 2012). 声がけの影響は, 受け取る選手自身の状況によってもその影響に違いが出るとも考えられるため(橋下ら, 1987), スポーツ競技における選手同士・選手と指導者は普段から密接なコミュニケーションを取り, 対象者の特性に適した声がけを行うことが必要である(堀川ほか, 2016).  本研究では, 大学体育会に所属する競技者・世界レベルの競技者を対象に, 特に練習などいつも通りの状況下では実力があるのに試合になると本来の力が発揮できない実力不発揮状態時の声がけの影響に着目し, 選手の特性を踏まえたパフォーマンスの改善に有効な声がけを明らかにすることを目的とした.  本研究により, 競技場面において選手が実力不発揮状態に陥った時の改善に有効な声がけは, セルフトーク・他者からの声がけの両側面において「ミスを認め次の行動に焦点を当てた建設的なもの」であることが明らかとなった. くわえて, 実力不発揮状態を悪化させるようなセルフトーク・他者からの声がけは「叱責したり残念がったりするミスに執着したもの」であることも明らかとなった. 声がけの効果は, 受けとる側の状態によっても意味合いが変わりうることから, 選手の指導者やチームメイトはそれぞれの選手の特性を把握し, さまざまな競技場面で起こりうる実力不発揮状態の改善に有効な声がけを理解しておく必要があると考えられた.
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