日本冠疾患学会誌
Online ISSN : 2434-2157
3 巻
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
原著
  • 親川 拓也, 眞榮平 直也, 比嘉 冨貴, 上地 洋一
    原稿種別: 原著
    2021 年3 巻 p. 1-5
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    [早期公開] 公開日: 2021/06/03
    ジャーナル フリー
    【背景】プラスグレルは海外では1日10 mg(負荷用量60 mg)で使われている.しかし,日本ではプラスグレルは1日3.75 mg(負荷用量20 mg)で認可されている.日本の保険診療で外国人にプラスグレルを使用する場合,減量された日本人の用量で使用することになる.しかし,外国人患者への日本人用量のプラスグレルの有用性はこれまで明らかになっていない.【目的】外国人患者に対する日本人用量のプラスグレルの有用性を確認する.【方法】2010年から2018年までに,当院で冠動脈インターベンション(PCI)が行われた欧米人の患者を対象とした.日本人の用量(負荷用量20 mg,維持用量3.75 mg)のプラスグレルで治療された患者と,クロピドグレル(負荷用量300 mg,維持用量75 mg)で治療された患者を比較し,主要心血管イベント(MACE)と出血の出現率を後ろ向きに確認した.【結果】対象患者は111人であり,プラスグレル群は26人,クロピドグレル群は85人であった.MACEの発症はプラスグレル群で5人(19.2%),クロピドグレル群で4人(4.7%)であり,プラスグレル群で多かった(リスク比:4.1,95%信頼区間1.18-14.1,p=0.03).出血の出現率は両群で差を認めなかった.【結語】外国人のPCIにおいて,日本で認可された用量のプラスグレル群は,クロピドグレル群と比較しMACEの出現が多かった.本研究は少数での検討であり,また探索的研究であるという限界があるが,日本での外国人のPCIは,プラスグレルよりクロピドグレルが有用かもしれない.
  • 七條 正英, 片山 雄二, 三保 貴裕, 諸隈 宏之, 陣内 宏紀, 島内 浩太, 蒲原 啓司
    原稿種別: 原著
    2021 年3 巻 p. 6-11
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    [早期公開] 公開日: 2021/06/25
    ジャーナル フリー
    【目的】冠動脈バイパス手術(CABG)においてno-touch(NT) techniqueによる大伏在静脈グラフト(SVG)採取をEndoscopic vessel harvesting(EVH)で行うことで,創部合併症が軽減可能か,またOpen vessel harvesting(OVH)によるNT-SVGのように開存性向上が期待できるかをその機序を含めて考察する.【方法】2018年8月から2020年2月の期間にEVHでSVGを採取したCABG症例44例を対象とした(緊急手術症例は除外).EVHの採取法により血管周囲組織を離後にシリンジ拡張を行うconventional群(C群),血管周囲組織を温存したpedicleとして採取後に動脈圧拡張を行うNT群に分類した.動脈圧拡張は大腿動脈圧を使用した.術後画像評価,創部合併症やその関連因子を検討した.SVG径を術前は下肢血管エコーにて3点で測定し,術後は冠動脈CTにて7点で測定し,血管径の均一性を解析(Mann-Whitney U検定)した.【結果】採取法による内訳はC群23例,NT群21例であった.患者背景(年齢,性別,糖尿病,インスリン使用,維持透析),術後入院期間に有意差は認めず,全症例において創部合併症や早期閉塞は認めなかった.術前のSVG径は各群で有意なばらつきを認めなかったが,術後はNT群で有意に少なかった.(p < 0.05).病理組織学的評価を行ったところ,EVHで採取したNT-SVGでもOVHによるものと同様に血管構造が維持されていた.【結論】EVHによるNT techniqueは創部合併症が少なく,長期開存が期待できるグラフト採取法となる可能性が示唆された.
  • 森田 菜津美, 河本 良美, 藤原 敬士, 上田 雅美, 本間 智明, 小林 平
    原稿種別: 原著
    2021 年3 巻 p. 12-17
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/25
    [早期公開] 公開日: 2021/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】急性心筋梗塞(acute myocardial infarction: AMI)患者の食習慣是正による二次予防は重要であるが,行動変容の維持は困難である.栄養指導による患者の行動変容について検討を行った.【対象・方法】2015年12月~2019年6月,AMIにて入院栄養指導を実施し,その後外来心臓リハビリテーション(心リハ)に参加した102例(男性85例,年齢67±10歳)を対象とした.指導は個々の食習慣に応じて是正項目を3項目程度に絞った個別化指導を実施した.心リハプログラムでの栄養指導は退院1ヵ月,3ヵ月後に実施,退院後3ヵ月の実行率67%以上であった症例を実行群,67%未満を非実行群として比較検討を行った.【結果】冠危険因子の保有率は,肥満36%,高血圧症42%,脂質異常症39%,糖尿病34%,喫煙18%であった.栄養指導実施は1ヵ月後85例(83%),3ヵ月後63例(62%)であった.入院前の食生活上の問題点は塩分過剰78例(76%),菓子類過剰44例(43%),野菜不足29例(28%)であった.退院後の実行率は1ヵ月後80%,3ヵ月後79%であり,各指導項目実行率は塩分制限(1ヵ月後81%,3ヵ月後91%),菓子類制限(1ヵ月後82%,3ヵ月後82%),野菜増加(1ヵ月後72%,3ヵ月後82%)であり良好に維持できた.3ヵ月後に実行率が67%未満であった非実行群は12例(19%)であり,非実行群は独居,アルコール摂取量が有意に多く(p=0.04,p=0.03),入院時のbody mass index(BMI)が大きい傾向にあった(p=0.07).非実行群で5ヵ月後のBMIは増加傾向にあった(p = 0.08).【結論】継続的な個別化栄養指導は,食習慣是正への行動変容維持に繋がる可能性がある.実行率の低い独居,肥満患者,アルコール多飲患者に対してはより重点的な介入が必要と考えられた.
特集:MINOCA(冠動脈の閉塞を伴わない心筋梗塞:MI with non-obstructive coronary arteries)を考える
特集:多枝冠動脈病変に対する治療戦略
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