日本冠疾患学会誌
Online ISSN : 2434-2157
2 巻
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原著
  • 井場 和敏, 小林 平, 本間 智明, 小島 輝久, 高桑 翼, 村上 嘉章
    原稿種別: 原著
    2020 年 2 巻 p. 1-9
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/25
    [早期公開] 公開日: 2020/06/29
    ジャーナル フリー
    【目的】腎機能障害合併心疾患患者に対する心臓リハビリテーションが腎機能に与える影響を検討した.【方法】対象は,当院外来心臓リハビリテーション(以下,心リハ)に参加した130例のうち,推定糸球体濾過量(eGFR)が開始時に60 ml/min/1.73 m²未満で心リハ150日プログラムを完遂した35例とした.これらの心リハ開始時と終了時の身体機能指標と血液生化学検査値の変化を比較検討した.さらに,開始時と終了時のeGFR変化からeGFR増加群とeGFR減少群の2群に群分けし,開始時における各種指標を比較しeGFR増減に影響を与える患者因子を検討した.【結果】eGFR(48.2 ± 10.2→50.5 ± 12.8 ml/min/1.73 m²),酸素摂取量(10.2 ± 1.7→12.0 ± 2.0 ml/min/kg),6分間歩行距離(387.9 ± 74.2→427.8 ± 84.3 m),握力(29.6 ± 7.6→31.7 ± 7.2 kg)は有意に改善した.eGFR増加群23例(65.7%),eGFR減少群12例(34.3%)だった.eGFR増加群はeGFR減少群にくらべ開始時のeGFR,握力が高値で,食事療法のアドヒアランスが良好であった.eGFR減少群は総コレステロール,LDLコレステロールが有意に増加した.【結論】腎機能は包括的心臓リハビリテーションにより改善する可能性がある.また,腎機能変化は心リハ開始時の腎機能および握力,また維持期の栄養管理と関連しており,腎機能改善のためには腎機能,筋力が保たれている早期に心リハを開始し,食事療法を継続することが重要である.
画像症例報告
  • 平沼 進, 岡田 祥一, 前田 武俊, 大城 康一, 南淵 明宏
    2020 年 2 巻 p. 10-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/25
    [早期公開] 公開日: 2020/04/27
    ジャーナル フリー
    midCABG(minimally invasive direct coronary artery bypass grafting)は吻合できる冠動脈が限られることや視野が得にくいことなどから,実施される機会は多くないとされるが,その低侵襲性により,経皮的冠動脈形成術(PCI)と組み合わせたハイブリッド治療とともに,近年見直されつつある.症例は82歳,男性.約半年前に急性心筋梗塞として冠動脈左前下行枝(LAD)に緊急PCIが施行された.フォローアップの冠動脈造影で,LAD分岐直後の99%狭窄が指摘され,冠動脈バイパス手術の適応とした.年齢や身体機能的な制約からmidCABGを選択したものの,実際に開胸すると冠動脈が強く石灰化しており,通常の吻合は困難と思われた.冠動脈の内膜離を可及的に行い,大伏在静脈グラフトを用いたon-lay patchとして吻合を行うことで,胸骨正中切開へconversionすることなく手術を完遂することができた.
特集:新型コロナウイルス
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