私たちは「職場パワーハラスメントを防止し,ワーク ・ エンゲイジメント(仕事に対するポジティブで充実した状態)の向上を導くための効果的な短期介入プログラムの開発と検証」を行っています。本企画では開発したプログラムを紹介し,心理臨床や研究に広く活用頂くことを目的としています。
制作したプログラムは部下や同僚に対する適切なコミュニケーションを促すための組織開発を目的とした内容です。管理職を対象としたプログラムは,次の3点で構成されます。1)アンガーマネジメント:自身の怒りの特徴や捉え方の癖を見なおす認知行動療法や怒りへの物理的な対処法,2)アサーション:相手を尊重しつつも,自分の意見や要求などを率直に誠実に伝えるスキル,3)積極的傾聴:部下の話を共感的に聴くスキル
研究の意義は次の2点です。1)一つの短期介入プログラムで,仕事に関するポジティブとネガティブ両側面への効果を実証した研究は他になく,先進的かつ社会的意義が大きい。2)パワハラ被害による悪影響を防ぐだけでなく,ワーク・エンゲイジメント向上などのポジティブな効果を示すことで,コストと捉えられがちなパワハラ対策の意義を明確に示すことができる。
抄録全体を表示