理学療法かごしま
Online ISSN : 2436-8458
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選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 花北 悠利, 佐藤 圭路, 杉安 直樹, 福屋 真悟, 生駒 成亨, 崔 権一
    2023 年 2 巻 p. 1-7
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/27
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    破傷風は外毒素により痙攣,呼吸不全等を呈し,薬剤による長期ICU 管理を要する疾患である。今回,集中治療医の薬剤管理及び全身管理と多職種連携下での早期リハビリテーション介入により発症前ADLの再獲得に至った重症破傷風の一例を経験した。症例は70 歳代男性,錆びた鉄柱で右腕を負傷後に開口障害,嚥下障害等が出現,直ちに鎮静薬・硫酸マグネシウム投与後に人工呼吸器管理を開始し,ICU 緊急入室となり破傷風の診断となった。細やかな薬剤管理と全身管理に加えて,毎日の多職種カンファレンスで病状把握と情報共有を行なった上でリハビリテーションを行った。その結果,独歩可能となり,Medical Research Council スコア54 点,Barthel Index も100 点へ改善し,発症前ADL の再獲得に至った。重症破傷風は長期の人工呼吸器と筋弛緩薬の使用によりICU acquired weakness のリスクが高くADL 回復に難渋するとされている。本症例は,急性期の段階まではICU acquired weakness に相当する状態であったものの,細やかな薬剤管理と多職種連携下でリハビリテーションを継続した結果,過剰な筋力低下や関節拘縮を呈することなく発症前ADL の再獲得が実現できたと考える。
  • 小牧 隼人, 原野 信人, 池田 大
    2023 年 2 巻 p. 8-13
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/05/28
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
     介護予防・生活支援サービス事業対象者(以下,事業対象者)となった地域住民の自宅を介護支援専門員(Care Manager:以下,CM)とリハビリテーション専門職(以下,リハ専門職)で訪問する「同行訪問事業」の開始にあたり,これまでのCMの初回自宅訪問時の課題や,これからのリハ専門職との協働における期待や不安を明らかにすることを目的に,CM に対しアンケート調査を実施し,得られた回答をSteps for Coding and Theorization を一部改変した方法にて分析した。初回自宅訪問時の課題として,事業対象者の状態や信頼関係の未構築による聞き取りや生活環境確認の困難さ,事務作業も含めた長時間の訪問等が挙げられた。リハ専門職への期待では個別の事業対象者に対する助言とともに,情報共有や対話による協働が挙げられた。不安としては職種間の視点の違いやCM の負担感の増加,同行訪問の適切な時期や具体的方法の未構築が挙げられた。同行訪問により事業対象者の生活課題の解決に繋げたい一方で,関わり方次第では負担の増加も懸念され,協働方法について検討を重ね実践していく必要があると考えられた。
  • 宮﨑 宣丞, 田丸 智章, 石野 将太, 谷口 孝平, 吉田 研吾, 富永 千春, 新保 千尋, 山口 純平, 枇杷 高則, 城之下 唯子, ...
    2023 年 2 巻 p. 14-19
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
     本研究の目的は,リバース型人工肩関節置換術後1年時のADL能力と肩関節可動域の目標値について検討することとした。対象は当院でリバース型人工肩関節置換術を実施し,術前と術後1年時の肩関節機能が計測可能であった15名(77.9 ± 1.1歳)とした。肩関節機能は,屈曲,外転,外旋の自動可動域,内旋(Constantスコアの点数),日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準(Japan Orthopaedic Association スコア:以下,JOAスコア)とした。術後1年時JOAスコアにより経過良好群,経過不良群に分類し,肩関節機能を比較した。群間差を認めた術後1年時の項目は,カットオフ値を算出した。経過不良群において,術後1年時の屈曲,外転,内旋の可動域,JOAスコアのADLと機能の項目が低値を示した(p ≤ .0014)。経過良好群を予測するカットオフ値は,JOAスコアのADLが8.5点,屈曲が125°,外転が110°,内旋が4点であった。リバース型人工肩関節置換術後の理学療法では,機能向上と並行してADLでの使用を見据えた動作指導などの実施が重要と考えられた。
  • 施設の見学ニーズと就職のニーズの変化について
    神田 勝利, 福榮 竜也
    2023 年 2 巻 p. 20-23
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
     臨床実習前後における就職活動に関する見学のニーズと就職のニーズの変化についてアンケート調査を行い,結果を比較することを目的とした。鹿児島第一医療リハビリ専門学校の理学療法学科に在学していた学生85名(男性:56名,女性:29名)を対象とした。アンケートを用いて臨床実習前後の就職活動に関する見学および就職のニーズの変化を調査した。見学のニーズは,「リハスタッフの推薦」が臨床実習後に減少した。就職のニーズは「新人教育制度」,「施設介入時期」が臨床実習後に有意に増加し,「ホームページ内容」,「リハスタッフの推薦」は臨床実習後に有意な減少を認めた。実習後の見学のニーズは他者からの推薦より,自身で見学する理由を見出している可能性が高い。実習後の就職のニーズについては給与や福利厚生も重要であるが,就職後に理学療法士として従事していくためのスキルをより重要視している可能性が示唆された。
  • 慣性センサを用いた動作の定量的評価
    原田 太樹, 河村 健太郎, 坪内 優太, 小倉 拓馬, 吉田 輝, 下堂薗 恵
    2023 年 2 巻 p. 24-31
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/07
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
     若年性特発性関節炎にステロイドミオパチーを合併した腰椎椎間板ヘルニア術後症例において,術後早期における回復経過を定量的に把握し,理学療法の効果を高めるために,慣性センサを用いて立ち上がり及び歩行動作を評価した。慣性センサは第3腰椎棘突起レベルに装着し,各動作について,術後4日目と11日目に計測を行なった。健常女性1名と比較した結果,立ち上がり動作において加速度鉛直成分及び角速度前方・後方回転成分において差を認め,術後11日目には角速度の後方回転において,健常女性の波形に近似する傾向を認めた。これらの定量的評価を用いながら理学療法を行なった結果,疼痛や筋力,歩行速度といった身体機能に変化を認めなかったが,SPPBの立ち上がり動作項目において1分以内に5回立ち上がりが可能となった。今回,術後11日という比較的短期間で自宅退院に繋げることができたが,その一因として慣性センサによる動作の定量的評価とフィードバックによる治療アドヒアランスの向上が寄与したものと考えた。
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