昨今,各分野においてデジタル化が推奨されている.今回,当院訪問リハに多機能情報端末(iPad)および介護事業者支援システム(WINCARE)を導入した.これらデジタイゼーションが訪問リハの業務に及ぼす影響を検証することが本研究の目的である.対象者は,当院訪問リハの専従セラピスト11名とした.方法は,インタビューガイドを用いた半構造化面接にて,機器導入での書類の①作成しやすさ②理解しやすさを聴取した.そして,逐語録を作成した上で,階層的コーディング法を用いて分析をした.最後に,生成したカテゴリー同士の関係を類推し,関係図の作成と共に,取り組みに対する仮説を構築した.また,アンケート調査では,機器導入前後での③申し送り票の作成時間④地図等の作成時間⑤上記業務実施にあたる心理的負担感とした.なお,③~⑤は,Wilcoxon 符号順位和検定にて分析をした.結果は,①②より,カテゴリー3個,サブカテゴリー7個,コード156個を抽出した.カテゴリーは≪業務効率・能率向上≫,≪利用者のメリット≫,≪スタッフの生活の質が改善した実感≫であった.また,③15分→10分④10分→5分⑤7点→3点となり,有意差を認めた.生成されたカテゴリーは相互に影響し合い,利用者メリット(顧客),スタッフの生活の質(職員),業務効率・能率化(経営)の3視点からのバランスの良いアプローチに繋げることが出来たと考える.
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