放射線皮膚炎(以下、皮膚炎)は放射線治療による有害事象の一つである。本研究の目的は、がん放射線療法看護認定看護師(以下、CN)の在籍する施設における皮膚炎の発生頻度や、CNによる皮膚炎ケアの現状と課題を明らかにすることである。223施設のCNを対象に質問紙調査を実施し、在籍する施設における皮膚炎の発生頻度や、皮膚炎ケアについて尋ねた。有効回答106部。皮膚炎の発生頻度は照射部位によって異なっており、頭頸部ではグレード2以上の皮膚炎の発生頻度が50%以上であると回答した施設が29%に上った。また、放射線治療中の照射部位の観察状況は、皮膚炎発生前98%、皮膚炎発生時100%の施設のCNが実施しており、医療職の中で最も多かった。しかし、放射線治療終了後のCNによるフォローアップを実施している施設は79%にとどまっており、放射線治療終了後の放射線科医との協働の有無に影響を受けていることが明らかになった。CNは他職種や看護師と協働することで、皮膚炎ケアの実践においてCNの役割をより一層発揮していくことができると考えられる。
高度被ばく医療支援センターや原子力災害拠点病院は、自施設の全職員に対して原子力災害時医療の教育研修を定期的に実施することが義務付けられている。研修内容の設定や外注職員を含む病院全職員への周知が難しいというのが現状であるが、被ばく医療教育の啓蒙や高受講率化へ向けた各機関の努力は必須である。弘前大学は平成27年8月に高度被ばく医療支援センターに指定されて以降、年に複数回の原子力災害医療に係る院内基礎研修を開催しており、令和2年2月現在で全職員の約8割が受講済となっている。本稿では高受講率化に向けた本学の取組および研修内容等を詳細に報告する。
2021年4月より改正法令が施行され、眼の水晶体の線量限度が引き下げられた。これを受けて一般社団法人日本放射線看護学会は「看護職のための眼の水晶体の放射線防護ガイドライン」を作成した。わが国において、看護職に対する放射線教育が十分に行われているとはいえず、看護職の安全・安心のためには眼の水晶体の線量限度の引き下げや、水晶体の被ばく管理・防護方策について看護職一人一人が理解することが必要である。本稿は、ガイドラインの作成の背景と基準値の策定などにおける考え方を具体的に示すことで、ガイドラインのより一層の理解が深まることを目的とした。
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