日本放射線看護学会誌
Online ISSN : 2433-5649
Print ISSN : 2187-6460
9 巻, 2 号
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研究報告
  • 福岡 真理, 山口 拓允, 新川 哲子, 浦田 秀子, 折田 真紀子, 高村 昇
    2021 年 9 巻 2 号 p. 75-87
    発行日: 2021/12/31
    公開日: 2022/01/31
    [早期公開] 公開日: 2021/12/23
    ジャーナル フリー

    原子力発電所立地自治体のUPZ内にある原子力災害拠点病院1機関を対象に、看護師の放射線に関するリスク認知や、原発近傍地での勤務に対する不安の現状を明らかにすることを目的とし、自記式質問紙調査を行った。看護師179名を対象とし、回答数は179名(回収率100%)であった。その結果、原発が近隣にあることによる放射線の不安を感じている看護師は、8割以上と高い割合を示していた。5割以上の看護師が、低線量被ばくによる晩発的な影響が起こる可能性が高いと認知しており、7割以上の看護師が被ばくによる遺伝的な影響や汚染傷病者の看護において自身に影響が起きる可能性が高いと認知していた。原子力災害拠点病院に勤務する看護師が自信をもって原子力災害医療を展開するために、放射線量、放射線の影響に関する基本的な知識、また患者の防護、看護師自身の防護を実施できるような知識を身につける必要があると考える。

実践報告
  • 山口 拓允, 関島 永子, 鳴田 茂行, 江原 麻里子, 田中 真樹, 山本 尚幸, 杉浦 紳之
    2021 年 9 巻 2 号 p. 88-96
    発行日: 2021/12/31
    公開日: 2022/01/31
    [早期公開] 公開日: 2021/12/23
    ジャーナル フリー

    今回、原子力発電所立地県にある大学の2年次看護学生に対し放射線の健康影響に関する講義を実施し、その講義前後で東京電力(株)福島第一原子力発電所事故の被災地における放射線の健康影響に関するリスク認知、放射線に対する不安等の変化とその理由が得られたので報告する。アンケートの結果、起こる可能性が低いと回答した割合は、後年に生じる健康障害(講義前:24.3% vs.講義後:94.7%, p<0.001)、次世代以降への影響(47.1% vs. 97.3%, p<0.001)であり、ともに講義後は講義前に比較して有意に放射線リスク認知の改善が見られた。また放射線に関する不安においても同様の結果であった(25.7% vs. 4.0%, p<0.001)。これは、講義前にはこれまで見聞きした情報でリスク認知を判断していたものが、講義後によって科学的根拠が得られ、それに基づいた判断ができるようになったことが影響した可能性が考えられる。

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