資源地質
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47 巻, 4 号
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  • 荒井 章司
    1997 年 47 巻 4 号 p. 177-187
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    Podiform chromitites with dunitic envelopes, especially undeformed ones, usually cut mantle peridotite as dikes or pipes. Large-scale chromitites are usually set within the moderately refractory peridotite; i.e., the harzburgite with chromian spinel of intermediate Cr# (=Cr/[Cr+Al] atomic ratio), 0.4 to 0.6. Podiform chromitites are usually absent or very small in volume, in both fertile lherzolite and highly refractory harzburgite. This relationship indicates that the wall-rock chemistry controls to some extent the formation of chromitites, and is concordant with a petrogenetic model whereby podiform chromitite is formed by reaction between upwelling melt and mantle peridotite protolith and related melt mixing. Both the Cr# and the total amount of (Al+Cr) in the involved system, especially of orthopyroxene of the protolith, control the size and chemistry of the podiform chromitite, a reaction product. For fertile lherzolite wall, the Cr# of the system is too low to concentrate spinel because the mixed melt is relatively low in the degree of spinel-oversaturation. For highly refractory harzburgite wall, the amount of (Al+Cr) of the system is too low to precipitate large amounts of spinel. The moderately refractory harzburgite is satisfactory for the two criteria, and can be a host for large-scale podiform chromitites. Upper mantle beneath arc, especially arc proper and back-arc basin, and fast-spreading oceanic ridges is suitable for the podiform chromitite formation because the harzburgite with chromian spinel of intermediate Cr# is available there. Both melt/peridotite interaction and magma mixing can occur to precipitate large amount of chromian spinel at the Moho transition zone where upwelling melt is pooled within the harzburgite mantle.
  • 松本 一郎, 荒井 章司
    1997 年 47 巻 4 号 p. 189-199
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2010/03/04
    ジャーナル フリー
    ポディフォーム・クロミタイトは極めて不規則にマントルかんらん岩(蛇紋岩)中に産し成因についても不明な点が多かったため,確立された探査およびポテンシャル評価の方針はなく,クロム資源探査の障害になっていた.今回,中国地方中部の三郡帯のかんらん岩体とクロミタイトの記載岩石学的特徴,クロムスピネルの形態,及びクロムスピネルの化学組成からポディフォーム・クロミタイトの成因とその探査指針についての考察(一般化)を得た.観察結果のうち特に重要なものを挙げると以下のとおりである.(1)クロミタイトは必ずダナイトに取り囲まれた産状を示す.(2)スピネル包有物としての含水鉱物(Na-フロゴパイト,パーガサイト)が比較的小規模なクロミタイト中のものから見いだされる.(3)クロムスピネルの形態を面積と周長の関係を用いて定量化(DR#(degree of roundness;円の値で規格化)=面積/(周長)2)を行ったところ,ハルツバージャイト中のクロムスピネルの多くはDR#が0.4以下を示す(他形)のに対して,ダナイト中においては多くが0.7~0.9の値を示し(自形),両者の間には明らかに形態上の相違が認められる.ただし,大規模クロミタイト周辺のものには中間的もしくは漸移的なものが存在する.(4)クロムスピネルのTiO2含有量,Fe3+#(=Fe3+/(Cr+Al+Fe3+))は特徴的にダナイト中で高く,ハルツバージャイト中で低い.ただし,大規模クロミタイト周辺のものには中間的なものが存在する.(5)大規模なクロミタイト周辺のダナイトおよびハルツバージャイト中のクロムスピネルはCr#(=Cr/(Cr十Al))一V2O3関係において高C耕一低V2O3の特徴を示す.
    以上からわかるとおり大規模クロミタイト周辺のダナイト,ハルツバージャイト中のクロムスピネルには岩石記載的,形態的,および化学的に特異なものが存在しているといえる,このような特異なクロムスピネルの存在はマントルーメルト相互反応による二次メルトの生成と初生マグマとの混合によるクロムスピネルの晶出モデル(例えばARAI and YURIMOTO,1994)を支持するものであり,より詳細なプロセスが明らかになった。特に高Cr#-低V2O3を示す大規模クロミタイト周辺のダナイト,およびハルツバージャイト中のスピネルの存在は相互反応による斜方輝石の選択的なメルトへの溶解により見事に説明される,
    大規模なクロミタイトの周囲には形態的にも化学組成的にも特異なスピネルの存在で特徴づけられるマントルーメルト相互反応による反応帯(ダナイトとハルツバージャイトの漸移的な岩相)の存在が明らかとなった.これはボディフォーム・クロミタイトの探査的側面から大きな意義を持つ.すなわち,反応帯の分布や規模を調べることにより,クロミタイト賦存のポテンシャリティーを評価でき,今後の他の岩体・鉱床への応用面において期待される.
  • 神居古潭構造帯における例
    原田 武, 荒井 章司
    1997 年 47 巻 4 号 p. 201-209
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    クロミタイト中のクロムスピネルの化学組成の特徴として,他の超塩基性岩に含まれるクロムスピネル組成より比較的Mg#に富む傾向がある.また,この特性はMg#-Cr#の相関図において顕著に示される.一方,河川堆積物から抽出される砕屑性クロムスピネルの中にも高いMg#を示すクロムスピネルを確認することができる.このようなクロムスピネルはクロミタイト起源であることが予想される.本論文では,この砕屑性クロムスピネルの特性がクロマイト鉱床の探査フィールドにおける地化学探査のひとつとして応用される可能性を検討する.探査フィールドの例としては,クロマイト鉱床の稼行歴のある北海道日高地方の蛇紋岩体,および,かつて砂鉱床が開発された鷹泊岩体を取り上げる.日高地方においてはクロマイト鉱床のポテンシャルがある地域において,高いMg#を示す砕屑性クロムスピネルが確認される.また,鷹泊岩体の砂鉱床のサンプルは高いMg#を示さないことから,その起源としてはクロミタイトより,ダナイトやハルッバージャイト中のクロムスピネルと予想される.
  • 三宅 一弘, 荒井 章司, 奥野 正幸
    1997 年 47 巻 4 号 p. 211-221
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2009/12/14
    ジャーナル フリー
    多里―三坂超苦鉄質岩体中の若松鉱山のかんらん岩とクロミタイトを調べ,ポディフォーム型クロム鉱床の成因について考察した.若松鉱山の坑内および周辺の岩石は花崗岩により熱変成を受けているが,岩石の初生構造は岩石組織の遺骸により判別できる.ダナイトは鉱山周辺で多く見られ,クロミタイトはダナイト中にポッド状に出現する.これらのかんらん岩はクロマイト・ポッドからの距離により,クロミアン・スピネルの組成や化学組成が変化している.クロマイト鉱床から十分離れている三坂地域のハルツバージャイト中のスピネルは,Ti含有量が低く(<0.2wt%),複雑な他形の形態を呈している.ダナイトとの境界に近いハルツバージャイト中のスピネルは,他形のものが少なくなりややTiに富む(0.5wt%).ダナイト中のスピネルもTiに富み(0.5wt%),クロミタイトに向かってTi含有量は増加し,自形度の高いスピネルが多く見られる.一方,クロミタイトはそのスピネルのモード組成に関わらずむしろ均質な鉱物組成を持ち,0.7wt%に達するTi含有量(多くは0.2~0.4)を示す.すべての岩相において,Cr#(=Cr/Cr+Al:原子比)は0.4~0.6の狭い範囲に収まる.
    このような特性は,ポディフォーム・クロミタイトとそれを取り巻く橄欖岩の成因を支配する,メルト/ハルツバージャイト相互反応の存在を示唆する.つまり,低いTi含有量を持つハルツバージャイトから,Tiに富むメルトの通過によって,Tiに富むダナイトークロミタイトおよびそれを取り巻くハルツバージャイトが形成されたと考えられる.
  • 後藤 潔
    1997 年 47 巻 4 号 p. 223-229
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    クロマイトは重要な耐火物原料の一つであり,工業用クロマイトのうちの数%が耐火物用として消費される.クロマイトを含む最も重要な耐火物はクロマイトとマグネシア(ペリクレス)から製造されるマグクロれんがである.れんが焼成の際にクロマイト中のCr2O3, Fe2O3, AL2O3成分は高温下でマグネシアに固溶し,冷却過程で離溶してマグネシアの粒界や粒内に「二次スピネル」を形成し,れんがを緻密で高耐用性なものにする.またCr2O3成分はれんが焼成中に粒界の液相の二面角φを大きくすることで直接結合(ダイレクトボンド)生成に貢献し,また,れんが使用中に浸潤してくるスラグに溶け込むことで,その粘性を上昇させて浸潤の拡大を抑制する.しかし廃棄時に必要な無害化処理の不経済性から耐火物用クロマイトの需要は今後衰えるものと思われる.
  • 林 秀, 中尾 彩弥子, 横山 拓史, 井沢 英二
    1997 年 47 巻 4 号 p. 231-233
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    菱刈鉱山の温泉水中に含まれる金の濃度を,陰イオン交換樹脂をもちいた前処理と検出器に誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を組み合わせた分析手法によって明らかにした.温泉水(温度:63℃, pH:6.5)は,本鉱床-50MEに設置された抜湯ボーリング孔のドレイン口から採取した.試料の金濃度は,採取後にメンブランフィルター(0.45μm)で濾過したものが0.6±0.4ppt,濾過しなかったものが0.9±0.5pptといずれも低い値を示し,分析誤差内で一致した。
  • 鹿園 直建
    1997 年 47 巻 4 号 p. 235-244
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 47 巻 4 号 p. 245-246
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
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