東海大学看護研究
Online ISSN : 2758-612X
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論文
  • 手島 芳江, 矢口 菜穂, 髙澤 智桂子
    2024 年 1 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:内服薬投与プロセスにおける誤薬を回避するための看護行為を記述することを目的とした.方法:首都圏の大学病院に勤務するリーダー看護師及び受け持ち看護師9名を対象に参加観察と半構造化インタビューにてデータを収集し質的記述的に分析した.結果:リーダー看護師は【指示を先読みする】,【“飛んできた”指示に意味や理由を見出す】,【相手の経験値に寄り添い指示の授受を行う】の3つのテーマが抽出され,一方,受け持ち看護師は【指示を先読みする】,【他の看護行為に巻き込まれながら“さばく”】,【自分なりの仕方で指示を了解する】,【最終実施者としてルーチンを徹底する】の4つのテーマが抽出された.結論:内服薬投与プロセスにおいて看護師は,指示を先読みする,対話する,看護業務の一連の流れの中で行為することにより,誤薬を回避していることが示唆された.

  • 森屋 宏美, 矢口 菜穂, 山本 義郎, 浦野 哲哉
    2024 年 1 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,がん医療における遺伝/ゲノム看護実践の動向を職位比較により明らかにすることである.方法:2019年8月から2020年2月,全国がん医療連携施設に属する看護師1,482名を対象としたオンラインアンケート調査を行い,一元配置分散分析及びTukeyの検定により統括管理者群(看護師長相当以上),中間管理者群(主任相当),非管理者群を比較した.結果:137件の有効回答を得た.中間管理者群は,遺伝/ゲノム医療や看護に関する情報収集やチームワークが非管理者群を有意に上回り,がん発症のリスクアセスメントが統括管理者群を有意に上回った.しかし,その看護実践は「わずかに」から「あまりしていない」の程度に留まった.結論:中間管理者は,遺伝/ゲノム看護実践の存在を新たに認識し,同僚と共に行動を起こし,試行し始めていた.今後は,中間管理者が普及主導者として機能するよう支援することが重要であろう.

  • 三橋 祐子, 荒木田 美香子, 錦戸 典子
    2024 年 1 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:産業看護職の地域保健との連携コンピテンシー(以下,連携コンピテンシー)に関する尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討すること.対象と方法:先行研究より,日頃の取り組み,連携の実践,組織の理解を得るための取り組み,連携の基盤となる意識・姿勢・考え方という連携コンピテンシー尺度の4つの側面について項目案を作成.産業看護職2,574名を対象に質問紙調査を行い,信頼性・妥当性を検証した.結果:257名を対象とした確認的因子分析等により37項目からなる連携コンピテンシー尺度を開発した.項目全体のCronbach's α係数0.921,共分散構造分析結果により得られた適合度指数はGFI=0.849,AGFI=0.824であった.結論:産業看護職の連携コンピテンシー尺度を開発し,尺度全体および,4つの側面において信頼性,内容的妥当性,構成概念妥当性ならびに,一定の基準関連妥当性が確認された.

  • 杉村 篤士, 小泉 織絵, 籠谷 恵, 井上 玲子
    2024 年 1 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:コロナ禍での保育所の保育の変化と困りごとを明らかにすることを目的に調査した.方法:コロナ禍における「遊び」「日常生活」「行事」「保護者との関わり」の保育の変化と困りごとについて,13人の保育士を対象に半構造化面接を実施した.結果:遊びの保育ではおもちゃや遊具をこまめに消毒したり,少人数での遊びを工夫したりするなど保育を変化させていた.日常生活や行事,保護者との関わりにおいては,対面での食事をしない,保護者の参加人数を制限する,園児の送迎を室外に変えるといった対応をしていた.困りごとでは,発達途上のため感染予防行動が十分に行えないなどがあった.また,園児の体力が低下しているといった発達に関する困りごとも語られた.結論:新型コロナウイルス対策により子どもの成長や発達に影響を及ぼさないために,保育士や医療職,行政などが連携し,縦断的かつ包括的に支えていくことが重要と考える.

  • 松本 啓子, 前田 泰樹, 井上 玲子
    2024 年 1 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:大腸がん患者と家族における告知からその後の診療の経過において,外来に勤務する看護師が行う看護実践の意図や,患者および家族との相互作用からみえた支援の様相を明らかにする.方法:エスノグラフィーを用いた.結果:外来看護師における大腸がん患者と家族への看護実践は,告知場面,入院説明場面,退院後初診察場面,2回目の診察場面を重要な局面とし,【患者と家族で手術を乗り越えられるよう支援する】【家族を入院時のサポート役割と位置づけ説明する】【患者と家族の様子から支援が必要か判断する】【術後の治療方針決定により今後も経過を気にしてい(く)】た.それは『その時々の場面にある患者と家族を継続して気にかける実践』であった.結論:『その時々の場面にある患者と家族を継続して気にかける実践』は4つの場面を意識することで,支援が必要な患者と家族に気づき,タイミングを逃さずに支援できる可能性が示された.

  • 勝又 理恵, 石井 美里, 井上 玲子
    2024 年 1 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:生後6ヶ月~3歳の第1子を育てる母親の,家族支援を含む育児満足感に関連する要因の探索方法:2015年6月~11月に,171名の子育て女性を対象に,質問紙調査を行った.質問紙は対象背景と満足感に関連すると考える3つの概念を【子どもの状況】【母の状況】【家族の状況】とし,対象者自身による育児満足感とで構成した.結果:3つの概念を因子分析したところ【子どもの状況】から3因子,【母の状況】から4つの因子,【家族の状況】から4因子が抽出された.育児満足感の高値群と低値群に分け,各概念の因子得点を比較したところ,育児満足感の高値群が有意に高い得点を示す項目が認められた.考察:育児満足感には,自尊心や子育てによる成長観とともに,夫や実父母,義父母からの支えが関連していた.また,夫と共に家族として成長しているという実感も重要であった.良好な関係性の構築が重要であることを,家族全体に伝えていくことが必要である.

  • 石井 美里, 三橋 祐子, 矢口 菜穂, 吉川 隆博
    2024 年 1 巻 1 号 p. 52-61
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:産褥入院中および地域で生活する母に提供される看護の特徴を明らかにする.方法:2021年1月~3月に,5名の施設助産師と5名の地域看護職を対象に,半構造化面接調査を行った.結果:施設助産師の看護として【リスク軽減に向けた妊娠中からの管理】【母体回復を中心とした入院中のケア】【家族・多職種・多機関を活用した母子への支援】等を含む5つのカテゴリーが抽出された.地域看護職からは【母自身の健全な心身の確立と育児との両立に向けた支援】【育児環境の確認と充実に向けた支援と家族間調整】【母が関係機関と適切に繫がるための支援】【虐待防止に向けた支援】等を含む7つのカテゴリーが抽出された.結論:入院中も地域においても,看護職は母の心身の健康維持と継続的な関わりが重要であると考え,看護していることが明らかになった.

  • 籠谷 恵, 遠藤 伸子, 佐久間 浩美, 齊藤 理砂子, 城生 弘美, 森 祥子, 森屋 宏美, 矢口 菜穂, 朝倉 隆司
    2024 年 1 巻 1 号 p. 62-75
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:本研究の目的は,養護教諭の職務における学校看護技術の必要度と研修ニーズについて,学校種別,経験年数別の特徴を明らかにすることである.方法:2018年,養護教諭1,240名に郵送による質問紙調査を行った.学校看護技術38項目の職務における必要度と研修ニーズを調査した.データを統計的に分析した.結果:353名のデータを分析した.学校種別では,高等学校,特別支援学校で有意に必要度が高い項目,さらに特別支援学校においては研修ニーズの高い項目がみられた.経験年数別では,21年以上で有意に必要度が高いと認識している項目,経験年数10年以下で有意に研修ニーズが高い項目が明らかになった.結論:本研究は学校種別,経験年数別の学校看護技術の特徴を明らかにした.今後,養護教諭の勤務校の学校種や経験年数に相応しい研修計画を立案する際の根拠資料として有用と考える.

  • 島本 さと子, 吉野 純子, 石塚 真美, 三橋 祐子, 錦戸 典子
    2024 年 1 巻 1 号 p. 76-84
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2024/03/31
    ジャーナル フリー

    目的:新型コロナウイルス感染症流行期の遠隔面談・保健指導における産業看護職の実践上の困難感と工夫を明確化することを目的とした.方法:産業看護職10名が遠隔面談・保健指導について半構造化面談で語った内容のうち困難感や工夫について抽出した.結果:困難感は【支援対象者の情報や理解度・感情の授受がしにくい】【職場や社内での接点の減少により状況把握・支援がしにくい】等,7カテゴリが生成された.工夫は,準備のフェーズでは【対象者理解をもとに,状況や環境を考慮する】等の3カテゴリ,実施のフェーズでは【より会話を引き出せるよう関わる】【継続的な支援の機会として捉える】等,7カテゴリが生成された.結論:遠隔面談・保健指導では,遠隔ツールのリテラシー不足や情報の授受の困難さがあった.実施前には支援対象者の理解等に努め,実施場面では語りを引き出す,会話に惹きつける,目標や位置づけを変える等の工夫を行っていた.

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